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お天気と脳天気

DSCN1250.JPG 台風一過となった昨日、猛烈な暑さのなか夫と取材に出かけた。その内容は著名なファッション・ジャーナリストのインタビュー&撮影というもの。現場に現れた彼は、黒いシャツに黒いスーツ、黒いネクタイ、黒いポケットチーフ……と、全身黒づくめ。一般人がこれをやると「葬式帰りか?」となるところだが、さすがセンセと呼ばれるだけあって、サマになっている。同じ黒でも微妙にニュアンスの違う色を合わせていて、仕立てやデザインのよさが目立つ。ファッションというカテゴリとはおよそ縁のない私でも、うなってしまうほどのカッコよさであった。

 ほどなくインタビューが終わり、夫がポートレートを撮影する。たいていのカメラマンはシャッターを切りながら、なにかしら相手に話しかける。夫もそうだ。目線をもらったり、身体の向きを変えながら「こっちにお願いします」とか「あ、いいですね、その感じ」などと声をかけている。そろそろ、終わりかな。そう思ったとき、夫はセンセにこんなことをいった。

「今日は暑いですね〜。黒い服だと熱がこもっちゃって大変ですねぇ」

 ……。一瞬、現場にどんよりした空気が流れる。苦笑いするセンセ。冷や汗が垂れるワタシ。そんなことも知らず笑顔で撮影を続ける夫。まさに地獄絵図だ。

 撮影が終わり、センセと別れた直後、思わず夫を叱りつける。あのねえ。ファッションリーダーに向かって、黒い服だと暑いですね、じゃないでしょうが。しかし、夫は「そっか。オレって気の効いたこといえないんだよなあ」とのんきに答えるだけ。

 夫は次の撮影があるため、駐車場で別れて帰宅。夕方、すべての撮影が終わって帰ってきた夫は私のもとへ飛んできて、こういった。

「あのあとさ、駐車場でセンセとあったんだよ。外の強烈な日ざしを見て“黒、着てこなきゃよかったな”ってオレにいったんだよ! やっぱり暑かったんだね!」

 脳天気な性格って、一種の武器だと思う。

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コメント

はじめまして。

同じ市内に住む同業のUです。あのUの連れです。
思わず膝をポンと打つお話、突然の乱入失礼します。

ダンナさんエライです。ようゆうたです。アタシも先日、ある建築家にインタビューしていて、彼の鼻の穴から鼻毛が何本も飛び出ているのが気になって気になって、「そんなことよりセンセ、鼻毛が!」といいたいのをガマンするのにタイヘンでした。

まあそれは極端なハナシですが、インタビューは相手を少し不機嫌にさせたほうがいいコメントが訊けることもあるので、その加減が難しいです。それ以前にアタシは口べたなので、逆に相手が気にしてくれて、訊ねもしないことまでいろいろ喋ってくれることが多く助かっております。どうでもいいハナシのときは、今夜の晩ご飯のことなどを考えていると苦痛が紛れます。

いずれにせよツライ商売です。
お邪魔しました。

投稿: U | 2004.06.23 23:50

Uさん、はじめまして。奥様にはいつもお世話になっております。Uさんのblogは密かに、そして毎日拝見しています。隠れファンです。いつもコメントやトラックバックをしたいと思いつつも、なかなかキッカケがつかめず、チャンスをうかがっていました。今度、おじゃましてもいいでしょうか?

ところで、鼻毛の話、笑いました。インタビューは相手の顔をじっくり見ながら行なうので「化粧濃いな〜」とか「顔、ちっちぇ」などと観察しすぎて、うわの空になることもありますね。鼻毛が出ていて、撮影と同時進行だったら、いっちゃうかもな。「センセ、おトイレでお鼻のモジョモジョをチェック願います」って。

夫は私と違ってのん気な人なので、インタビュー中の撮影をしながら「あ、センセ。ソファにドッカリ座らないでください。エラソーに見えますから」などといい、私を凍りつかせます。

投稿: poron | 2004.06.24 03:13

本日、画像拝見。
非常にファッショナブルに着こなしておられるセンセです。が、確かに暑そうではあります。
わたくしにはとても夫さんにはかないません。尊敬の念を覚えます。夫さんにはその無敵の武器を大切にしていただきたいと、せつに願うさりでございます。

投稿: さり | 2004.06.30 01:29

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