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2005年6月の記事

子どもってオモシロイ

 あまりの暑さにベランダプールに2時間もつかっていた5歳娘。その後、アイスまで食べて腹が痛くなる。トイレに座ったまま「痛い〜、痛い〜」と叫ぶので私も一緒にトイレに入り、ウンコ座りで腹を手のひらでさすってやる。ヘソを中心に時計まわりにグルグルグルグル……。

娘「ママ、お腹をグルグルすると痛いの治るの?」
私「そうだよ。治る」
娘「……」
私「手でさすると気持ちいいでしょ?」
娘「……」
私「どう?」
娘「お腹をグルグルすると……」
私「なに?」
娘「お腹にいるバイキンが……」
私「は?」
娘「目がまわるんだね!」

 目がまわって、ケツから脱出するそーですよ! 知ってました?

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ある日、倉庫の横でそれは起きた

 私が住んでいるマンションの近くには、トタン張りの倉庫がある。以前、この倉庫はチンピラ工務店の機材置き場だったが、1年ほど前に倒産し、いまはクルマ屋が車庫&整備工場として借りているらしい。ふだん、めったにシャッターが開くことはなく、倉庫のまわりにはチンピラ工務店が置き去りにした枕木や機材が転がっている。

 買い物帰りだった私は、倉庫の横の物陰に誰かがいることに気づいた。腰ほどの高さに積み上げられた枕木の後ろで、誰かがゴソゴソしている。最初はクルマ屋が何か機材を探しているのかと思ったが、どうも様子がおかしい。気にかかるので買い物袋をぶら下げたまま凝視していると、枕木の上からジイサンが顔を出した。
 
 白髪にメガネ。80代と思われるそのジイサンは、顔だけを出してまわりをうかがい、私と目が合うとあわてて枕木の後ろに隠れてしまった。しかし、すぐにまた顔を出し、すぐに隠れる。そんなことを何度か繰り返した挙げ句、顔を出したまま私にガンを飛ばし始めた。

 ギラギラした目とピリピリと漂う緊張感……。怪しい。怪しすぎる。何やら犯罪のにおいがプンプンする。空き巣か! それともあの枕木に火でもつけようっていうのか! 彼はあいかわらず、枕木から顔を出し、ガンを飛ばし続ける。ケンカ売ってんのかコラ。上等じゃねーか。
 
「あのジジイなら勝てる」

 そう確信し、声をかけようとした瞬間、ジジイは枕木の後ろから静かに立ち上がった。

「あっ」

 私は声を上げずにはいられなかった。ジジイは、グレーのズボンと水色のトランクスをひざまで下げ、中腰でケツを拭いていた。私を見つめながら……。
 
 彼は倉庫の横、積み上げられた枕木の後ろでウンコをしていた。私がジッと見ていたため、ケツを拭くチャンスを失っていたのだ。ガンを飛ばし、「アッチいけ」と念を飛ばしていたにもかかわらず、私が立ち去らないので、覚悟を決めたジジイ。彼は念入りにケツを拭くと、なごり惜しむかのようにゆっくりとトランクスを上げた……。

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悪徳不動産屋と下ネタの女王

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 以前から「悪徳不動産屋の独り言」のpoohpapaさんに「ぜひ、立川でベトナム料理を食べましょう。ごちそうしますよ」とのお誘いをいただいていたのだが、なかなか都合がつかず、ようやくお会いすることができた。親友のあっくんもどうぞ、という言葉に甘えて、大食い大酒飲みペアで行ってきたのである。

 待ち合わせはpoohpapaさん&さとひろさんの御用達の「ベトナム料理/コムベトナム」。地下への階段を降りていくと、まだお客さんが誰もいない店内で、ちょこんと座っている2人の姿。あいさつをする私とあっくんを見て、poohpapaさんはきっと後悔しただろう。「こりゃ、食いそうだな」と。

 ベトナム料理はあまり縁のない私だったが、それはそれはおいしくって遠慮ひとつせず、たんまりごちそうになってきた。焼き大エビのベトナム風カレーソースを手づかみで、しかも指についたソースをしゃぶりながら食べていると、我ながら「初対面のふたりを前になんて行儀の悪いオンナなのだろう」と思ったり……。いや、行儀などを気にしていられないほど、おいしかったんだから!

