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2004年12月の記事

ごめんね、花子。

 年内最終日の28日、自動車免許の更新へ行ってきた。高校生のときに免許を取って以来、ペーパードライバーの私は当たり前ながら「ゴールド免許」だ。いままでは交通事故のパネルを神妙な顔つきでながめるだけでよかったが、平成14年の道路交通法改正で優良運転者も30分の講習を受けることになった。

 優良運転者講習の担当は50代後半と思われるおばさんだ。メガネをはずした十勝花子風。講習が始まってすぐ「みなさん、お食事は済まされましたか?」と話しはじめた。「お腹、空いちゃうわよね。でも、ちょっと我慢ね」と前説ノリでツカミはOK。しかし、時計は1時10分を指している。こんな時間にメシはないだろう。

「これから30分の講習を始めます。ビデオを見て、ちょっと説明をして30分。寒いから暖かいものを食べたいだろうけれど、お食事は講習が終わってからにしてくださいね。これ、お約束」

 まだ、メシの話は終わらない。十勝花子は昼抜きなんだろうか。花子は講習の間も、なにかと「これ、お約束」を連発していた。「●ページをお開きください」という、妙な丁寧語にも笑ったが、すべての説明の最後にくっつける「これ、お約束」もなかなかいい。

「走行中に携帯電話を使うと5万円以下の罰金が科せられます。これ、お約束」「飲酒運転の罰金が引き上げられ、酒気帯びで30万以下、酒酔いだと50万以下になりました。これ、お約束」「教則はお家に帰ったら3回は読んでください。これ、お約束」

 お約束がいっぱいすぎて、覚えきれず。ごめんね、花子。

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口だけ番長

 もう、いいかげん年賀状を辞めたい。そう思いつつ、ひたすら年賀状を書く年の暮れ。それにしても「もうアンタには送らないから、そっちも送らないでね」とリストから外した相手に限って、元旦早々に「お元気ですか?」と届くのはナゼか。

「お元気ですか?」と書かれた年賀状。そして、届いてしまったがために仕方なく「おかげさまで元気です」と後出しする年賀状。もうこんな状態が10年も続いている人がいる。毎年「元気ですか」「元気です」のためだけに出される年賀状にどれだけの意味があるのか。いずれ「私が元気なのかを、本当に知りたいのか」とたずねてみたい。

 幼なじみから届く年賀状も毎年、同じフレーズ。独身時代は「元気ですか? 飲みに行こうね」だったが、私が結婚してからは「元気ですか? 今度遊びに行くね」と微妙に変化。しかし、そのフレーズも4年書き続けてしまったため、昨年からは「今度遊びに行くね。いつも口だけ番長ですみません」と変わっていた。

 書き手側の気まずいムードが漂う年賀状。いいよ、もう。そんなに気をつかってまで送らなくても。

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死んでわかる人の心

 ▲▽ 愛欲の解毒場 ▽▲の「負け犬の証」を読んで思い出した。私の親戚のおばもそうだったな、と。有名な建築家だったおじのおかげで、優雅な主婦生活を送っていたおばは「華やか」という言葉がぴったりの人だ。茶室を備えた大邸宅でお花やお茶の教室を開き、鎌倉彫りや書道を習い、料理はプロ級。人が集まり、にぎやかな家だった。

 私と母はずいぶんとおばにかわいがってもらい、遊びに行くたび、たくさんの手料理を教わった。そんなおばが倒れたのは冬の寒い朝。すでにおじは亡くなり、ひとり息子は結婚して家を出ていた。トイレに行って倒れ、連絡が取れないことを心配した息子が彼女を発見したのである。

 お通夜の前日、私は集まってくる親戚のためにおにぎりや卵焼き、煮物などを作り、持って行った。すでに何人もの親戚が集まっていたが、リビングにいたのはほんの少し。おばのお姉さんや妹たちは物置きに入って何かを探していた。仙台からおばの兄弟姉妹が揃ってやってきて、家に上がり込んだとたん、物置きの物色。「これ、私がもらうわよ」「あの宝石、どこにしまったのかしら」などといいながら。

 さんざん欲しいものにツバをつけ、暗くなったとたん「私たちはホテルに泊まるから。明日のお通夜には出席するからね」と帰ってしまった。寝室ではおばがひとり横たわっている。最後の晩なのに「今晩は一緒にいたい」という人は誰もいなかった。そんな親戚をため息まじりで見ていたひとり息子は気の毒だった。

 お金や地位があるときは人は自然と集まってくる。ただ、それは本当にその人を好きなのかは別なのだ。

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酔っています。

DSCN2808 東小金井の沖縄料理「海風」で飲み。ただいま帰宅しましたあ。いや〜、楽しかったよ。親友あっくんと私、夫、娘、そしてあっくんの後輩で25歳のK嬢。夫と娘は早々に帰ったが、残った3人で恋愛談義。K嬢いわく「お互いの部屋にも行き来する男性がいるのだけれど、友だち同士の関係のまま。自分は好きなのに相手がどう思っているのかわからない」という。ここは38歳の元裏番&歌舞伎町の蝶(私)と、44歳の元恋愛で泣いた経験も持つ男(あっくん)の出番である。

