キュウリ3千本の奇跡
焼き鳥の名門、である。「チェーン店かつフランチャイズなんだけど名門」という、謎は別にして、約10年ぶりに訪れたかつての行きつけ。派手派手しい外観も、煙にいぶされた内装もまったく変わっておらず。昔は男の同僚や彼氏と酒盛りをしていたが今回は私と夫、男友だち、娘の4人。変わったのは私だけか。
なつかしさのあまり、しょっぱなから「キュウリ3千本!」とオーダー。女子店員の笑顔が一瞬凍る。実はこの店、キュウリの塩もみを串に差したメニューがある。「キュウリ1本ください」と頼むと、店員が「キュウリ1千本!」と叫ぶのが、この店のしきたり。いわば、威勢、活気、景気づけ。なのに、客がみずから「3千本」と叫んでしまったので、落としどころがなくなってしまったようだ。女子店員は「3千本ですね」とつぶやき、去っていった。
私と店員のやりとりを聞いていた夫は「さ、さんぜんぼ〜ん?」と驚きながら、メニューを確認。バカか、お前は。
娘は、焼き鳥を食べるだけ食べたのち、メニューを読み上げはじめた。ひらがなに興味のある年頃だが、いままでは「これは“い”?」「これは“ら”?」と聞く程度。なのに、いきなり「あか、しろ、みの、つくね、ししとう」といい出したのである。初めて読んだ文字が、焼き鳥屋のメニュー。しかも、通好みのメニューをセレクト。なんだか、うれしくなったので「キュウリ4千本」をオーダー。さっきよりも1千本多め。
この記事はささらほうさらの「感動の瞬間」にTBしています。
| 固定リンク
「酒ネタ」カテゴリの記事
- 恐るべし酒パワー(2006.09.15)
- 新宿でふたり酒(2006.02.03)
- 酒とギターと心地よい風(2005.09.01)
- 新橋酒呑み事情・完(2005.08.10)
- 新橋酒呑み事情・続(2005.08.10)
「娘ネタ」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
嗚呼、娘さんの成長……嬉しいようなさみしいような複雑な気分です。
いつまでも、無邪気な「子供」でいて欲しいとも、すくすくと育っていって、素敵な娘さんになって欲しいとも思います。
が、しかし、初めて読んだ文字が焼き鳥屋の通メニューだとすれば、その成長も喜ばしゅうございます。
いいぞ〜、ママに続け!
投稿: さり | 2004.11.25 10:07
■さりさんへ
「ひらがなを覚えられるように」と毎月、本を送ってくれる
広島のお姑さんにはいえない話です。
はじめてのカタカナは「リーチ、ロン」だったりして。
投稿: poron | 2004.11.26 01:30