エロCD雑誌の壮絶な体験
何とはなしにあちこちのWebsiteやBlogをながめていたところ「草の根BBS」「パソコン通信」という文字を発見。Macのclassic2に1200bpsモデムをつなげて、パソコン通信をしていた頃の記憶がよみがえってきた。ああ、なつかしい。
フリーライターになった当時、あちこちのパソコン雑誌で仕事をしていた。そのひとつが、ビデオ出版から発売されていた「EX CD-ROM」。いわゆるエロCDのレビュー雑誌なのだが、他誌とはちょっとスタンスが違っていた。通常、雑誌がCD-ROMのレビュー記事を載せる場合、発売元から見本盤と資料の提供を受け、それをもとに記事を書く。しかし、メーカーからの提供を受けている限り、原稿チェックがあるわけで、おもしろくもないCDをほめないといけなくなる。そうした縛りをなくすため、この雑誌では編集部が全CDを購入して「メーカー検閲のない」レビューを載せていたのだ。
「こんなクソゲーに金を払う必要ナシ!」「だるいBGMにヌク気もうせる」なんていうレビューが満載。編集部は無修正グラビアの色校が散乱し、メーカーからのクレーム電話がジャンジャンかかっている。スタッフライターにはある筋で有名なクーロン黒沢さんもいて、警察に連行されそうな連載で人気を集めていた(のちに本当に連れていかれた)。まだ駆け出しだった私は「出版業界とはおそろしいところだ」などと思いつつ、一方で非日常的な雰囲気を楽しむ余裕も。
あるとき、編集長(のちにタイ旅行中の危険なデキゴトが原因で入院。編集長を辞めざるを得なかった。男気のあるすてきな人だった)が幹事となり、スタッフの飲み会を行なった。終電後までさんざん飲んだくれ、盛り上がったものの、どうやって帰ろうかと悩んでいたところ、編集長がひとこと。
「お〜い、今晩泊めてやってくれよ」
もうひとりのライター(男)とともに、クーロン黒沢さんの部屋に泊めてもらうことに。ソファを借りて寝ようとすると「酔い覚ましにどうよ」とビデオ上映を始めた。タイトルは当時、発売されたばかりの「ウンゲロミミズ」。知る人ぞ知る、スカトロビデオの名作だ。ミミズバーガーやウンコを頬張る女優を見ながら、夢の世界へ……。この時期の壮絶な体験がその後のライター人生に生かされることはなかったが、駆け出しの時点で「出版業界はロクなもんじゃねえ」と知ったからこそ、こうして長続きしているのかもしれない。
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