 K嬢がいうには、クリスマスイヴもすでに約束済み、男の部屋でごはんを食べるらしい。そこまでいっていて、何が問題なのかと思えば要は「恋愛感情にもつれこんで、友情をこわしたくない」という気持ちがネックになっているのだ。「女から好きだと告白して壊れる程度の関係なら、その程度の縁」と私の持論。「ちょっとカマをかけてみなよ」という私に対して、あっくんは「今どきの男は鈍感だ。カマをかけたぐらいで気づくわけがない」と反論する。

 いいじゃん。気づかないバカだったらそれで。「私のこと、どう思っている? 私は好きなんだけど」といって、男が「わからない」とか「別に恋愛対象じゃなかった」などと答えたら「じゃ、好きになって」といえばいいだけなのに。それで好きになってもらえなければ、諦めればいい。

 そんなことをコンコンと話しつつも「こうやって相手の気持ちを考えながら、ドキドキするのが楽しいのよね」とオバサン風味のことを考える私。ああ、だれか私もドキドキさせろよ、などとヤケッパチになりながら酒を飲んできた夜であった。

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盗用について

 すでに検索でここを訪れている人や、メールが来ているので書かねばなるまい。昨夜、毎日新聞を皮切りに共同通信社、読売新聞のネットニュースで報道されたのをご覧になった人も多いだろう。ニュースでも報道があったらしい。

 12月3日の記事で書いた「魔が差した? 流用騒動」は、報道されたムックのことである。店取材をしたライターさんが他誌の記事を盗用した、というのが真相だ。あの記事を書いたときは盗用(私は流用と書いたが)が発覚したばかりで、その後編集を請け負った制作会社と版元がお詫びにいっている。

 私はインタビューページを担当していたので、そのライターさんとは面識がない。カメラマンの夫もこの本に参加しているが、組んだライターさんではなかったので取材時の状況はわからない。

 すでに2ちゃんねるにもこのニュースは流れ「制作会社がギャラをたたいたから、取材しなかったんだ」などの書き込みがある。しかし、掲載した店はすべてカメラマンとライターが実際に行き、写真を撮ってきている。

 まあ、店主が忙しくて写真は撮れたが、話は聞けないということはよくある。ただ、それも取材のやりようで、取材シートを渡して後日、FAXしたもらったり、あらためてヒマそうな時間に電話をして話を聞くことはできるはずだ。たった4ページのために5時間もかけて取材をし、手抜きをしないで原稿を書いた私にとって、かかわった本がこんなことになって本当に悲しい。

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仕事をしたという証拠

DSCN2806 先日、出席を頼まれていたにもかかわらず、娘の発熱でドタキャンせざるを得なかった在宅就業ポータルサイト協議会のヒアリングへ行ってきた。改めて日程を確保してもらい、SOHOの取引や契約トラブルについて話をしてきたのである。

 ヒアリングを担当したのは協議会委員の湯山弁護士と、在宅就業ポータルサイトを運営する(財)社会経済生産性本部の事務局次長。ヒアリング対象者は私の他にもうひとり。偶然ながら私と同じ、女性ライターであった。

 ヒアリングはリラックスした雰囲気で行なわれた。同席したライターさんはクライアントの破産を経験し、裁判所に提出する債権届出書を作るのに苦労したという。債権届出書は配当を受け取るために(破産管財人は破産者の資産を現金にして債権者に配当する)必要な書類だが、債権の存在を証明しないとならない。発注書もなければ、納品書もなかった彼女は、取材先に提出した企画書や請求書を添付して裁判所へ送ったそうだ。

 出版業界では書籍の著書以外、契約書を交わさないのが通例だ。納期(締め切り)がズレたり、企画自体が二転三転するので、書きようがないのである。湯山弁護士は「電話でのやりとりだけでなく、メールなり書面なりで仕事をしていたことの証拠を残しておくこと」と話していた。現在では編集者とはメールでやりとりをすることが多いが、以前は「電話で依頼、直接会っての打ち合わせ、原稿はFAXまたはフロッピー」という時代もあった。こうなると依頼された証拠も、仕事を進めていた証拠も、納品した証拠もない。いま考えると、なんて無防備だったんだろうと思う。

 この不景気の時代、新しい取引先の仕事を受けるときは念には念を入れる必要がありそうだ。仕事が終わると「あ〜あ、こんなに大変だった仕事のことは早く忘れたい!」と、もらったメールや書類をごっそり捨ててしまう私はかなりアブナイ、と思う。

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僕の名前はジャック・バウアー

24s 僕の名前はジャック・バウアー。CUU(CONTROL UNKO UNIT)−UNKO対策ユニットの特別捜査官。事件は12月20日になったばかりの、深夜0時に始まった。僕の人生で最悪の24時間が今、始まろうとしている……。


