ブリ照りとふきの煮物
少しは風邪がよくなったな、と油断したのがいけなかった。昼ごろから調子がイマイチだなとは気づいていたが、夕飯を作るころにはカラダがだるくて立っているのもつらい。出前でもなんでもいいから、夕飯は勘弁してくれないかなあと思いつつも、プリプリでうまそうなブリが一切れ100円だったから買ってきちゃったんだよね。ここ数日、夫が「ブリ照り〜、ブリ照り食いてえ」とうるさかったのだが「まだ高い。一切れ100円になるまで我慢しろ」といっていたのだ。
スーパーにクルマを横付けすると、魚屋が店頭セールをしていた。ダミ声でつるっぱげのおっさんが「奥さん、今日はブリが安いよ。こんだけいいブリがなんと100円! 買っていかなきゃ損だよ」なんて叫んでいるものだから、買わないわけにはいかない。スーパーに入ると今度は「3Lサイズ ふき 99円 本日限り」の札が。ああああ、ふき! 娘が好きじゃんかよう。しかも、お前、刀かよと思うほどの特長サイズ。私の身長ぐらいある。片手で持つとマサイ族みたいだ。
かくして、風邪で朦朧となりながらブリの照焼きとフキの煮物を作るハメに……。ブリの照焼き自体はむずかしいものじゃないけれど、体力が消耗しているカラダで作る大根おろしはつらかった。ふきの煮物自体はどうってことはないけれど、下ゆでしたり、皮をむいたりが面倒。でも、がんばったよ、母ちゃんは。
食器の片づけを夫に頼み、8時には布団に入る。「今日、私の誕生日だったんだよなあ。誕生日にブリ照りとふきの煮物か……。ま、いいか。いまさらケーキって歳でもないし」と思っていたら、娘がトコトコと寝室に来て「ママ、明日ケーキね」とささやき、再びリビングに戻っていった。こうなったら、ロウソクの代わりにケーキにふきでもオッ立ててやるか。
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