« 2005年3月 | トップページ | 2005年5月 »

2005年4月の記事

GWなんてクソだ

 我が家にとってGWはクソみたいなもんである。出版社や印刷屋がきっちり休むため、毎年4月中旬からは地獄のGW進行となる。「とにかくGW前に」といわれていた取材や撮影やコンテ出しや入稿を済ませ、ホッとしたのもつかの間、今度は「GW明けまでにお願いします」といわれる。「私たちが休んでいる間に仕事しておいてね」ってわけだ。おかげで今年もGW中に書かなきゃならない原稿が何本もある。しかも、保育園は休みなので娘が家にいる。そんな状態で何を書けっていうんだ、オマエら。

 アタマに来たので、GW明けの9〜10日で潮干狩りに行くことにした。娘の面倒を見ながら書かされた(クオリティが低くなるであろう)原稿を、編集者が休み明けで出社する前に送りつける。メールには「これから旅行に行きます。よっぽどのことじゃなければ連絡しないでください」って書いてやろう。原稿を読んで「ここを書き直して欲しい」と思っても、そのとき私がいるのは海のど真ん中。FAXもなければ、パソコンもない。あるのは熊手とアサリだけ。携帯も電源を切ってやる。

 やーいやーい、ざまあみろ!

| | コメント (10)

母の日の悩ましさ

 05103_450 05102_450
 写真はおととしの母の日に、義母(左)と実母(右)に送った花束。以前はどちらかといえば「楽しみな行事」であった母の日が、結婚してからというもの、ちょっとだけ悩ましい。「一年中、花さえあれば幸せ」な実母はラクだけれど、どちらかといえば「花より団子」な義母へのプレゼントはそうもいかない。結婚当初は私なりに悩みに悩み、あれこれと送っていたが、どうも義母の反応がイマイチ。よろこんではくれるのだけれど、ちょっと的がはずれちゃったかな……と、感じたことが続いたので、それからは事前に「今年は何がいい?」と聞くようにした。

「何がいい?」と聞くと義母は「そうねえ、じゃあスイミングで着る水着がいいわ」「今年はガーゼのハンカチにして」とリクエストしてくる。裏表のない人だから、余計な勘ぐりを入れなくていいし、贈るものに悩むよりはいいけれど、リクエストされた品で義母の趣味に合うものを探すのも意外と大変だ。

 今年のプレゼントは、いま聞いている最中。気に入ってくれそうなものがすぐに見つけられる品だといいな、と淡い期待を抱きながら、彼女の返事を待っている。

| | コメント (8)

娘と私の40分

 4歳の娘は私の仕事が忙しくなると、やたらと甘えたがったり、泣き虫になる。たぶん、切羽詰まっている私を見て、情緒不安に陥っているのだと思う。保育園から帰ってきた娘は「あのね、それでね」と今日の楽しかったこと、泣いたこと、転んだことを話したい。でも私は書いた原稿を読み返しては、消したり足したりする作業中。とても話を聞ける状態じゃない。聞いてやりたくても、聞いてやれないことが続き、私自身もつらくてイライラしてくると、娘のほうも変になってくる。ここのところ、そんな状態が続き、いよいよ私も娘も限界に近づいていた。

 朝まで仕事をやって、ちょっとだけ仮眠をする。保育園には娘を休ませるとFAXしておいた。たっぷりと眠った娘と起きがけに布団で遊び、思いきり手抜きをしてシリアルの朝ごはんを食べた。取引先からメールが来ているかもしれない、いまこの瞬間に電話がかかってくるかもしれない、という不安から逃げるように、娘の手を引き家を出る。さっきまで降っていた雨が上がり、薄日が差している。ああ、なんていい気分なんだろう。

 小金井市のシティバスに乗りたいという娘のため、手をつないでバス停まで歩く。ローカル線の小さな駅の入り口にある、小さなバス停。1時間に2本しか来ないバスを、3分前に乗り損ねてしまったらしい。「どうする? 次のバスが来るのは30分後だよ。すごーく待たないと来ないよ」と聞くと、娘は「待っている」という。仕方ないな、30分待つか……。