 poohpapaさんはblogの記事やコメントで感じていた通り、とても優しくて繊細な人だった。ときには反感を買いかねない記事をアップしていることもあるが、あれはpoohpapaさんの繊細な気持ちと、忍耐強さの裏返しだと思う。あんなに温和な人が怒るとき、というのはよほどのことなんだと実感した。

 さとひろさんはpoohpapaさんの隣で、ニコニコとすてきな笑顔で静かに座っていた。テンション全開の私たちの話をうんうんと聞いてくれる、控えめだけど芯のしっかりした女性、という印象。

 たくさん笑って、たくさん食べて、たくさん飲んでシアワセいっぱいの一夜であった。poohpapaさん、さとひろさん、本当にありがとう。ちなみに上の写真はさとひろさんとあっくんの手。料理が来たときに撮影すればよかったのだが、すっかり忘れて食べ終わってから撮った。下の写真はお会計をしているpoohpapaさん。どことなく「ああ、こんなに……」と背中が物語っているように見えるのは気のせいか。

 poohpapaさん、さとひろさん、あっくんのblogでも記事がエントリされているので、ぜひこちらもどうぞ。

●悪徳不動産屋の独り言/人生で最高の飲み会
●猫とひなたノルン/世界でひとつの「ノルン」グッズ
●ささらほうさら/至福の宴

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正直、驚きました。

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 2ちゃんねるの某スレで「福岡のある商店街で撮りました。 正直驚きました」というコメントとともにアップされていた写真。クリックした私は家族が寝静まった深夜、ひとり笑い死んだ。

「驚きました」って手前? それとも奥? すげえな、福岡って。

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チョッチ三隣亡な一日、昨日の話

 今回の記事は連動企画です。まずは悪徳不動産屋の独り言「メッチャ三隣亡な一日、昨日の話」をお読みください。

 まあ、年のうち何日かはこういう日もある、というお話。

 私が委員として参加している、「のびゆくこどもプラン 小金井」(小金井市の次世代育成支援行動計画。子育て支援の施策全般の名前)の校正を、月曜朝までにしなければならなかったため、ここ数日本業をやりながら徹夜でチェック。ワード書類をそのまま印刷しているのでレイアウトが最悪、文章がクドくてわかりづらい、見出しの階層がメチャクチャ……と、商業誌だったら即廃刊になりそう。そんなわけで文章は赤字で真っ赤、レイアウトや構成は作り直さなくてはならず、本業の締切り以上につらい作業だった。

 さんなときに限って、Macの調子が悪い。ドローソフトでコンテ(レイアウト見本)を作っているとフリーズ、差し換え原稿を作っているとフリーズ……という状態で、再起動をすると、さっきまで直した部分は保存されておらず。死にたくなること数回。朝9時にようやく仕上げて、撮影ででかける夫に「市役所に寄って渡してきて」と頼み、布団に倒れこんだ。

 10時30分。目覚まし時計に叩き起こされ、朦朧としたまま顔を洗い、11時30分に家を出る。クソ暑いうえに、電車は混んでいて座れず40分立ちっぱなし。頼むよ、少しだけでも座らせて……。神田に着いて銀座線に乗り変えようとしたところ、買ったはずの切符がない。仕方なく窓口で450円払う。

 12時30分。銀座到着。今日は友人ライターの紹介で三井不動産との顔合わせがある。なにやら大プロジェクトの仕事を手伝ってほしい、とのことで期待度大。ところが、三井本館、三井別館、三井2号館に加えて、工事中の三井新館まであって迷子になる。本館地下駐車場の配車センターで道を聞き、ようやく友人と待ち合わせていた総合受付に到着。汗ダクダク。

