暑い、暑すぎる。連日の猛暑にはホトホトうんざりしているが、暑いと判断力も低下する。何を隠そう、うちの父と母、そして弟の3人は見事「悪徳商法」にやられたんである。
それは24日(土)のこと。私の実家を2人の男が訪問した。作業着を身につけた男は「すぐお隣の足立さんちで屋根瓦の修理をしているものです。たまたまお宅の屋根が見えたんですけど、瓦がずれているから直したほうがいいですよ」という。ふだんから「無料診断」「無料鑑定」などという、怪しい輩に対しては警戒心を抱き、すぐに「いりません」「必要ありません」と断わる母。なのに今回は「親切な人」だと思ってしまったらしい。暑くてアタマが、やられたか。
男たちは家に上がり込み、屋根にのぼってデジカメで写真を撮影した。そして、テレビをモニタ代わりにして写真を映し「ほら、こんなになっちゃっていますよ。早く修理しないと大変なことになります」という。「ずれた瓦を直しましょう。それから漆喰もボロボロなので、これも直します。占めて97万円です」
親子3人、笑顔で話を聞き、すっかり「いい人ね。お願いしようかしら」と悪徳マジックに魅了される。「本日は会社も休みで契約書が作れないので、月曜にまた来ます。そのときはちゃんとした印鑑を用意してくださいね。工事は火曜から始まります」
今回は契約していなかったから、間に合った。夜になって何となく不安になった母が私に連絡をしてきて発覚したのだ。実は私、リフォーム雑誌でさんざん「悪徳商法」を取材していた。国民生活センター、住宅リフォーム紛争処理センターに取材し、雑誌で事例を紹介。まさに、そこに書いた事例そのものだった。隣近所の工事といって、訪ねてくるのも典型的なやり方だ。しかも、家主が絶対に見られない屋根や床下を撮影して、不安をあおる。
私 「その工事をしているっていう足立さんに確認したの?」
父と母「家はあったけど、確認していない」
私 「その屋根の写真、本当にうちの屋根なの?」
父と母「そうなのよね、わからないのよ」
私 「屋根にあがって、瓦を割って撮影したかもしれないのよ」
父と母「そんなことするの? だっていい人だったよ」
私 「あのねえ。100万も契約してくれるなら優しくするよ!」
父と母「そうか……。ごめんなさい」
私 「悪徳商法の取材をしている私の親がひっかかるなんて!」
やられた。まさか私の実家がひっかかるとは思わなかった。あわてて月曜にその会社へ連絡する。
「○○です。今日、契約すると話をしましたがお断りします。ムダ足になるので2度と来ないでください。もめるようだったら、国民生活センターと住宅リフォーム紛争処理センターに相談します」
最悪だ。ウツだ。自分の書いた記事を見せていなかったし、そんなことを注意したこともなかった。みなさん、くれぐれもご注意を。暑いと、アタマ変になっているから。
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