【0:00】
下痢気味だった俺の腹も、ようやく回復の兆しを見せている。
CUU特別捜査官として、下痢症に悩むなどあるまじき失態だ。

【1:00】
明日の朝までには80P分の原稿を完成させなくてはならない。
トニーとミッシェルに応援を頼むが
「夫婦の時間を大切にしたい」と断られる。

【2:00】
「タオル」と書くところを「手折る」と誤変換。
これだから、ことえりは使えない。

【3:00】〜【8:00】
ひたすら原稿を書き続ける。
腹が減ったので買ったばかりの新潟揚げせんべいを食う。
値段のわりにまぁまぁだ。

【8:00】
原稿が書き終わった。しかし、休むヒマもないまま
サンドイッチを作り始める。家族の朝飯。

【9:00】
娘のキムは嘔吐下痢症で保育園を休んでいる。
アタマが興奮して眠れず、ぼんやりとテレビを見る。

【10:00】
玄関チャイムが鳴った。UNKOテロリストか!?
あわてて警戒レベルを上げるが、アスクルの配達おじさんだった。

【11:00】
市役所の子育て支援課から電話。
郵送した書類のタイプミスを指摘され、落ち込む。

【12:00】
便意をもよおし、トイレへ行く。
CUU特別捜査官として満足できる結果を残した。
これで来期昇進は確実だ。

【13:00】
ようやく眠ることにする。俺のいちばん幸せな時間……。

事件はリアルタイムで起こっている。

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私は下痢症を噴出しています

 ずっと前からやっていた実用書の締め切りが近づいてきた。いよいよ追い込み。徹夜で原稿を書き続けているとアタマがくさってくるので、ネットで息抜きをしたりする。まあ、オークションをのぞいたり、他人さまのBlogを読んだり、ZOO KEEPERDelboでサクッと遊んだりなのだが……。

 今日はどれも飽きちゃって、ひさしぶりに翻訳遊びをやってみた。翻訳遊びというのは、「ウェブページ翻訳」という記事で紹介した遊び。それを今回、つい先日アップした「本日は休業します」でやってみた。

●元原稿

風邪をひいた。吐き気とお腹の風邪。流行ってる、とは聞いていたけれど、ここまでつらいとは。昨夜は9時に寝たものの4回もトイレに駆け込み、まんじりと朝を迎えた。娘はみずぼうそう、私は嘔吐下痢症。最悪だ……。腹がグニョングニョンと鳴っているので本日はお休みします。

●原稿を英訳

He caught cold. Nausea and cold of the belly. Although it has heard that it is in fashion and can cook, it is that it is hard so far. Although it slept at 9:00, no less than 4 times, it ran into the toilet and まんじり and the morning came around last night. A daughter does not see but ぼうそう and I are vomiting 下痢症. It is the worst .... Since the belly is sounding with GUNYONGUNYON, I rest today.

●英訳された原稿を和訳

彼は寒くてひっかかりました。腹部の吐き気および寒さ。流行していて料理することができる、と聞いていましたが、それは、ここまで困難であるということです。9:00,に少なくとも4回眠りましたが、それはトイレおよびまんじりに衝突しました。また、午前は昨夜やって来きました。娘は見ません。しかし、ぼうそうと私は下痢症を噴出しています。それは最悪の事態です....腹部がGUNYONGUNYONで鳴っているので、私は今日休みます。

 私は下痢症を噴出しています……。そりゃ、最悪だろうよ。

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テレクラで見つけた就職先(3)

テレクラで見つけた就職先(1)テレクラで見つけた就職先(2)のつづき。

 内装会社兼ヤミ金融の社長は、恰幅のいいオジサンだった。口のまわりを囲むように生えたヒゲ、角刈りのアタマ、風船のような腹を見るたび、「信楽焼きのタヌキ」を思い出す。私は密かに社長のことを「タヌキおやじ」と呼んでいた。表と裏の顔があるあたり、いかにもタヌキじゃないか。タヌキおやじはある日、私を社長室に呼び出してこういった。

「これから取引先に行くから同行してくれ」

 ここは電話番とワープロ打ちぐらいしか仕事のない、小さな会社だ。そんな会社の雇われ事務員である私が、取引先に出向いて何をするのか。

 まさかヤミ金仲間に売り飛ばすとか。
 それとも、取り引き先への枕接待?
「イロイロ込み」のイロイロか?
 うわーん、何かあったら逃げてやる!