 1時から2時。会議室で打ち合わせ。よくよく聞いてみると、友人ライターも三井側も数人の紹介者が間に入っていて、話がちょっとかみ合わない。しかも「常駐でお願いしたい」というので、仕方なく断わりを入れる。フリーライターに常駐仕事ができるはずもなく、先方も私の経歴書を見て「これじゃ、無理ですよね」とガックリしている。これは話をロクに聞いていなかった紹介者が悪い。半日かけて一銭にもならず。さようなら、三井不動産。

 寝不足と暑さでクタクタになりながら帰宅。すると、何やらニフティからの封書が届いていた。先日、ADSLからTEPCO光に乗り換えたばかりなのだが、それのキャンペーンに当たったらしく、選べる食べ物カタログが同封されていた。キャンペーンの応募をした覚えはないし、ネットで検索してもキャンペーンの告知すら見当たらない。心配になって友人あっくんに電話をするとこんなことをいい出す。

「ねえねえ、それって@niftyじゃなくって@miftyじゃない? ご当選いたしました。つきましてはここのURLでお名前、住所、クレジットカード番号をお知らせくださいって書いてない?」

 シゲシゲと封書を見てみる。よかった。@miftyじゃないよ……。ちゃんと当選しているようだ。1日の疲れがちょっとだけ癒された瞬間。だから私は「メッチャ、三隣亡」ではなく、「チョッチ、三隣亡」にしておこう。

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ちゃんとした親

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 梅雨どきの貴重な晴れ間を狙って、都立野川公園へ行ってきた。公園のはじっこにあるわき水広場は、冷たいわき水の流れる小川があって、子どもの水遊びには最高! たくさんの子どもが水遊びをしたり、ヤゴや沢ガニを取ってにぎわっていた。娘と一緒にサンダルをはいて川に入ると、それはそれはヒンヤリとして心地いい。

 水の流れる岩のくぼみでペットボトルを冷やしていると、小学校低学年ぐらいの男の子が「ボクのも一緒に冷やしたい」とゼリー飲料を持ってきた。水遊びをしながら、何度も戻ってきて「まだ冷えていないなぁ」「もうちょっとだ」と気にしている。飲みたいんだけど、冷えるまでジッと我慢。がんばれ、もう少しだ!

 水遊びに飽きた娘と私は、自分たちのペットボトルを持って芝生に敷いたレジャーシートに戻ってきた。お隣にはさっきの男の子の家族。しばらくして男の子が泣きながら両親のもとに戻ってきた。「どうしたの?」とおかあさん。おとうさんも心配そう。男の子は泣きながら、小さな小さな声でこういった。

「あのね……。あそこに冷やしていたジュース。飲まれちゃった」
「ええっ、だれに?」
「あの子……。飲んで川に捨てた」

 あれほど「冷え冷えゼリー飲料」を待ち焦がれていたのに、なんてひどいことを! 隣で聞いていた私は腹立たしい気持ちになった。しかし、おとうさんは川からゴミになったパックを拾い、男の子にこういった。

「飲んでいるときじゃないと注意できないよ」
「今度は自分でちゃんといわないと」
「きれいなわき水なんだから、ゴミを捨てたらダメなんだ」

 そして、おかあさんは「あなたはそういうことをしたらダメよ。自分がやられてイヤなことは、やらないようにね」と諭している。

 ひさしぶりにちゃんとした親を見た気がする。えらいなぁ。男の子はイヤなことをされたけれど、たくさんのことを勉強したんだなぁ……。などと感心している私の近くでこんな声が聞こえてきた。

「ママ〜、おしっこ!」
「あららら。そこでしちゃいなさい」

 ちゃんとした親って貴重なんだと実感。

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ウンコの輪、広がる 再び

 ある女性から届いた1通のメールで、ひさしぶりにウンコライターの血が騒ぐ。どう考えても「狙っている」としか思えない内容だ。私は人からいただいたメールを断りもなく公開する、なんていう仁義に反したことは嫌いだが、今回はあえて無許可で出したいと思う。だって、確実に「狙っている」もの。許可なんていらねえよ! ただし、ご本人のダメージが強いかもしれないので匿名とさせていただく。

