笑いの夜
締切前日に原稿を完成させ、飲みに行く。女友だちから「ねえ、ひさしぶりに会えない?」という電話をもらい「いいよいいよ、行くもんね」と約束した日は、400字×6本分の締切前日。二日酔いでまともな原稿がかけるはずもないので、さっさと入稿。人間、目標があるとがんばれることを証明したかったんである。
先日、編集者と行った創作和食店を予約し、明け方に原稿を仕上げて、少しだけ仮眠をとって、晩ご飯を作って出かける。ひさしぶりに会う彼女は、10年ほど前に仕事で知り合ったライターである。ワケあって昨年、未亡人になったばかりだ。あっちは未亡人、こっちは育児疲れ、おまけに締切に追われる身とくれば飲みたくもなるわけで、ふたりで黒糖焼酎をグビグビと空けた。
飲んでいるうちに、彼女が「新橋にさ、いい立ち飲み屋があるのよ。今度、行かない?」という。いいね、女ふたりで立ち飲み。でもさ、立ち飲み屋って殺伐としていて、チャラチャラ飲めないよね。店で浮かないで、かっこよく飲みたいねえ。などと答えると、彼女は真顔でこういった。
「立ち飲み屋ってさ、背負っている人以外お断り、よね」
未亡人がいうセリフとしては最高傑作だ。「あんたはもうすでに充分、人生の苦渋を背負っているから大丈夫」と意味不明のはげましをするワタシ。ホントにおもしろい。ひさしぶりに女同士の楽しい時間を過ごさせてもらった。
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