 出かけた先は恵比寿にある「○○○○協同組合」だった。看板を見たとき、ようやくそこが「ヤミ金」じゃないことに安堵する。しかし、その安堵はアッという間に打ち砕かれた。私とタヌキおやじが案内されたのは、人相の悪い男が座る専務室だったからだ。専務は「ああ、よく来たね」といい、私のことを値踏みするかのようにジロジロと眺めた。

「専務、先日お話したのがこの子です」

 タヌキおやじは、すでに専務と話がついているようだった。事務員の私を、取引先の専務に紹介する……。その理由は思いもよらないものであった。

(つづく/(4)へ

仕事ネタ | | コメント (3)

本日は休業します

 風邪をひいた。吐き気とお腹の風邪。
 流行ってる、とは聞いていたけれど、ここまでつらいとは。

 昨夜は9時に寝たものの4回もトイレに駆け込み、まんじりと朝を迎えた。娘はみずぼうそう、私は嘔吐下痢症。最悪だ……。

 腹がグニョングニョンと鳴っているので本日はお休みします。

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イヌ好きならば

 子どものころから捨て犬を拾ってきては、しかられていた私。実は父も母も無類の犬好きなのに、団地住まいで飼うことができなかったため、仕方なく娘をしかっていたようだ。一軒家を建ててすぐマルチーズを飼い、家族全員で溺愛したのはいう間でもない。

 そんな「犬好き」の私は何年間か「愛犬雑誌」の仕事をしていたことがある。最初のうちは「取材でワンコに会える〜!」などと喜んでいたが、日がたつにつれ、仕事をするのがつらくなってきた。

 愛犬雑誌で仕事をする、ということは犬を飼うことにまつわる、イヤな面も見なくてはならない。動物病院へ取材に行けばおそろしい病気の話を聞き、ときには息も絶え絶えの犬を見ることになる。ペットショップでは金もうけの商品として、生まれて間もない子犬が次々と売られている。溺愛ぶりが正気の沙汰とは思えないような飼い主や、競技やショーに力を入れ「自分以外は敵。うちの子以外はライバル」とテンパっている飼い主も多い。

 タイアップページという、広告がらみの記事ではスポンサーの意向を反映させるため、書きたい原稿を書けない。「愛犬、じゃなくてワンちゃんにしてください」とかはまだカワイイもので、添加物たっぷりのフードを「健康に配慮したナチュラルフード」などと書かされることもある。「タイアップページはギャラもいいし、仕事だから」と割り切れればいいのだが、私がやっていた仕事はギャラは通常ページとほぼ同額。たとえギャラがよくても犬好きである限り、こうした仕事は引き受けたくない。

 犬が好きであれば、愛犬雑誌の仕事はしないほうがいい。その業界の裏側を見るのはつらくなるだけだ。

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テレクラで見つけた就職先(2)

 column@管理人室: テレクラで見つけた就職先(1)のつづき


 社長室にお茶を持っていった私は「今日の客」の顔を見た。やはり、いままでの客と同様、いまにも死にそうな顔をした男だった。社長は手に札束を持ち、1万円札を何枚か抜いたうえで男に渡した。

「助かりました。本当にありがとうございます」

 男はその札束を大事そうに懐に入れた。みるみるうちに顔の血色がよくなっていく。

「金利はさっき説明したとおり。次の返済日は○日だから」

 社長はデスクチェアに踏んぞり返ったまま、その男にいった。

 表の顔こそ「店舗内装会社の社長」だが、実は「ヤミ金融」であった。大手消費者金融(サラ金)とは違い、いわゆるトゴ(10日に5割の利息)やトジュウ(10日に10割の利息)といった超高金利のヤミ金である。客の来店はこういう手順で行なわれる。小切手や手形を担保に金を高金利で貸す「マチ金」が、スポーツ新聞などに3行広告を出す。多重債務者は大手消費者金融では貸してもらえないため、こうしたマチ金を訪れるが、担保にするものがないこともある。そうした場合、マチ金は客に「うちじゃ無理なんですが、貸してくれるところをご紹介しますよ」と切り出す。切羽詰まった客は社長のもとを訪れ、超高金利で借金をしていくわけだ。社長が札束から抜いた金は「貸した段階での手数料と金利」で、その一部は紹介料として街金へ支払われる。

(つづく/(3)へ

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休日診療のたらいまわし

 風邪で発熱していた娘が、ようやくなおって保育園へ行った金曜日。夫が夕方お迎えに行くと先生がなにやら叫んでいる。「おとうさ〜ん! プチプチが出ていますよ〜」と。

 プチプチだよ、プチプチ。3週間ほど前から保育園ではみずぼうそうが流行し「次は我が家か」とビクビクしていたのだが、やっぱり感染していたらしい。あっという間に全身プチプチ。また保育園をしばらく休むハメになってしまった。

 昨夜はみずぼうそうに加え、耳が痛いといいだした。耳鼻科はどこも休み、夫は取引先の忘年会で飲んだくれ。仕方がないので休日診療当番をしている近所の内科に電話をかける。せめて、鎮痛剤と抗生物質ぐらいは出してくれるだろう。

「4歳の娘なんですが、みすぼうそうで投薬を受けています。さきほどから耳が痛いと泣いているので、見ていただけませんか」と聞く私に、電話に出たババアはこういい放った。

 「うちは小児科と内科です。耳は耳鼻科です」

 ……。そんなの知っているよ! 耳鼻科が開いていないんだから仕方ないじゃん。アンタのところ、当番医でしょうが!
 