あの〜〜〜別に意味はないんですけど、お好きかと思いまして......。人間ドックの予約を入れたら、こんなものが事前書き込み診断表とともに送付されてきました。

tadasii_kami
検便です。

youki
もちろん、まだ採取していませんよ。

torikata
リアルな「とる量」の説明付き。

manbennaku
「まんべんなく」こすりとるそうです。
しかも!!!!

hozon
ええええ!!! 冷暗所って??? まさか???
で、できない......。
どうしようか考え中です。
なんとか人間ドック当日の朝に
フレッシュなものを採取したいと思うわたしです。

それでは、6/16(木)は『俎の上の鯉』となって参ります。

 いよいよ明日の朝、○○さんは採取に挑む。がんばれ! ……それにしても、送りつけてきた写真の名前が「manbennaku.jpg」っつーのはどうかと思う。

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夏のボーナスを稼ぐ

 更新が減っているのはココログがクソ重たいせいだけではない。実はここのところ、いつもに増して仕事をしている。その理由は「海水浴へ行くため」。

 昨年は8月に山梨県道志村のキャンプ場でマッタリと過ごしたのだが、夏も終わったころ娘が「海に行きたい」といいだした。プールじゃダメなのか、と聞いたところ「プールじゃなくって、しょっぱいお水に顔をつけたい」という。じゃあ、塩水&ボウルで我慢しろ、ともいえず、一年間待たせていたのである。

 我が家は夫とともにフリー稼業なので、ボーナスなんてものはない。旅行へ連れていくには貯金か日銭が必要で、いまごろになって必死に稼ごうとしているのだ。取引先の入金サイクルはバラバラで、おおむね大手出版社や広告代理店、制作会社は1ヵ月後、編集プロダクションは2ヵ月後、遅いところだと3ヵ月後という感じ。早いところなら、5月にやった原稿料が6月末に、今月の分は7月末には入金される。だから、こっちも必死。いま1本でも原稿を入れておけば、7月末に万単位のお金が手元に入るわけで、それがあるのとないのでは旅行への「ゆとり」が違う。みやげひとつは確実に増やせるからな(笑)。

 すでに旅先は決まった。あとは予約を入れるだけ。頼むからさ、倒産とか未払いとか遅延とかはやめてくださいよ。取引先のみなさん。

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グタグタなふたり

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 先日、仕事のコラムで銭湯のマナーについて書いた。明け方になってようやく完成したものの、原稿と一緒にアップするイメージ写真がない。手持ちの写真を探したところで銭湯の写真などあるはずもなく、考えたすえに出かけたのが小金井公園内の東京江戸たてもの園。ここには「千と千歳の神隠し」に出てきた湯屋のモデルとなった銭湯・子宝湯が移築展示されていて、お湯は張っていないものの、古い体重計やのれん、木桶などを撮れば「風情ある銭湯のイメージカット」の完成だ。上の写真はそのときに撮影した古い和傘屋や酒屋、仕立て屋など。いい感じの小道具が揃っていて、ずいぶんと撮りだめをしてきた。

 小金井公園へは朝10時に家を出て、自転車とCoCoバス(コミュニティバス)を乗り継いで到着。東京江戸たてもの園に入る前、友だちのあっくんに「ヒマだったら犬の散歩に来い」と電話をし、むりやり呼びつける。撮影が終わると、あっくんと合流し、木陰のテーブル席に座り、まったりとコーヒーを飲んだ。平日の午前中。静かで涼しくて、風が気持ちがいい……。ああ、なんて贅沢なんだろう。横を通りすぎるのはベビーカーを押した若い母親か、あてもなく歩くオヤジだけ。

私「平日の公園ってさ、グタグタなオヤジが多いねえ」
あ「グタグタって?」
私「ヨレヨレの服で、ぼんやりと遠くを見ている」
あ「すいません。グタグタなオヤジです」
私「グタグタなオヤジとお茶している私はなんだ」
あ「グタグタなオバサン……」