 バス停の前は芝生で、ときどき駅に電車が来るだけで人の気配はない。いるのは鳩とすずめぐらい。娘は芝生の花を見たり、鳩の鳴き声をまねて遊んでいる。ときどき私のところに来ては「だっこして」とひざに乗り、それに飽きるとまた芝生へ遊びに行く。本当に静かでのんびりした空気。30分もなんにもしないで、空と芝生と娘だけを見ているなんて、いつ以来なんだろう。

 30分を過ごし、バスの到着時刻が近づいてきた。娘はバス停にしがみつき、バスが来るのを今か今かと待ち構えている。いつの間にかおばあさんも一緒にバスを待っていた。25分、30分ちょうど、35分、40分……。なぜか、バスはいつまでたっても来ない。駅前は変わらず、静かでのんびり……。

「おかしいわねえ。欠便なんてあるのかしら」とおばあさん。「私たちずっと待っているんです。変ですよねえ。バス会社に電話して聞いてみましょうか」「そうねえ、お願いできるかしら」

 バス会社に電話をかけ、どうしてバスが来ないのかを聞いてみた。

「……あ、あのう。そのバスが運行するのは明日からなんです」

 電話に出た人は申し訳なさそうに、こう答えた。ああ、なんてことだ! 来るはずのないバスを40分以上も待っていたなんて! 自分のバカさ加減とバス会社に対して、一瞬だけ腹立たしく思ったものの、すぐに「おかげで娘とゆっくり過ごせた」と思いなおす。貴重な40分をプレゼントされたようで、なんだかニンマリの1日だった。
 

| | コメント (10)

無知を主張する人々

 ライターという仕事がらなのか、性格なのかはわからないが、私は自分が知らないことがあれば、すぐに調べたくなるタチだ。人に聞いたり、辞書を調べたり、玉石混交の情報があふれるインターネットでさえ、読み方受け取り方を間違えなければ、おおむね納得できる答えを見つけることができる。

 飲食店の取材に行くと、しょっちゅう「いろんなお店に行っているから、食材や調理法については私よりも詳しいでしょう」といわれる。フードライターならともかく、なんでも屋の私は塩だのダシだの珍しい食材だのを、勉強しているわけじゃないし、知っているつもりのことでも、自信がないからそのつど確認をし、ときには無知を装って「ぜひくわしく教えてください」と聞く。そうした「聞くは一時の恥」を積み重ねながら、なんとか原稿を書き続けているだけなのだ。

 だから最近、思いがけずに出会ってしまった「無知を主張する人々」に戸惑いを隠せない。無知は恥ずかしい、恥ずべきこと、などといいたいのではない。「自分が無知なのは、私のせいじゃない」と主張する人が多いのだ。

 ある人は、父母からのお知らせプリントを受け取っていながら、それを読まずに「知らなかった。うちだけ知らせてもらえなかった」と怒り、自分の過ちに気づいた後「うちは子どもが●人いるから、いちいちプリントなんて読んでいられない」と言い放った。プリントと同じ内容をメールでも送り、返事がなければその人宛に手紙を書いたり、電話をかけていたのにもかかわらず、だ。

 ある人は、委員のひとりを知っている、という理由で、市が設置した諮問機関を「政治的思想の強い団体」と公の場で発言した。そういう団体ではないことを説明すると「どういう機関なのかの説明もなく、いきなり話題にしたから」という。1年半の間に、何度もプリントに記載して配り、直接説明する機会も作っている、のにだ。

 こういう人たちに対しては、いくらプリントを配っても、説明の機会を作っても意味がない。情報を受け取る気も、調べる気も、だれかに聞く気もないくせに「私が知らなかったのはアンタのせいだ。まわりのせいだ」と主張する。これって、どこぞの国とまるっきり同じじゃないか。

| | コメント (5)

朝4時からアジを捌く理由

_DSC0001 以前にも書いたが、私は仕事が忙しくなると夜中や明け方に料理を作りたくなる性分である。トイレに行くのを我慢するほど切羽詰まった仕事をしているというのに、アタマや身体が疲れれば疲れるほど、なぜか包丁を握りたくなる。先日も朝の4時から包丁を研ぎ、スーパーで安く買ったアジ12匹(総額300円)をさばいた。小振りとはいえ、豆アジのように唐揚げにできるサイズではないため、干物にする。Tシャツを血まみれにしながら、12匹分の腹を出し、開きにしていくと、なんだかとっても気分爽快。苦しみながら言葉を選び、推敲する原稿書きとは違い、黙々と手作業をするだけなので、アタマがすっきりするのだ。