 「今日、小金井の耳鼻科はどこも開いていません」

 
 「……」

 
 「開いている耳鼻科をご存知ですか?」

 
 「……」

 
 「鎮痛剤と抗生物質だけでも処方できませんか?」

 
 「耳は耳鼻科なんですよ」

 
 「わかってます。開いていないから頼んでいるんです」

 
 「……」


 クソの役にも立たねえ。仕方がないので日赤救急センターに電話する。しかし、耳鼻科は不在。杏林救急センターに電話してようやく「耳鼻科は休日当番制でやっていて、今日は小平の昭和病院で診てくれる」と教えてもらう。昭和病院は当番医がすぐに電話に出てくれ、相談に乗ってくれた。診察は可能だが、自宅にある鎮痛剤カロナールを飲ませて様子を見るようにと指示を受ける。

 そもそも、内科当番医が診察もしないで、開いていない耳鼻科へ行けというとは。「耳鼻科当番医を調べる方法」を教えてくれればいいのに。救急センターに駆け込むほどではないが、薬の飲みあわせや自宅でできる対処法を知りたいことも多い。休日や深夜、子どもの病気をスムーズに診察できる体制づくりと、カンタンな相談を受けられる窓口をぜひ作ってほしいと思う。

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テレクラで見つけた就職先(1)

 むかーし、むかし。1年ほど勤めていた編集プロダクションを辞め、フリーライターとしてやっていくかを悩んでいたころだ。無職だった私は在宅でテレクラのサクラをしながら、日銭を稼いでいた。とはいえ、男まさりの私が色っぽい話ができるわけもなく、サクラとしては無能の部類に入っていたはず。

 ある日のこと。「40すぎの会社社長」を名乗る男と電話がつながった。「なんの仕事をしているの?」と聞かれ「いまは無職」と答えると、その男は「じゃあ、うちの会社で働くといいよ」という。そもそも、テレクラの客に就職をあっせんしてもらうこと自体、バカじゃないかと思う。しかし当時は、食費やら家賃やらを払うために、とにかく稼ぐ必要があったのだ。

 翌日、浅草の事務所まで面接に行く。店舗内装をしているという、その男の会社は「社長ひとり、女性事務員ひとり」しかいない、小さな会社だった。「イロイロ込みで月20万」といわれ、その「イロイロ」を深く考えないまま、就職が決まった。

 初出勤日。シングルマザーだという女性事務員から「我が社のルール」を教わった。社長にはAとBふたつの名前があって、Aさん宛の電話がかかってきたら折り返し電話させますと伝え、Bさん宛の電話だったらすぐさまつなぐ、というものだ。社長が偽名を使っているあたりで怪しすぎるが、なんせ私は「イロイロ込み」なので追求しないでおく。

 しばらくして、私はこの会社が「ふつうじゃない」ことに気づく。確かに店舗内装をしていて、原宿や渋谷の飲食店をいくつか手がけていた。しかし、社長室には毎日、ふつうじゃない人々が何人も訪れていた。客はたいてい男で、どう見てもサラリーマンじゃない。みんながみんな、小汚い身なりで、死にそうな顔をしながら社長のもとを訪ねてくる。

「あの人たちはなんだろう。取り引きの相手じゃなさそうだし」

 そんなことを思っていたある日。私は社長の意外な素顔を知ることになる。

(つづく/(2)へ

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ささやかなシアワセ?

DSCN2790  何年ぶりだろうか。子どもにせがまれて連れてきた遊園地。いまさら絶叫マシンやお化け屋敷ではしゃぐ歳でもあるまい。夫と娘が乗り物を楽しんでいる間、私はベンチでのんびりとながめていよう。そう思っていたのに。


 まさかこの歳で、カブト虫に乗るとは思わなかった。
 まさかこの歳で、空を飛ぶとは思わなかった。

 ママはさ、昔は裏番だったんだよ。OL時代は水商売に間違われるほどの厚化粧だったんだよ。私のケツをさわった痴漢を電車から引きずり出して、ボコボコにしたこともあった。人にはいえないこともたくさんしてきた。そんな私がカブト虫に乗ってグルグルグルグル……。

 「ああ。これがささやかなシアワセ、ってやつなんだ」と思いながらも、なぜか唇をグッとかみしめる私。

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憧れているんじゃないのかよ

「たまには吉祥寺でごはんでも食べよう」と、家族で出かけたときのことだ。その日は朝から雨が降っていて、夜は特に冷え込んだ日だった。子連れでもイヤな顔をされない店で食事をし、のんびりと歩きながら駅まで戻る。

 駅前の横断歩道を渡り切ったところで、夫と手をつないでいた娘が立ち止まった。なにかと思い、娘の視線をたどると、そこには交番が。お世辞にも広いとはいえない交番のなかでは、5人のおまわりさんが電話をかけたり、書類をかいたりと忙しそうにしていた。4歳の娘にとって、おまわりさんは「正義のヒーロー」だ。悪い人を捕まえて、おまわりさんの家(留置所)につれていく。だから、カッコイイ!

