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人は変わるもの

 やっぱり来ていた。迷った挙げ句に出さなかった相手からの年賀状。そのなかに、S氏からの年賀状もあった。S氏は約30年前、地元の公民館で子どもたちに遊びを指導していたおじさんだ。いや、小学生だった私から見ればおじさんだったが、きっと当時はまだ30代そこそこだったと思う。○○(地名)レクリエーション研究会の会長だった彼は、子どもたちをキャンプに連れていったり、手作りおもちゃを教えてくれた。私が中学生になり、公民館に行かなくなったころから、なんとなく年賀状のやりとりが続いている。

 当時、私はS氏のことを「子どもと遊んでばかりいて、どうやって食べているのだろうか」と不思議に思っていた。年賀状のやりとりをするうち、彼がドラマの端役として出ていることを知る。「なんだ、売れない俳優なのか」と思ったのもつかの間、翌年の年賀状には「改名しました」という一言とともに、いまだにどうやって読めばいいのかわからない難解な名前が記されていた。そして、改名して以来、年賀状の裏面には占いが印刷されるようになる。「歳をとって占いが趣味になったのか」とおだやかな余生を想像していたが、甘かった。いつの間にかナンタラカンタラ易学連合会という団体の会長になり、今年の年賀状では名誉相談役になっていた。

 なんだか知らないが「名誉相談役」。思わず、肩書きに屈して返事を書く。ふと、見ると小学校の恩師からの年賀状も届いていた。そこには、ウエスタンな衣装に身をつつみ、スクエアダンスを踊る彼の写真が……。人は変わるもの、である。

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