 1時間後、キャンプで食器を乾かすのに使っていた3段の網カゴに、干物を並べ、日の出を迎えた。ああ、すがすがしい空気と陽の光……。ハミガキのCM風にベランダで伸びをしたり、小鳥に「おはよう」と語りかけながら、さわやかな自分に酔いしれていたのだが、おかげで仕事はまったく進まず。できあがったのは、自家製アジの干物だけ。

「疲れてしまい、明け方からアジの干物を作りました。原稿の代わりにお送りいたします」と編集者にメールを送ったら「本屋に干物を並べるつもりですか」との返事。はいはい、書きますよ。原稿。

| | コメント (3)

レレレ仕様

 隣駅の武蔵小金井から、さきほど帰還。徹夜で資料を作り、夕飯のしたくもできぬまま、小金井市役所で委員会に出席し、9時半ごろから居酒屋へ。夕飯がてらの焼うどんをつつきながら、焼酎を飲んできた。帰宅して開いたメーラーには続々と取引先からのメールが届いている。

「原稿の発注」
「re:●●●原稿について」
「契約書が届きました」
「取材先の先生のスケジュール」
「●●●取材先」
「お振込先」
「資料FAX届きましたか」

 190項目の資料づくりで返事どころじゃなったので、すでに丸2日、返事を送らずに放置しているメールもある。いつまで放置できるか、試してみたい気もする。そのうち「原稿の発注・再送」とか「FAX届きましたかのメールは届きましたか」なんてメールが来そうでおそろしい。そういや、ちょっと前まで「re:re:re:re●●●の件」というメールがよく届いていたが、最近はめっきり少ない。レレレ仕様は流行らなくなったのだろうか。

| | コメント (5)

乾くのよ!

 世の中はゴールデンウィークの計画で、浮かれチンポになっているが、私はケツの穴が引き締まっている感じ。休みをキッチリ取る編集部や印刷会社のせいで、ライターはだれしも「魔のGW進行」に突入しているはずだ。すでに無間地獄に陥っている私とて例外ではない。GW前までにコラム7本の執筆、女性誌4ページの取材と原稿執筆、PR誌3ページのリサーチと取材と原稿執筆、Webコンテンツの原稿直し、小金井市の施策190項目のチェックと資料作りを終わらせる必要がある。ここ数日で2カ所からの仕事と、1カ所からのライター探しを泣く泣く断った。猫でも犬でも美代子でもいいから、手を貸してほしい気分である。

 昨日は女性誌の打ち合わせで渋谷へ。駅前に山積みされていたホームレスの荷物に「リトルツインスター キキ☆ララ」のコスメボックスが置いてあったことが、どうにも納得できないまま、編集プロダクションへ向かう。女社長(40代)と編集者(30代)、医療系ライター(50代)と私の女4人で、今回の特集「更年期」について語り合う。マジメな打ち合わせなのに、ネタがネタだけに話が相当「はじらいのない方向」へ進んでいく。まして出産経験のある、熟女4人。とても喫茶店では打ち合わせできやしない。

「女性ホルモンを増やすにはセックスがいいのよねえ」
「ホルモンの乱れは生理のが順調かでわかる!」
「アソコがパサパサになって性交痛も!」
「乾くのよ! アソコもお肌も!」

 不摂生な生活で疲れきり、すでにパサパサの私。女性ホルモンを増やすヒマも気力もないので、取り急ぎ美容マスクで潤ってみる。目と口だけが開いた美容マスクをつけ、洗面所から出てきた私を見て、夫は「うわわわわわぁ!」と本気で驚いていた。うるせえ、パサパサなんだよ、パサパサ。

| | コメント (2)

美代子が追撃を開始!

miyoko

 ダントツの検索ワードを誇っていた「ハメ撮り税務官・市原憲克」も「騒音おばさん・美代子」の爆裂猛ダッシュに、撃墜されそうである。さようなら、イッチー。こんにちは、miyoco。

| | コメント (8)

アルマジロ女

アルマジロ(armadillo)

