奈落の底で快楽を知る、ということ
先日、吉祥寺いせや公園店で「笑顔のスタッフ」「家族連れでにぎわうホノボノ感」を目の当たりにした私はいささか不完全燃焼であった。いせやは「殺伐としているべきだ」というイメージ、そしてそれがじっとりと染み込んでいるこの身体。あの、本店のどん底空気がどうにもなつかしく、花見のついでに本店へ乗り込んできた。
さすが本店。グダグタ感てんこもり。
昼の1時だというのに、1階のカウンター席(立ち飲みゾーンではない)はすでに満席。焼き鳥の煙にいぶされたような、コ汚いおやじ連中が焼酎をすすっていた。これだよ、これ。人生劇場最終回、みたいなこの感覚。いい。いいねえ……。
記憶喪失のふりをして締切りを放り出してきた私、わざわざこのために保育園を早退してきた娘、こんなとこにいないで稼いでこいよの夫、ウツで休職しているのに元気いっぱいの男友だち……。真っ昼間からいせやを訪れているあたり「目クソ鼻クソ」であるが。
しかしながら、今回は家族連れだったために立ち飲みカウンターは断念。2階の座敷でまったりと飲みつつ、おのれのダメさ加減を反省してきた。座敷に入るのは初めてだったが殺伐とした1階と違い、おばちゃんも兄ちゃんも公園店並みの接客ぶり。注文もスムーズで愛想もなかなかである。居心地のいい時間を過ごせたが、なんだかやっぱりモノ足りない。一度、奈落の底で快楽を見つけると、多少の刺激では満足できなくなる、そんなことを知った1日であった。
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コメント
ほんと、近いんですね、poronさんとこと。
”いせや”、例の酒飲み旦那のお気にです。むかしむかし、子供連れでベビーカー横に置いて立ち飲みカウンターで焼き鳥食べましたっけ。久しく行ってないけど、焼き鳥食べに行きたくなると「いせや~」と叫ぶ旦那です。桜も満開の事だし、そろそろかも?
投稿: みっちー | 2005.04.08 18:46
keichan、ピンと来たもん、ね。(笑
これは新たな展開への伏線だもん、ね。(大爆
投稿: keichan | 2005.04.08 20:10
■みっちーさん
例のご主人。私と通じ合う、何かがありますね(笑)。
もしも、いせやに行くことがありましたら、
ぜひ誘ってください。酔っぱらいもふたりでやれば怖くない。
■keichan
ご期待通りの展開になるか……。ご期待ください(笑)。
投稿: poron | 2005.04.09 10:20