(ああ、おまわりさんを見たいんだな)

 そんなことを考えたのもつかの間、娘は交番のなかにスタスタと入っていき、おまわりさん相手に敬礼を始めた。

(なにしてんだよ〜)

 あわてて連れ出そうとするが、娘は敬礼をしたまま微動だにしない。交番に流れる「戸惑いの空気」。と、そのとき、ひとりのおまわりさんが真顔で敬礼を返してくれた。

「パパとママと一緒なの? いいねえ」
「あのね、いつもいい子にしているよ」
「雨が降っているから気をつけて帰ってね」
「いまねえ、ごはん食べてきたの」

 全然、会話がかみあっていない。それでも、娘はうれしそうだった。興奮気味に交番を出てきた娘に「よかったね。大きくなったら、おまわりさんになるの?」と聞いてみたが「運転手さんになる」と答えていた。なんだよ、憧れているんじゃないのかよ。

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昔のオンナの呪縛

 私の誕生日だった11月29日のこと。夫と娘と買い物をしていると、私の携帯に着信が。見なれない番号に「?」と思いつつも、電話を取る。なんと、昔付き合っていた年下の男からだった。

「姐さん、誕生日おめでとう」

 別れてからもう何年経つだろうか。元気そうだなと感慨にふけりながら「よく誕生日覚えていたね」と聞く私に、彼は元気よくこう答えた。

「だって姐さんの誕生日、イイニク(1129)だろ。仕事をしていても思い出しちゃうんだよ」


 お客さんへの納品日を確認しながら、イイニクに気づく彼。
「あと1日で月末だ。もう少し成績をあげなきゃ」とカレンダーを見てイイニクを発見する彼。


 ……なんともかわいそうすぎる。1日でも早く、別れた女の呪縛から解放してあげたい、と願う私。

 そういえば、OLになりたてのころ、こんなことがあった。同期の宮本くんとは特別な付き合いをしていたわけじゃなかった。同期グループで飲みに行くメンバーのひとり。そんな彼が、入社して間もないある日、こんなことをいいだした。

「オレさ、給料振り込み用の口座を作ったんだ。それで、キャッシュカードの暗証番号を0823にしちゃったよ」

 実は私の名前は「はつみ」である。よりによって宮内くんはキャッシュカードの暗証番号を「ゼロハツミ」にしたのだ。あのときは気づかなかったが、よくよく考えると一種の告白だったのか。数日後、今度は同期の宮本くんが「実はさ、キャッシュカードの……」といいだした。同期入社の、宮内宮本ふたりそろって「0823」。おまえら、何やってんだ。

 OLを辞め、ライターになって早10年。宮内くんと宮本くんは、いまだあのキャッシュカードを使っているのだろうか。結婚しても子どもができても、金を降ろすたびに思い出される「同期入社の女」。銀行へ行くたびに蘇る「同期入社の女」。ああ、なんて罪深い女なのだろうか。私って。

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会社乗っ取り、らしい

 みなさん、こんにちは。取引先の倒産に、迫り来る締め切り、娘の発熱、夫の通帳&クレカ紛失……という、非常に非常に「ヤバイ」日々を過ごしているporonです。ああ、ツイてねえ。

 しかしながら、ちょっとだけいいことはあった。先日、知り合いの社長と連絡が取れたからだ。どうやら投資話に引っかって乗っ取りに合い、会社をたたむことにしたらしい。「自殺とかしているんじゃないかと心配したよ」というと「迷惑かけてごめん。がんばってやり直すよ」と社長。意外に元気そうでホッとする。「うちのギャラの件は落ち着いてから考えてくれればいい。しばらくはアタマを下げたり、イヤなことをいわれたりもするだろうけれど、みんなに迷惑をかけたのだから逃げたり、不義理をしたらダメだよ」という私に、社長は「大丈夫。せっかくここまでマジメに商売してきたから、がんばるよ」と約束した。

 うちは金額が少なかったから(とはいえ、我が家では大きい!)、まだいいが、連鎖倒産になりかねない債権者もいるだろう。これから年末に向け、まだまだ「倒産、破産、夜逃げ」なんて話が出てきそう。アナタの会社、本当に大丈夫?

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期せずしてリアルタイム

 さっきからアタマのなかで森山良子の「さとうきび畑」がグルグルしている。しかも「あわわ あわわ」という替え歌仕様。どうやら、2ちゃんねるの某スレによれば知り合いの会社は「倒産確実」らしい。今日も会社の電話は不通、社長の携帯は呼び出し&留守電に応じず。あわわわわ、と慌てたくなるのも仕方がない。

 9月に社長から頼まれて、夫を撮影に行かせている。某メーカーのパンフを作るため、デジタル多め+ポジ少々の撮影、感材費(フィルム、現像)と交通費コミコミで13万円。「昔からの知り合いだから、よろしく頼むね」と、夫を撮影に行かせた私の立場は……もはや、ない。

 実は明日、在宅就業ポータルサイト協議会/(財)社会経済生産性本部からの依頼でグループヒアリングに行くことになっている。要は「SOHOをやっていて、どんな契約トラブルに合ったのか」「どう対処したか」などを聞かれるのである。いままでの経験に加え、期せずしてリアルタイムの経験談を話すことになろうとは……。これって、ナイスタイミング?