 貧歯目アルマジロ科の哺乳類の総称。よろいのように固い背中をもつ小動物。敵にあうと体を丸める。

 締切りと締切りの間、それもたった1日の休日だったので、家族揃って焼き鳥屋へ。お通しのキャベツに辛味噌をつけてワシワシ食べながら、焼酎をガブガブ飲んできた。焼き鳥、手羽揚げ、鶏刺し、鶏ガララーメンも堪能し、機嫌よく店を出る。駅までの道は商店街が続き、娘と手をつなぎながら、テレテレと歩く。

 途中、歩道から横にそれるように、遊歩道がある。幅は約2メートル、生け垣に囲まれて夜はかなり暗い。人の気配はなく、神社の参道を思わせる不気味な雰囲気だ。その遊歩道を通り過ぎようとしたとき、暗やみで何かが動いているのに気づいた。

 明るい歩道から、真っ暗な遊歩道をのぞき込む。目をこらして見てみると、土の上に何やら黒いかたまりが置いてあり、その傍らには男がぼんやりと立ちつくしている。

「?」

 あまりの奇妙な光景に、思わず私も立ち止まった。あの黒いかたまりは何なのだ。あの男はいったい何をしているのか……。暗やみに目が慣れてくるにつれ、その黒いかたまりの正体が明らかになっていく。

「女!」

 黒いかたまりは、黒いスーツを着た女だった。まるでアルマジロが身を守るがごとく、女は土の上で丸まっていた。ストッキングを履いた脚は正座をし、頭を隠すようにして丸まってる。どうやら相当、酔っぱらっているらしく、死んだように動かない。男はハンカチを片手に持ったまま、ぼう然と立ちつくしていた。そして、私の視線に気が付くと、あわてて散乱したバッグと紙袋を集め始めた。

「オレ、女が土の上で丸まっているの、初めて見たよ。アルマジロみたいにスゲエ、丸まっているよ!」

 夫はなにやらうれしそう。私はしょっちゅう酔っぱらうが、間違っても外で寝たり、丸まったりはしない。

「どこに連れて帰るんだろうか」
「男の家に連れていくつもりだったのかな」
「酔わせて食っちゃうつもりだったのかも」
「それに気づいた女が丸まって防御!」
「今晩は修羅場だなぁ。寝ゲロとかしそうだし」
「もう、ゲロっているかも!」
「で、その上で丸まっちゃっているかも!」
「スーツ、ゲロまみれ! 大変!」

 …………。アンタ、なんでそんなに楽しそうなんだ?

| | コメント (4)

美代子の呪い

 hikkosi flashを見て約9時間後。ようやく美代子の「引っ越し! 引っ越し!」に免疫ができ、なんとか原稿を書けそうな気がしていた。あんなフレーズにまどわされていた自分が滑稽で、明日までの「800文字1本、4,500文字2本」もサクッとこなせる気がしていた。

 仕事前の再挑戦。いまなら大丈夫さ。そんな軽い気持ちで再び見てしまったhikkosi flash。ダメだ。ダメだったよ、かあさん……。

 美代子は想像以上のパワーであった。「引っ越し!」のフレーズに免疫ができていたというのに、今度は「私のわがままの音じゃないねん。裁判を前提にした、抗議の音。私の哭き声。悲鳴? ほんで私絶対許せない。戦うよ」がアタマにこびりついてしまったのである。

 2ちゃんねるではすでに美代子は「miyoco」なんて呼ばれていて、スター街道まっしぐら。コピペされまくっているライナーノーツには思わず笑ってしまった。

(一部略)
魂から絞り出される声は
驚くべき存在感をもって、僕らの脳を直撃する。
(一部略)
2005年春、僕は彼女のデビューに立ち会えた事を
心から神に感謝する。
今後目が離せないアーティストとして、僕は胸を張って彼女を推したい。
このMIYOKOのファーストアルバム「AT CAN BE」(邦題「アッカンベー」)を
是非手にとって聴いて欲しいと切に願う。

(注 このライナーノーツは彼女が逮捕される前に書かれたものです)

 夕方あたりから4歳の娘までが「私のわがままの音じゃないねん。引っ越し!」などと歌いだし、 以来もうダメダメ。仕事になりゃしねえ。だれか、タスケテ〜!

| | コメント (3)

