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日陰の仕事

 ライター稼業を始めて、すでに10年以上の私であるが、駆け出しのころは「人にいえない」仕事ばかりをしていた。

 当時はパソコン通信の全盛期。今のように誰もがインターネットをする時代と違って、掲示板に書き込む女の子はまだひと握り。そんな状態で「駆け出しのライターです」なんて書いた日には、わんさとメールが届き「うちで書いてください」と依頼された。

 とはいえ、そのころパソコン通信をやっていたのは、たいていが「パソコン雑誌」とか「CD-ROM雑誌」の編集者だ。それも、男性向けのものばかり。おかげで親にはとても見せられないような原稿を書くハメになる。

 アダルトCD-ROMのレビューを書いたり、会員制の怪しいBBS(掲示板)に潜入したりする仕事だ。打ち合わせで編集部に行けば、外国人女性のヌードグラビアが散乱していて、男性編集者が必死に局部の修正(クギで削る)をしていたりする。また、ある日を境に編集長が来なくなったと思ったら、海外でクスリをたんまりやって……なんてこともあった。とにかく、危険な香りがプンプン漂う仕事ばかりだ。

 今では大手総合メーカーの販促誌とか、お固いタイアップ記事なども書いているが、おもしろさでいえば駆け出しのころに軍配が挙がる。ギャラは格安だったげど、毎日が刺激的。親にはいえないけれど「ライターという好きな仕事を、生業(なりわい)にしている」ことが誇りでもあった。

 いつか子どもが大きくなったとき「お母さんはこんな仕事もしていたのよ」と自慢しよう。そして、どんなに日陰の仕事であっても「うわー、すごいねえ」といえるような子に育てるつもりだ。

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