 気分がよかったのはここまで。呼ぶんじゃなかった。

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母親よ、あせるな

 5月に誕生日を迎えたとたん、娘はものすごい鼻息で宣言をした。

「もう5歳なんだから! 指チュッチュとオムツは辞める!」
「あ、そう。がんばれ」

 娘は寝るときの指しゃぶりとオムツが、どうしても辞められなかったのだが、いささかはずかしくなってきたらしい。確かに卒業が遅いかもしれない。実家の母に「アンタは1歳でオムツがはずれた。あの子は遅い」といわれるたび、うるせえなと思っていたのも事実。それでも私は「昼間は指しゃぶりもしないし、パンツを履いてトイレにも行っている。ハタチになっても辞められなかったら、どうにかすりゃあいい」と考えていた。ノンキというばノンキ、である。

 放っておいても娘は自分で「辞めたい」といいだし、実際その宣言以降、指しゃぶりと夜のオムツは(いちおう)卒業した。ときどき布団のなかから「ね。辞めるっていったけど、ちょっとだけ指チュッチュしていい?」と聞いてくることもある。そんなときは「そんなに無理して辞めることないよ。少しずつ減らせばいいんじゃないの?」と答えると、娘はホッとした顔をして眠りにつく。オムツについても同じ。「今夜はどうするの? オムツで寝るの? パンツで寝るの?」と聞くと、娘は「パンツで寝る」という。私は絶対にこうしろ、とはいわない。自分で決めて、自分でやることが大事だから。

 巷の育児本にはいつごろまでに卒乳をして、いつからオムツはずしをして、いつまでにハシが使えるように、と書かれている。母親たちは自分の子どもとまわりの子どもをくらべ「うちの子はまだ○○ができない」とあせる。大人ですらご飯を食べるのが遅い人もいれば、トイレが近い人、ハシが上手に使えない人、同じ枕じゃないと寝られない人がいるのに、幼い子どもに何を求めているのだろう。いいじゃないの、そのうちできるようになるし、自分でがんばってみたくなるはず。そのとき親がちょっとだけ手助けしてやればいい。

 ……と、マジメに書いてみたが「大人になっても漏らしてしまった経験のあるワタシ」だ。 そんなオンナが娘に「漏らすな」などといえるはずもなく……。

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はっしゃしま〜す!

DSCN3629 4月末、開通前だと気づかぬまま、40分も来ないバスを待っていた私たち親子であったが(参照/ 娘と私の40分)、ようやくリベンジ乗車を果たした。先週末、友人あっくんと武蔵小金井の焼き鳥屋で待ち合わせをしていたので、親子3人バスで出かけたのだ。

 午後7時。外はまだ夕暮れ、我が家はこれから酒盛り、というのに、小金井市のコミュニティバス「CoCoバス」はもう最終便(はやっ!)。真っ赤に光る行き先表示板を横目に乗車する。ひとり100円なり。

「東小金井駅からのバスとは仕様が違うんですね」

 イスに座ったとたん、発車待ちの運転手さんに話しかける夫。仕様ってなんだよ、おい。

「ええ。新しいバスと古いバスで微妙に違うんですよ」
「へえ。床のデザインも違いますよね」
「ええ。これは古いほうのバスなんです」
「通路の幅も違う気が……」
「少しこっちのほうが広いかもしれません」

 盛り上がる夫と運転手。さすがは鉄オタだけあって見るところが違うな、夫。バスの仕様なんかじゃなく、たまには女のケツを凝視してみろ。

 一方、娘は車内の時計を凝視しながら、ひとりアナウンスの練習。さすが鉄オタの娘。やることが違う。

「ななじ、じぇろじぇろふんになりましたぁ! はっしゃしま〜す! きをつけてくだしゃ〜い! つぎは〜、むさしこがねい〜、むさしこがねい〜!」

 ……着いちゃうのかよ(笑)。

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テープに潜む男たち

 ちょっと暇になったので、あちこちの整理をしていたところ、昔のカセットテープが出てきた。どうしても処分できなくて結婚のときに持ってきたものだ。なのに何を録音してあるのかサッパリ忘れている。もう、いらねえな。捨てちまおう。でも捨てる前に念のため、聞いてみるか……とテレコを引っ張り出す。そうしたら、出てきましたよ、赤面モノが。