夢と魔法の国と美代子

 朝の5時まで原稿や資料を作り、ねんざした足をひきずりながら出かけた旅行。たった2泊3日。「旅行行ってますよ。この日までメール読みませんよ」とあれだけ伝えておいたにも関わらず、留守の連絡をしたすべての取引先から「今日までに連絡ください」「明日の朝10時までにお返事を」と、うなるほどのメールが届いていた。オマエら、人の話聞いてんのか。

 しかも、旅行先でも携帯がジャンジャン鳴るので、ちっともくつろげない。仕事の依頼はありがたいが「○○特集の○ページ分をお願いしたい」とか「○○の取材です。すぐに返事を」といわれても、私がいるのは「夢と魔法の国」である。ここには締切だとか取材だとか入稿だとか打ち合わせなんてものはない。あるのは人々の笑顔だけ。
 
 それにしてもこのクソ寒い陽気のせいで、夢と魔法の国は記録的な空き具合。超人気アトラクションですら「FP発券なし、スタンバイ5分」で、2つのリゾートを行ったり来たりしつつ、遊びまくってきた。

 帰宅して2ちゃんねるを見てみると「河原美代子」ネタで盛り上がっている。美代子は隣家へ音楽を大音量で流し、傷害容疑で逮捕されたババアだ。激しく布団をたたきながら「引っ越し、引っ越し、さっさと引っ越し!」と歌っている美代子の映像がワイドショーで流れ、その魂を揺さぶる曲っぷりに日本中が感動の嵐に包まれているのである。あっという間に美代子ネタの作品が生まれ、そのいくつかを聞いて(見て)いるうちに、まったく仕事ができなくなってしまった。美代子最高! アンタのリズムは夢と魔法の国よりも印象的。

(すでに削除され、聞けなくなっている可能性があります)
hikkosi.
up0601.wav.

| | コメント (9)

貞子と私

 先日、男友だちのあっくんと居酒屋で飲んでいたときのこと。小上がりで夕飯がわりのタコライスといつもの泡盛でまったりとしていたところ、バタッというタダならぬ音が耳に入った。音のするほうに視線を向けると、ちょうど私たちの目の前で女が座り込んでいる。隣席にいた「男ふたり、女ひとり」グループの女であった。どうやら、トイレに行こうと小上がりから降りたものの、すっ転んでしまったらしい。思わず、あっくんが「大丈夫?」と声をかけるが、反応はない。腰まで伸ばした長い髪をダラリと垂らしたまま、うつむいているので、まるでリングの貞子。そのままはい上がってきそうな雰囲気である。
 
 連れの異常事態に気づいた男があわてて駆け寄り、貞子の脇を抱える。ようやく立ち上がった彼女の足元を見ると、履いているのは細くて高いかかとのハイヒールだった。

「その靴じゃ、ケガするよ。お店のサンダルがあるから、それを履いたら?」

 あっくんがサンダルを指差し、親切にいう。貞子を抱きかかえた男も「そうだよ、これを履いたほうがいいよ」とサンダルを勧める。なのに、彼女は「いらない! いらないってば!」と激しく拒否し、フラフラとトイレに向かっていった。

「あの子、グデグデだねえ」と笑う私に、あっくんは「アンタもずいぶん似たようなことをやっているよね」と答える。ふん、余計なお世話。私はパンプスなんか履かないし、いつもオヤジサンダルでトイレに行っているよ。一緒にすんな。

 貞子と同類にされて、ふて腐れていた私だったが、その翌々日、酒を飲みにいった帰り、駅の階段ですっ転び、ねんざしてしまった。しかも、慎重に階段を降りた挙げ句、最後の1段で転ぶというバカっぷり。もう、そこは階段ではなく、小金井の大地だというのに……。

 今日から旅行に行くことになっているのだが、いま私の足首はおそろしいほどに腫れ上がっている。

| | コメント (4)

ワロタ!

