警察庁の思い出
おまわりさんで思い出したことがある。1996年、もう8年も前の話だ。女性月刊誌でレギュラーライターをしていた私は「ひとり暮らし女性の防犯対策」というテーマの取材で警察庁を訪れた。当時はオウム真理教がらみで警察すべてがピリピリしていた時代(1995年に地下鉄サリン事件が起き、1996年に麻原の初公判が行なわれた)。麻原奪還のため、信者が警察への攻撃を計画している、というウワサが流れていたころだ。
警察庁の玄関は厳重な警備体制が敷かれていた。物々しい雰囲気が漂う、警察組織のトップ・警察庁。(ちなみに警視庁は東京都の機関で○○県警と同列。警察庁はそれらをまとめ、指揮する国の機関)そんな場所にジップアップのTシャツと短パンで訪れた私はあきらかに不審者。
「あ〜、どちらへ?」
玄関を守る警察官の口調は、明らかに「アンタ、あやしいよ」というニュアンスが含まれていた。それにしても、警察官はナゼ「あ〜」というのだろうか。「あ〜、キミキミ」「あ〜、そこ止まりなさ〜い」とか。この「あ〜」だけで威圧感たっぷりなんである。
シドロモドロになりながら「あ、あの、生活安全局、警部の、○○さんとの、お約束で、来ました」と答える。
「あぁ〜!? ○○さん?」
もうダメだ。逮捕される。……と思ったら、すぐさま電話で確認を取ってくれた。
(そうだ、そうだよ。アポあるから大丈夫だもんね)
やや強気を取り戻した私であったが、次の瞬間、想像だにしなかった局面が待ち受けていた。
「あ〜、バッグの中、見せて」
所持品検査だ。激しく動揺する私。別にクスリや拳銃を忍ばせていたわけじゃない。実はカバンの中にミネラルウォーターが入っていたのだ。無色透明の液体。それはサリンを思わせる液体……。
「あわわわ。あの、これ、あの、これ、別に変なものじゃなくて、み、水です〜!」
警察庁の玄関口で叫びながら、まじめに生きようと誓ったのであった。
(つづく)
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コメント
挙動不審で逮捕だな( ̄ー ̄)
投稿: ぷれこ | 2004.10.23 20:28