しゃぶしゃぶと落合
駅前でコップ酒を片手に何やら叫んでいる野球帽のオヤジがいた。段ボールを敷いて座り、真正面にいる誰かに叫んでいるのだが、相手はいない。オヤジの視線の先をたまたま通りかかってしまった人は、自分に話しかけられているのかと驚き、そしてあたりを見まわしている。私が傍観していた間だけでもOL風、大学生風、20代サラリーマンが怒鳴られて戸惑っていた。よくよく聞いてみると、オヤジは「落合選手が盗塁をした!」ことを伝えたかったらしい。寒い夜だ。ぜひ、アタマも冷やしてほしい。
オヤジを見たのは、ひさしぶりに「しゃぶしゃぶ」を食べに行った夜だ。若いときはよく、飲食店取材に出かけた私だが、最近はすっかりごぶさたである。たまにはふだん行かない店にも行きたいよなぁ、というわけで2年ほど前から飲食店のモニター登録をしていて、今回はその対象店がしゃぶしゃぶ屋だったというワケだ。
モニターは担当になった店に行き、オペレーションのチェックをする。チェック項目は電話対応から始まり、挨拶や巡回頻度、皿や調味料が揃っているか、トイレの清潔さ、名札の有無など約100項目。さんざん、覆面でのロケハン(取材をお願いすべき店かを事前にチェックしに行く)を経験してきた私は、こうしたチェック項目の多さもあまり問題にならないが、気楽に始めた人のなかには「チェック項目が多すぎて食事が楽しめない」などの苦労もあるらしい。
さて今回、行ったしゃぶしゃぶ店はいわゆるチェーン店である。電話対応と入店接客はとても良かったものの、料理の提供が遅かったり、ちゅう房の入り口に汚れた食器や鍋が山積みになっていたりと、問題点も多かった。お腹いっぱいにしゃぶしゃぶを楽しみながらも、100項目のチェックをして店を出る。駅に戻ってきたとき、野球帽オヤジはまだ座っていて「落合! わかってんのかテメエ!」と叫んでいた。
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