05040906jackMT083408

大塚製薬、やったな。食ってるよ、ジャクバウアーが!
ニュースソースはこちら
CM視聴はこちら

| | コメント (0)

男を見極める女、泣かす女

 悪徳不動産屋の独り言で「男の見極め」についての一考察という記事を読み、おのれの「男の見極め方は間違っていなかっただろうか」と改めて考えてみた。

 私は18歳でOLとなり、32歳で結婚するまでの14年間に5人の男と付き合った。夫以外の4人の男となぜ結婚しなかったかは過去記事「 結婚って、どうよ?」を読んでいただきたい。

 いつも主導権を握って生きてきた私にとって「結婚してくれるんだろうか」「プロポーズされたけれど、どうしようか」などと悩んだことはない。事実、私から「結婚したいんだけど」と迫ったことはないし、たとえプロポーズされても「いまは結婚したくない」で済ませていた。家庭願望が皆無の女だったのである。

 私が付き合った男はすべて「私のいうことを聞いてくれる」男であり「私の思いに反することをする」のはあり得ない。だから、二股をかけられても男は「待っている」とつぶやく。「結婚して北海道に住もう」とプロポーズした男はひとり寂しく実家に帰った。不倫していた男はいいお父さんに戻っている。

 こうして考えると私が「男を見極めていた」のではなく「男を泣かしていた」ような気がする。さんざん男を振りまわし、泣かしてきたツケはいつかまわってくるのだろうか。

| | コメント (9)

奈落の底で快楽を知る、ということ

DSCN3009 DSCN2998 

DSCN3002 先日、吉祥寺いせや公園店で「笑顔のスタッフ」「家族連れでにぎわうホノボノ感」を目の当たりにした私はいささか不完全燃焼であった。いせやは「殺伐としているべきだ」というイメージ、そしてそれがじっとりと染み込んでいるこの身体。あの、本店のどん底空気がどうにもなつかしく、花見のついでに本店へ乗り込んできた。

さすが本店。グダグタ感てんこもり。

 昼の1時だというのに、1階のカウンター席(立ち飲みゾーンではない)はすでに満席。焼き鳥の煙にいぶされたような、コ汚いおやじ連中が焼酎をすすっていた。これだよ、これ。人生劇場最終回、みたいなこの感覚。いい。いいねえ……。

 記憶喪失のふりをして締切りを放り出してきた私、わざわざこのために保育園を早退してきた娘、こんなとこにいないで稼いでこいよの夫、ウツで休職しているのに元気いっぱいの男友だち……。真っ昼間からいせやを訪れているあたり「目クソ鼻クソ」であるが。

 しかしながら、今回は家族連れだったために立ち飲みカウンターは断念。2階の座敷でまったりと飲みつつ、おのれのダメさ加減を反省してきた。座敷に入るのは初めてだったが殺伐とした1階と違い、おばちゃんも兄ちゃんも公園店並みの接客ぶり。注文もスムーズで愛想もなかなかである。居心地のいい時間を過ごせたが、なんだかやっぱりモノ足りない。一度、奈落の底で快楽を見つけると、多少の刺激では満足できなくなる、そんなことを知った1日であった。

 

| | コメント (3)

吉祥寺いせや

DSCN2992 DSCN2986

 先日、義弟のお嫁さんと姪っ子が訪ねてきたので、みんなで井の頭公園へ。まだ桜は1〜2分咲きで、花見としてはイマイチなので、公園口のいせやに入り、昼間から宴会を始めた。姪っ子はジャンボシュウマイを5つも食べた挙げ句、4歳の娘に「お腹がシュウマイだらけで爆発するよ」と突っ込まれ、6つ目を食べるのを断念していた。小学2年生、まだまだかわいいもんだ。

 実は私にとって、吉祥寺のいせやは思い出深い店だ。今回、行った公園店ではなく、本店のほう。OLのころ、女友だちと本店のカウンターで毎晩、立ち飲みをしていたのである。ファミリーやカップルが多い公園店と違い、グダグダのおやじが真っ昼間から酒を飲んでいる本店。サービス精神まるでなし、の店員たちは「すみませーん」なんて声をかけても見向きもしない。カウンターに立ち、焼き場の兄ちゃんがチラとこちらを向いた瞬間、

「熱燗1本タンハツ2本ずつ塩」

 息つぎは禁物。やるか、やられるかの殺伐とした雰囲気。迅速かつ的確に注文しなければ、次のチャンスまで「カウンターで立ちつくす人」の烙印を押されるのである。次のチャンスは「追加」でいきたい。できれば、ジャンボシュウマイとモツ煮。カウンターで2種類以上のオーダーは避けたいところだ。

