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芽生えた命の選択

 15年来の女友だちからは娘ふたりの写真を印刷した年賀状が届いていた。上の娘はもう小学校5年生だという。今年の写真は友だちの顔にうりふたつで思わず大笑い。「こんなソックリになっちゃって……」という感じだ。

 実は彼女がこの子を身ごもったとき、バツイチ子持ちであったうえに、それを隠して年下の男の子と付き合っていた。ある日、彼女から「生理が来ないんだけど〜」と半べその電話が来た。ふたりで待ち合わせてドラッグストアへ行き、行きつけのスナックで即検査。トイレから「うわ〜」と叫び声がして、私とマスターはやっぱりと顔を見合わせたのである。

「どうしよう」と困惑する彼女に、私は「自分で決めなさい」「彼と相談して」としかいえなかった。彼女はカフェでアルバイトをしながら、養育費を一銭ももらわずに子どもを育てていた。もちろん、生活はギリギリ。当時、駆け出しライターで貧乏だった私とたまに焼き鳥屋へ行っては、なじみの店員に「ふたり合わせても有り金3,000円。超えそうになったら注文ストップしてね」なんてやっていたほどだ。だから、そんな彼女に「ひとりで産んで、ひとりで子ども2人を育てなさい」などといえるはずがない。

 妊娠したこと、バツイチであること、子どもを育てていることを話した年下の彼は動揺した。彼女の親は「結婚できるわけじゃないのだから、堕ろしなさい」と出産には大反対。産婦人科に中絶手術を予約したものの、当日になって「やっぱりイヤ。産んで育てる」とドタキャンした。すでに子どもを産み育てている彼女は「せっかくの命を殺すことなんてできない」という気持ちが強かったのだ。そして、親と彼氏を説得して無事に女の子を出産。現在は未入籍ではあるが彼氏と前夫の子ども、そのときお腹にいた女の子、その後生まれた女の子と一緒にシアワセな家庭を築いている。

 私はあのとき以来、困惑する彼女を「自分で決めなさい」と突っぱねたことを後悔していた。もっと親身になっていればよかった、もっと何かできたんじゃないかと。でも、今年の年賀状を見て、そんな偽善は必要なかったんだと気づく。彼女が「産む」と決めたからこそ、「育てることができた」のだし、反対されながらも「家庭を持つ」ことができたのだ。自分の道は誰かに決めてもらうものじゃない。ましてや命の選択ならなおさらのこと。

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