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夫がまたやらしかした

 6月に書いた「言いまつがい」に引き続き、また夫がやらかした。広島の実家から荷物が届き、お礼の電話をする夫。相手はお義父さんだ。


  夫 「荷物、届いたよ〜。ありがとうね」
  義父「ああ、届いたか。よかったよかった」
  夫 「一緒に入っていたきんぴらのアレ、さっそく使うね」
  義父「きんぴら? きんぴらってなんだ?」
  夫 「きんぴらだよ、きんぴら!」


 ここで私は気づいた。きんぴらじゃなくて、金毘羅(こんぴら)! 金毘羅さまのお守りだってば! 思わず、電話の横でツッコミ。また、始まったよ。言いまつがい。

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げに恐ろしきは女の欲

 家族3人でテレビを見ていたときのこと。世の中のクリスマス浮かれムードに合わせて「東京ベイエリアのクリスマスデート」という特集が流れていた。ビーナスフォートできらびやかなイルミネーションをながめ、イタリアンレストランで夜景を見ながらディナーを堪能。挙げ句の果てには浦安からヘリでナイトクルージング。

 ああ、ああ、昔あったよねえ。バブルのころ。ヘリを貸し切りにしてさあ、シャンパンを持ち込んで「君の瞳に乾杯」ってやつだろ。いまどきこんなに金をかけられる男なんていんのか? アコムで借金か?

 そんな風にツッコミを入れる私の横で、何やら別の反応を示す人間が約1名。


「うわぁ、すご〜い! ここ行きたい〜☆」

 4歳の娘である。イルミネーションやらイタメシやら、ナイトクルージングを激しく夫にねだる娘。しかも「電車じゃなくて、クルマで行ってね」ときたもんだ。夫はため息まじりに「わかったよ……。今度ね」とつぶやいていた。

 私だって夫にこんなデートを演出してもらった試しはない。結婚前のデートはいつも焼き鳥と日本酒。グレードアップしても、せいぜい「純米大吟醸」ぐらい。それなのに、それなのに……。げに恐ろしき女の欲。いまからこんなでは、年頃になった娘はどうなっているのか。親ながら恐ろしい。

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窮地に陥ったときに見えるもの

 なにやら不穏な動き。先日から知り合いの会社が2ちゃんねるの某スレで話題になっている。

「電話しても誰も出ない」
「倒産したんじゃないか」
「合併吸収されるらしい」
「事務所を移転すると社員から聞いた」
「すでに電話が不通だ」

 2ちゃんねるの書き込みは玉石混交なので、最初のうちは「ちょっと心配だなぁ」程度に思っていたが、ついさっき会社に電話してみたら、こんなアナウンスが……。「お客さまのおかけになった電話番号は、都合により通話ができなくなっております」

 実は1ヶ月ほど前、その知り合いから借金を申し込まれた。ライターとして仕事をしている私とはいえ、単なる主婦がカンタンに出せる金額ではない。きっと会社が大変なんだろう、何とかしてあげたいけれどと思いつつ、断るしかなかった。ここのところ、電話で話をするたびに「投資をしてくれる人はいないか」など、お金に関することばかりいうので、気にはなっていた。それでも、仕事で騙されて泣いた経験のある人だから、きっと真面目に商売をやっているはずだとも思っていた。

 うちも、まだ支払ってもらっていない2ケタのギャラがある。倒産なのか、合併吸収なのか、単なる移転なのかはわからない。万が一、倒産だとしても、逃げまわるのではなく、きちんと債権者や取引先にアタマを下げ、筋を通すべきだと思う。実際、うちの取引先は、クライアントの倒産によって支払い困難になったところがある。結果的に当初のギャラの3割程度で合意し、半年かかって支払ってもらった。正直いって、50万以上のギャラが3割、というのはつらかった。それでも取引先の社長がマメに連絡をくれ、きちんと誠意を見せてくれたから納得し、「うちへの支払いはいつでもいいですよ。がんばってください」という気持ちにもなれた。

 人間は窮地に陥ったとき、見えてくるものがある。当事者は「羽振りのいいときとは違う、人々の扱い」を知り、まわりの人間は「当事者の人間性や心意気」が見えてくる。大変なときほど、踏ん張りどき。もし、取り合いの彼がそんな窮地であるのならば、これからが本当の正念場なのだと思う。

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疲れたときには笑いを!