 ……と、だいぶ誇張した部分はあるが、最初のころはカウンターのすみっこで様子見オーダーをしていたのは事実。常連オヤジから「おかえり」と立ち位置を譲ってもらうようになるまで、それは試練の道であった。店員の兄ちゃんやおじさんとは閉店後に飲みに行くほど仲良くなったが、酔っぱらうたびに「オレの焼き鳥はニッポンイチだ!」と叫ぶのは勘弁。今度はひさしぶりに本店に行ってみよう。

| | コメント (8)

ヤられているのを見て……

 社長と社員の対談を録音した音源ファイルを起こしているところだ。創業当時の苦労や、仕事のやりがいなど、真剣かつ濃厚な対談が行なわれている。こっちも締切りがあるから、集中して耳を傾け、彼らのことばを聞いていた。なのに、なのにだ……。

「入社してすぐのころ、印象的だったことはなんですか」という社長の問いに、ひとりの社員が答える。

「できたばかりの支店を見に行くと、社長とともに出かけたときのことです。その日は支店をまかされているOさん(営業のおばちゃん)の家に泊めていただきましたよね。そのとき、社長とOさんが
ヤられているのを見て……

 吹き出す社長。戸惑う社員。会議室にいる他の社員も必死に笑いをこらえている。

「いや、あの、そういうヤルじゃなくて、Oさんと社長が仕事を一生懸命にヤられている姿を見て……」

 もう遅い。アンタ、遅すぎるよ……。ついつい何度もここだけをリピートし、笑いをかみ殺す私。仕事にならねえ。だれか助けてください。

| | コメント (6)

書きたい人

「最近さぁ、書きたい人ばかりで編集したい人がいないのよ」

 先日、電話で話をしているとき女友だちがこうぼやいた。彼女はライターとして取材執筆もするが、編集者としても仕事をする。最近は電子書籍出版の編集をしているらしく、いろいろな「書きたい」「(本を)出したい」シロウトさんたちと会う日々が続いている。

 シロウトの書いた原稿をそのまま出版化するわけにはいかないので、構成を練り直したり、リライトをする編集作業が必要となる。当然、彼女ひとりで何冊もこなせないので「フリーの編集者」や「編集もできるライター」に声をかけてみるのだが、揃いも揃って「編集するんじゃなくて、私も書きたい」と答えるらしい。

「世の中、書きたい人ばかりで編集する人がいなければ、どんなにいい原稿でも本として完成しないのに」

 彼女はこういいながら、ため息をついていた。私自身も企画から構成、人の手配、リライトなど編集の仕事が多いから、彼女のいいたいことはよくわかる。Blogやwebサイトで書く楽しさを知るのはいいけれど、ただ文章を書きつらねるのと、作品として完成させることは別。いくらおいしい野菜が山盛りになっていたところで、料理をする人がいなければそれは単なる食材なのである。

 最近、ライティング(執筆)の仕事を引き受けても、編集者のディレクション能力が低くてイライラすることも多い。記事の構成がいつまでたっても決まらないから、取材すべきポイントがぼやける。文字数はどのぐらい? と聞いても「どのぐらいがいいですかねえ」という返事。読者ターゲットや文体も「どうしましょう」という感じだ。編集者が育っていないうえに、編集をしたい人も、編集ができる人もいなくなっている。書きたい人ばかりが増えている今、本が「おもしろくなくなった」のも当たり前か。

| | コメント (7)

私を染めた男・Kくん

 もう10年以上、おつき合いをしている出版社から封書が届いた。あて名は代書屋さんが書いた筆字、差出人は出版社の社長、封書に貼られている切手は「寿」デザイン。どう見ても結婚式の招待状である。

「社長が再婚すんのか!?」
「いや、そんなことで取引先に手紙出すわけねえな」
「たとえば紫綬褒章をもらったとか!? 」
「それとも何かのパーティか」

 そんなことを考えながら、おそるおそる封書を開けてみたところ。なんとKくんが編集長に就任した、というお知らせであった。

 駆け出しのライターだった私は、いくつかの女性誌に売り込みに行っていた。そのひとつが、この出版社。面談をしてすぐに「連載ものをひとつお任せしたい」といわれ、以来10年以上のおつき合いが始まる。まだ、本当に駆け出しで単発仕事とバイトで食いつないでいたころだ。ライターになって初めての連載ものは、本当にうれしかった。

 その連載ページの担当をしたのが入社したばかりのKくん。連載はテキスト中心の読み物ページで、OLが住むのにオススメの街を紹介する、というもの。ふつうであれば「自由が丘」とか「吉祥寺」などのセレクトになるであろう企画なのに、Kくんの企画趣旨はまったく違っていた。

