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パンツの黄ばみ

 結婚してすぐ、夫がとあるネットワークビジネスに手を染めているに気づいた。何しろ、嫁入り道具ならぬ婿入り道具に鍋セットだの、何種類もの洗剤を持参してきたからだ。それだけじゃない。勧誘を勧めるときに使うデモンストレーション用のボトルだの、計量カップまで持っていやがる。「なにこれ」と聞く私に、満面の笑顔で「これ、すごくいいんだよ」とセールストークを始める夫。どうやら、上司の奥さんがトップレベル販売員で、勧められて入会したらしい。

 田舎から出てきて、カメラマンを夢見ながら働くお人好し。ネットワークビジネスの格好のエサだ。夫はローンを組んで大量の商品を買っていた。

「この洗剤はさ、地球にもやさしくて手にもいいんだよ」
「界面活性剤の入った、地球にやさしい洗剤なんてねーよ」
「この漂白剤はね、黄ばみもシミも落ちるんだ」
「じゃ、どうしてあんたのパンツは黄ばんでいるんだ」
「この鍋さえあればご飯もケーキも作れるんだ」
「目玉焼きすら作らない男が何をいう」

 あまりの洗脳されっぷりにあきれた私は、ホームセンターで購入した1本200円の漂白剤と、夫ご推薦の1箱1300円もする漂白剤を使って「値段相応の価値があるのか」と逆デモンストレーションした。もちろん、デモに使うのは黄ばんだ夫のパンツ2枚。見る見るうちに黄ばみとシミが落ちていく1本200円の漂白剤効果を見て、あぜんとする夫。洗脳されやすい男は、逆に洗脳すればいいのである。こうして、無事に夫を脱会させた私は安心しきっていた。5年も経ってから、ネットワークビジネスの魔の手が迫ってくるとは知らずに……。

(つづく)

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