 夜中にねえ、ひとりでねえ、仕事をしていると疲れちゃう。身体どころかアタマも気力も。そんなときに私が特効薬にしているのが「笑えるサイト」。働きまくっているエディターソフトを休ませながら、ネットサーフィンをして「笑い」を探すのである。

 以前、「マネキン・ネタ」で紹介した「マネキン道場」もそうだ。写真が放つインパクトは、疲れた心にカツを入れてくれる。

 最近、もっぱらお気に入りなのが「標識で笑うサイト」だ。特に笑っちゃうのがこのなかの「道路標識の新解釈」「パパあれ買って」。夜中にこれを見ながら、ひとり含み笑いをしている。

 疲れたときには笑いがいちばん。笑ったあとには、ほんの少しだけやる気が出る。そんな私におすすめの笑えるサイトがあったら、ぜひご紹介ください。

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魔が差した? 流用騒動

 外出から戻ったところ、家の電話に着信履歴があった。メッセージはない。番号(ナンバーディスプレイ)を確認したら、某制作会社からの電話だった。「もしかしてご連絡をいただきましたか?」と電話をしてみると、制作会社の社長は静かな口調でこういった。

「本当に失礼な話で申し訳ないのですが……」

 ここの会社とはちょっと前に仕事をしたきりで、ここしばらく新規案件の依頼もない。「失礼な話」とか「申し訳ない」といわれるとすれば、それは「ギャラ」のことに違いない。

   ギャラ、値切られる

   支払い遅延決定!

   悲しみに暮れる一家

 アタマのなかにはスポーツ新聞並みの見出しが踊る。ああ、今年はクリスマスも正月もナシか……。そんなことを想像して涙目になる私。すると社長は「実は……」と、話を切り出した。

 ちょっと前に私が手伝った仕事のことだ。一般読者から版元に電話が入り、とあるライターが書いた記事を「流用ではないか」と指摘されたという。編集を請け負っていた制作会社の社長は、あわてて指摘されたページと、流用元と思われる商業誌を見比べた。その結果「てにをは、と文章の順番は変えているものの、内容は流用と思われても仕方のないものであった」という。担当ライターに確認すると「取材先が協力的でなく、ほとんど話を聞かせてもらえなかった。この本にも紹介されているから、この記事を参考にしてくれといわれ、それを見ながら手を加えて入稿した」と答えたそうだ。なっち、じゃあるまいし。プロのライターだろうが。

 版元はこの仕事に関わったすべてのライターに対し「何の記事を参考にしたか。また、流用していないという念書を書いて出せ」と命じてきた。それを伝えるため、制作会社の社長が電話をかけてきたのだった。社長は本当に悲しそうだった。落ち込んでいるのが受話器から伝わってくる。気の毒すぎて、かける言葉もなかった。

 私自身、原稿を書くときに材料が足りなければ、他誌やwebサイトを参考にすることはある。しかし、原稿を書くというのは料理と同じで、材料が一緒でも創る人によって違うものが出来上がるはずだ。

 たぶん、そのライターはスケジュールが相当、厳しかったのだろう。いつもはそんなことをしていないのに、疲れて眠くて面倒になって「ま、いっか」とやってしまったのだろう。でも、そのことで悲しんだり、アタマを下げたり、眠れなくなった人がいることを忘れないでほしい。版元は弁護士を立てて先方に謝罪し、制作会社の社長は「もう、出入り禁止だ」「どうしたらいいのか、わからない」と落ち込んでいた。同じ時期に、大変な思いをしながら原稿を書いたライターとして、本当に悲しい出来事だった。

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デザイナーさんのほめことば

DSCN2796.JPG ほんの少しだけ仮眠をして、後楽園のデザイン事務所へ。60ページ分のコンテを最終修正し、デザイナーさんに持っていったのである。初めて会うデザイナーさんは50代ぐらいのおじさまだった。プリントしてきたばかりのコンテを渡すと、彼は「うーん……」と唸ったまま、しばらくコンテをながめていた。

 何をいわれるのだろうか。わかりづらい、などといわれたら、どうしよう。そんなことを考えてドキドキしていると、彼は紙をパラパラとめくりながら「すごいねえ。こんなにていねいなコンテを見たのは初めてだよ」とつぶやいた。同席していた編プロの社長も思わず笑顔。ああ、ヨカッタ!

「わかりやすいよ。これ作るの大変だったよね」
「ファイルもきちんと整理されてる! すごいよ」

 そんなことをいってもらうだけで、睡眠不足の疲れも吹っ飛ぶ。たくさんの写真をいかに見やすく整理し、デザイナーさんにイメージを伝えるのは本当に大変な作業だ。それでも、がんばってよかった。寝ないで作ってよかった。ほめる、ほめられるって本当に大事なんだ、とつくづく思う。

 後はデザイナーさんの創作意欲と手腕を期待し、読みやすくてわかりやすい誌面を作ってもらうだけだ。……ん? ……んんんん? ちょっと待てよ。原稿を書くのはこれからじゃないか! なんだかもう、すっかり「燃えつきてしまった」気分。この先が地獄なのにさ。

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