 16年前、パイオニアのコンポを持っていたのだが、実はコレ、電話線をつなぐと留守のときにテープで応答・録音する、というスグレモノだった。当時は留守番電話がまだ出始めの時代。中森明菜がこの商品のCMに出ていて「はい、明菜です。ただいま留守にしております……」というナレーションを聞いて即買い。見つかったテープはそのときの留守番メッセージが入っていた。


 男の声「ピーッ(録音開始音)。はい、こんばんは。8時と40分ぐらいのシミズですけど。いま、美佐はねえ、飲んで歌っているんじやないかなって思いますけど。ツンタが帰ってきているとのこと、みんなで飲めればいいなって思っています。美佐もあいかわらず元気そうで、ぜひぜひ今度飲みたいねってところです」


 ……シミズって誰だよ(笑)。やたらDJ風のリズミカルなしゃべり。どうやら当時、ハマっていた伝言ダイヤルの仲間らしい。美佐という名で出ていました、私。わはは! ツンタは当時付き合っていた5歳年下の彼。東京で知り合って付き合いはじめ、その後彼が北海道の実家に戻り、1年ほど遠距離恋愛をしていた。さーて、次いってみよう。


 男の声「ピーッ。はい、ミサワです。ツンタが9月始めまで東京にいられるんだって? だったら絶対に会おうよ。うちのお店に来てもらってもいいし。美佐はOLだから夜だとどうかな? 店の電話は000-0000です。ではでは」


 これも伝言ダイヤルのメンバーで、六本木のパブで店長をしていた人。どうやら、ツンタがひさしぶりに東京に来ていたころらしい。デートで忙しくて不在だったのか? 私。


 男の声「1時42分。○○(私の本名)、お疲れさーん。風邪こじらせないで帰ってきたかな? ちょっと心配。また電話するからね。愛しているよ」


 ああ、年下の彼氏(ツンタ)だ。なつかしい声。愛している、なんて♥ ……ん? アンタと一緒じゃないってことは、私は誰と酒を飲んでいるんだ? ひさしぶりに彼氏と会えるっていうのにこんな夜中まで飲んだくれているとは……。


 男の声「ピーッ。いま8時40分。まだ会社。また電話します」


 ……翌日の夜にメッセージを入れたんだな。なんだか機嫌が悪そうな声。あれ? この声どこかで……。(もう1回聞き直してみる)わわわわ! これ、コージだ! ツンタと付き合う前の男! ……ってことはダブッていた期間の留守番メッセージ! そりゃ、不機嫌だろうよ。

 しかし、なんてオンナなんだ私。二股をかけているうえに、両方の彼氏を放ったらかしで飲んだくれ。1本のテープから垣間見る人間模様……。ああ、おそろしや。

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私に書けと?

 5月31日から6月1日にかけてコラム2本を書き、それが終わったとたん2ページのインタビューを書き、それが終わったとたん、コラムに使う写真の撮影をし、夕方にはなんとかすべて終了。

「ああ、ああああ。これで今夜は眠れる。寝る前に梅ジュースにする青梅の仕込みもしたいし、ひさしぶりに映画も見たいなあ。ああそうだ、娘のズボンがゆるかったからゴムも変えてやらにゃ〜いかん」

 そんなことを思いつつ夕飯を食べ、ひとときの休息……。なのに、なのに……。編集者からの電話で私の夢は打ち砕かれた。

「この期におよんで、なんですけど」
「なによ」
「あと2ページ、なんとか書けません?」
「は? いま、なんていった?」
「あと2ページ」
「私の仕事はもう終わったでしょ」
「……ええ、ええ」
「じゃ、終了。切るよ」
「でもイッパイイッパイなんですう」
「関係ない」
「そこを何とか」
「いや」
「お願いします」
「……。いつまで?」
「随時受付、なる早で」
「ゲッ。てことは今晩やれってこと?」
「その通り」
「ボロボロの私に今晩書けと?」
「ええ」
「……」

 ええ、やりましたよ。やりましたとも。ぬか喜びって、こういうことを言うんだと実感。コメントの返事もできず、すみません。みなさま。

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