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酒は怖い

 以前もここに書き込んだが、OL時代は毎晩、新宿で飲み歩いていた。妊娠してすぐに飲むのを辞め、いまではすっかり控えめになっているが、若いころはホントにすごかったのである。ひと晩で、日本酒なら1升を空けていた。もちろん、ひとり分。飲みっぷりのよさに、1度訪れた店では必ず顔を覚えられた。

 あるとき、店のオヤジが「そんなに日本酒が好きなら、利き酒で勝負しろ! 5杯の日本酒を飲んで銘柄を全部当てたら、会計をタダにしてやる」といい出したので「売られたケンカは買う!」とばかりに、チャレンジしてみた。単なる飲んべえであって、グルメではない。舌には自信がなかったが、引くに引けない。1杯目、2杯目、3杯目と順調に当てた。オヤジの顔色がちょっと変わった。4杯目を当てたころには、店中が熱気に包まれていた。さて、5杯目。飲んでみたところ、独特の香りに覚えがあった。まだ、このお酒が大流行する前で、都内でもこれを置いている店はほとんどないころである。私は答えた。「上善如水(じょうぜんみずのごとし)でしょ!」オヤジはいまにも泣きそうな顔をして、こういった。「持ってけ、ドロボー」

 そんな酒好きの傾向は小学生のころ、すでに現れていた。私が生まれ育ったのは東京の福生市。のどかな田園地帯でレンゲ畑や牛舎がたくさんあるようなところだ。通学路の途中には、多摩自慢という日本酒の蔵元があって、火入れ(貯蔵前の加熱殺菌)の時期になると、工場の煙突から白い湯気とともに日本酒の香りが漂う。小学生だった私は、工場を囲む塀にもたれかかり、匂いをかぐのが何よりも楽しみだった。あたりが暗くなるまで匂いをかぎ続け、親が探しに来たこともある。「日本酒の匂いが好きだ」と主張する我が子を見て、母親は何を思ったのだろうか。

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