スツールはケツが痛い
友人あっくんと飲む。沖縄居酒屋で泡盛を飲んで、腹いっぱい食らう。ボトルを飲み切ったので、店を出て「どうするよ」と聞くと、あっくんは「もう飲むだけでいいや」といった。いや、そーいうことじゃなくて「帰るかい?」という意味なのだが。
そういえば、駅から少し離れたところに気になる店がある。せっかくだからと、ふたりして行ってみることに。そこはいわゆるバーで、ワインや日本酒をグラス出ししている店だ。坊主頭に手ぬぐいを巻いた海坊主のようなあっくんと、スッピン短パンのワタシは明らかに場違いである。
以前、オーセンティックな店ばかりを集めた本で、BARを30軒以上取材したことがある。そのときの原稿風で今回の店を紹介するとこんな感じだ。
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閑静な住宅街にひっそりと佇むその店は、10人も入ればいっぱいになる細長い造り。ぐっと落とされた照明と、控えめに流れるジャズの音色が、落ち着いた空間を作り上げている。なめらかな手触りのカウンターは無垢の杉で作られたもの。木を組み合わせるために開けるほぞ穴が、古材であることをうかがわせる。
メニューは日替わりでワインが15種、日本酒が4種。どれも600〜800円と手ごろな値段なので、あえて初めての銘柄を試すのも一興。おすすめを聞いてみれば、かならず納得の一杯が見つかるはずだ。
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そんな店に海坊主とスッピン女。オーナー・バーテンダーの心境はさぞ複雑だったに違いない。話しかけるたびに困ったような顔をしていたのが印象的だ。酒を2杯ほど味わったころ、下半身がしびれ始めていることに気づく。小さなスツールの座面に大きな尻で座り、なおかつ足が届かなくてブラブラしていたのだから、しびれるはずだ。このままでは要介護スッピン女になりそうなので、早々に退散。
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コメント
poronさん。
文字原稿いただきました。文字数ピッタリ、誤字脱字も無く、非常に素敵で大人な文章です。
もし、「スツールはケツが痛い」などと書かれていては、突っ返すところでした。
これで校了です。おつかれさまでございました。
投稿: さり | 2004.09.04 22:54
クリエイティブディレクターのさりさんへ
まさか、こんなところで「原稿チェック」を
されるとは思っていませんでした。
赤字が入らなくてホッとしています。
それでは原稿料はいつもの口座にお願いします。
投稿: poron | 2004.09.05 18:05