 蒲田では「駅前では酔っぱらいが行き倒れ。取材中に万引き犯の大捕り物」、新宿では「ホストクラブに潜入取材。折り紙を折る男の正体」なんていうキャッチコピーがつくような、変わり種のページ。しまいにはKくんから「飛行機で通勤、つーのもいいッスね。大島に行ってきてください」といわれ、プロペラ機で取材に行ったこともある。さらに「ゴムボートで川下り通勤、やりましょうよ」といわれ、断ったことも。おかげで読者ターゲットのOLには不人気、数少ない男性読者には絶大な人気を誇るページとなった。男性カメラマンに「ファンです」とサインを求められたこともある。

 そんな無謀な企画を練り上げる新入社員のKくんが、いまでは編集長。あの連載あたりから、私のウリが「毒舌、無鉄砲、おしゃれ感まるでなし」になったような気がしてならない。Kくん、おめでとう。おしゃれな女性誌でライターとして活躍するのを夢見ていた私は、あなたのおかげでこんな風に成長しました。趣味ではじめたBlogですら、男性のコメントが多いという現実。ありがとう。本当に感謝しています。

| | コメント (2)

人を呪わば穴ふたつ

omae
クリックすると拡大されます。

■人を呪(のろ)わば穴(あな)二つ

他人を呪い殺そうとして墓穴を掘れば、その報いを受けて死ぬ自分の墓穴も掘らねばならない。人を呪えば身を呪う。

 前回「お前こそが死ぬべきだ」と少々、過激なタイトルで記事をアップした結果、まさに「人を呪わば穴ふたつ」、「ウンコの呪い」の二の舞い、である。

 続々と届けられる「お前こそが死ぬべきだ」のメール。いや、単に「この記事にコメントつきましたよ」「この記事にTBがありましたよ」というお知らせなのだが、なんともおそろし気な雰囲気……。この天気で花見も中止だし、仕事します。はい。

| | コメント (10)

お前こそが死ぬべきだ

 乾燥した日が続いていて、洗濯物やふとんを干すには最高の季節。しかし、私の顔までパサパサになるので、化粧をすると粉ふきいもになりかねない危険な季節である。ま、そんなことは命にかかわることじゃないので、どうでもいいが、火事だけはじゅうぶんに注意したい。

 昨日もニュースを見ながら、実家の母と「子どもだけ留守番させて火事っていうのが多いね」「また、よりによって親がいないときに限って火事が起きる」と話していたばかり。ネットニュースを調べてみたところ、こんなに出てきた。

Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 民家全焼、子供5遺体発見…両親はパチンコで不在
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <火災>アパート2階部分全焼、幼児2人の焼死体 北海道
Yahoo!ニュース - 共同通信 - アパート火災で兄弟焼死か 岡山市、5歳と4歳
神戸新聞ニュース:総合/2005.03.07/民家全焼 5歳児焼死 7歳兄らも重軽傷 尼崎
Yahoo!ニュース - 共同通信 - 火災で子ども3人重体 大阪・豊中のマンション
Yahoo!ニュース - 共同通信 - 焼け跡から幼児2遺体 秋田県田代町で

「両親はパチンコで不在」なんていうのは、殺人罪や児童虐待でしょっぴかれるべきだと思う。いちばん上の鹿児島の火事は親のみならず、ジジババ4人揃ってパチンコ。夜の8時すぎに5人も子どもを置いて何やってんだ。祖母、というババアはマスコミの取材に「孫の名前が出ていたので、びっくりしました」と答えていた。びっくりじゃねえだろ。お前らが揃ってパチンコしていることのほうが、びっくりだ。

 独身時代は20連チャンでガッポリ、なんてこともしていた私だが、子どもが生まれてからはパチンコ屋に足を踏み入れたことはない。パチンコでイチかバチかと賭けるよりも、財布にある金で娘の服や靴を買ってやりたいと思うからだ。そんなにパチンコをしたけりゃ、親が交代で出かければいいはず。子どもだけに留守番をさせて、いそいそとパチンコに出かけるような親は死んでしまえ。

| | コメント (14)

« 2005年3月 | トップページ | 2005年5月 »