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祈りの日

 信仰心というものを、まったく持ち合わせていない私であるが、ここ数日はもはや神頼みをするしかなく、毎日神社でお参りをしている。初もうでとは違い、静寂に包まれた神社にひとりいると、心のなかのザワザワとしているものが少しだけおさまる。

 日付けは変わってしまったが昨日、母のガン摘出手術が行なわれた。まんじりとした時間を過ごし、日も暮れたころ、ようやく手術室に呼ばれた。

「手術は問題なく終わりました。開腹して見た限り、肝転移はありません。また、隣接臓器への浸潤(しんじゅん/ガンが周囲に拡がること)もありませんでした」

 執刀医はこういったあと、説明書に大きく「肝転移(−)、浸潤(−)」とかいた。このことばに、どれだけホッとしたことか。あとはリンパ節への転移がないことを祈るだけだ。これは、手術で摘出したリンパ節を病理検査しないとわからない。もしも、ガンがリンパ節に転移していると、他の臓器への転移の可能性が高まる。

 麻酔が切れた母は、痛み止めがあまり効かず「痛い、痛い」といい続けていた。そのくせ、話しかけると酸素マスクをしながら「ずっと待っていて大変だったね。帰っていいよ。ご飯作らないといけないでしょ」などといい、家で子どもを待たせている私を気づかった。

 お参りが効くのかどうかは、私自身よくわからない。ただ、今はあの場所に行くことで気持ちが落ち着き、母の前では泣かずにいられる。神さまも、捨てたもんじゃない。

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