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ナゾの男

 さて、ぼちぼち夕ごはんでも作るかな……と思い始めた夕方、その電話はかかってきた。仕事から戻ったばかりの夫が出たのだが、どうも表情がヘンだ。

「広告代理店D社の○○さんだっていうんだけど、知ってる?」

 夫も私も心当たりがない。きっと、Webでやったアンケートかなんかで電話したんだろう。そう思いながら電話に出てみた。

「Dの○○と申します。以前、H社のお仕事をされていましたよね。別件でお願いしたいことがあるのですが……」

 すっかり夕ごはんモードになっていた私のアタマはまわっておらず「D社」「H社」ということばにも、まったく反応しない。しばらく「はあ」「ええ」と生返事をしているうちに、少しずつ記憶がよみがえってきた。

 1999年に創刊した犬の月刊誌で、約3年間レギュラーライターをしていたことがある。ライターのなかでも年齢が高く、OL経験もあったため「企業ウケする」という理由で、しょっちゅうタイアップページをかかされていた。H社のページも2回ほど受け持ち、夫と代理店担当の○○さんと取材に行ったことがある。ずいぶん前のことですっかり忘れていた。確か猛暑のなか、新潟の獣医さんのところへ取材へ行き、奥さんからいただいた「とうもろこしと茶豆(新潟の枝豆)」を帰りの新幹線で食べた覚えがある。

 一緒に茶豆をつまんだ彼が○○さんだった。H社の新しい案件が企画され、2年ぶりに私を探してくれたのである。わざわざ犬雑誌の広告部へ電話し、そこから編集部へ問い合わせをし、連絡先を調べてくれたそうだ。こんなうれしいことはひさしぶりだ。これぞ、仕事冥利につきるというもの。しかも「ギャラはどうしましょうか。言値でいいですよ」なんていってくれる。言値というわけにもいかないので、あわてて「あのときやったタイアップページは1ページあたり○○円でした」といったところ「安かったんですねえ」と同情されてしまった。

 もう、値段なんてどうでもい。探して電話をくれただけで十分。このうれしい気持ちはきっちりした仕事で返さないと……と思った夜であった。

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