我こそがお姉ちゃん
以前、ここで書いた、アッコちゃんが泊まりにきている。彼女のおとうさんは「ケツの話あれこれ」のおじである。育ての母が亡くなってから、施設で暮らしていたアッコが春休みで帰京。おじは彼女のために一時退院させてもらったものの、検査だなんだで病院通い。そこで「よかったら、うちに泊まりなよ」ということになったのだ。
彼女はとても照れ屋で、話しかけてもうつむいたまま、蚊の泣くような声で返事をする。ギャーギャーとうるさい娘と一緒だとアッコが気疲れちゃうかなと心配したが、大丈夫そう。
昨夜はみんなで銭湯へ行った。精神年齢が小学生程度のアッコに対し、娘はあれこれ世話を焼きたがる。しかし、アッコはすでに30すぎ。彼女にとっても娘は「世話をしてあげたい存在」であり、女ふたりで「我こそがお姉ちゃん」と張り合っているのだからおもしろい。3人で露天風呂に入り、のんびりしているとさっそくおせっかいが始まる。
娘 「アッコちゃん、床がすべるから気をつけてね」
アッコ「……」
娘 「熱くない? こっちのお風呂に一緒に入る?」
アッコ「……」
娘 「さ、あがって身体を洗いましょ」
アッコ「……手、つなぐ?」
娘 「?」
アッコ「すべるから危ないよ。手、つないであげる」
娘 「そうね。危ないもの。手、つないであげる」
どっちが世話焼きなんだか、わかんねえ! 人の世話を焼く前に自分でちゃんとケツが洗えるようになれ!
湯けむりのなか、手をつないで転ばないようにソロリソロリと歩くふたりを見ながら、なんだか微笑ましく思ってしまった。
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