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2006年1月の記事

一晩のあやまち

 胸の谷間がかゆい。寝ていても起きていてもかゆい。針先で刺されているような、チリチリとした痛がゆさ……。あまりにかゆいので、洋服の胸元から手を突っ込んでみると、ぷつんと小さな発疹があるのに気づいた。ものすごくに小さくて赤い発疹。昨日、使った入浴剤にかぶれたのかもしれない。それとも、何かの虫に刺されたんだろうか。いくら考えても、小さいくせに猛烈なかゆみを起こすその発疹の原因はわからなかった。

 その晩、私はかゆみで目を覚ました。胸の谷間だけじゃなく、背中までかゆい。それも、かゆいところが1カ所2カ所じゃなく、あっちもこっちもかゆいのだ。私はどうすることもできないまま、眠気とかゆみに耐えた。

「ちょっと背中、見てくれない?」

 翌朝起きたとたん、夫に背中をさらけだす。パジャマをたくし上げた背中を一目見て、夫は「ああああっ! 何コレ!」と叫び声を上げた。「ひどいよ。背中じゅう、赤いプチプチだよ!」

 嫌な予感がして、今度は自分で胸の谷間をのぞきこむ。ああ、やっぱり……。胸の谷間にもたくさんの発疹が出現していた。しかし、お腹や腰、足はなんともない。いったいコレはナンナノダ?

 すぐさまかかりつけの皮膚科へ向かう。先生は診察室に入ってきた私の顔を見ると「ああ」と微妙なつぶやきを口にした。この先生はいままで何度となく股ぐらを見せている仲(こういう表現でいいのか? 参考リンク 続・病院でのはずかしいこと股間ふたたび)である。こっちは「もう怖いもんなどない」という気迫で病院に行っているが、先生のほうは「またかよ」という感じなのかもしれない。でもセンセ、安心して。今日は股ぐらじゃないんだもの。

「胸の谷間と背中が猛烈にかゆいんです!」

 患部が股じゃない、というだけで、私は勝ち誇ったような気分になっていた。パンツの下げ方を気にしなくていいし、何よりヘソまであるババパンツを履いていてもいい! 毛がはみ出ていたって問題なし! ブラボー!

「じゃ、見せて」

 先生は淡々といった。パンツをずらして横マンを見せることからすれば、おっぱいなんて屁みたいなもんだ。どうぞどうぞ、なんぼでも見てくださいとばかりに、着ていたトレーナーを豪快にたくし上げる。もうこれ以上は上がりませんってぐらい、たくし上げる。もう首のところでトレーナーがクッチャクチャ。先生はルーペで体中の発疹をくまなく見ている。

「うーん、うーん……。この発疹さぁ、全部毛穴の部分なんだよねえ」
「ああそうですか、毛穴ですか(意味もわからず、うなづく)」
「あのさあ、なんか汗かくようなことした?」
「汗? ないですねえ」
「場所的にさあ、寝汗とか……ない?」
「寝汗? ……!」

 発疹が出た前日、電器毛布のスイッチを消し忘れたまま寝て、ノドの乾きで目が覚ましたことを思い出した。そのときは汗に気づかなかったが、胸の谷間と背中にたくさんの汗をかいていたに違いない。いわゆる『あせも』みたいな状態だ。

 極寒の時期に起きる、あせも。ホットカーペットやコタツでのうたた寝も、こうしたことが起こる可能性が高い。「たった一晩のあやまちで、取りかえしのつかないことに……」と、うなだれながら、そそくさとおっぱいをしまう私であった。

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おむすびころりん

 先日の箱根旅行で落花生まんじゅうを購入したところ、パッケージに竹の皮が使われていた。一見、竹の皮に見えるけれど実はプリント包装紙、なんていうのじゃなく、本物。開封しながら「あ、これって本物の竹皮だねえ」というと、娘は「これ知ってる〜! おむすびを入れて山にもっていくやつ!」と興奮している。ちょうど今、保育園で『おむすびころりん』の劇を練習していて、絵本か何かで竹皮の使い方を知っていたようだ(ちなみに娘は穴の中にいるネズミの役らしい。ここ数日は1日中、おむすびころりんすっとんとんと歌っている)

「ねえねえママあ、今度おむすび作って! お願い!」

 ……ええ、作りましたとも。今朝。しばらく遠足の予定もないし、ということで朝ごはんで。完成したのがコレ。わかめをまぶした昆布のおにぎりとゆで卵、ソーセージ、カブのお漬け物。ああ、おいしそうじゃん。娘は朝、起きてきて、竹皮のお弁当を見つけると「おおおおっ〜」と叫んでいた。竹皮は洗って繰り返し使えるし、ほどよい吸湿性と殺菌効果があるという。もう少し暖かくなったら、今度はおむすび持参で公園に行きたいねえ。

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今朝、これを見て笑いました

 ヒマな人がいるんだなあと思いつつも「ぬこたんカワイ〜」といわずにはいられませんでした。期間限定。リンク先消えたら、記事も消します。

雑記帳:参拝客びっくり、2m大雪だるま 東京・根津神社−話題:MSN毎日インタラクティブ.

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歯欠け女

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 先週、箱根へ行ってきた。実は出張、打ち合わせと続き忙しかったことや、娘の風邪、身内の危篤が重なり、旅行前日の夜まで「キャンセル」するか迷っていたのだが、なんとか予定通り、行くことができた。OL時代や結婚後、何度となく旅行している箱根ではあるが、真冬に訪れるのは初めて。チラチラと雪が舞う露天風呂で、のんびりとした時間を過ごしてきた。

 娘は前日まで鼻水やセキの風邪と、お腹に来る風邪を併発し、しかも数週間前からグラグラとしていた前歯が、いよいよ抜けそうなんだけどまだ抜けない、ちょっと固いものをかじると歯茎から出血……という、なんとも憂鬱な体調。旅行の当日、風邪はだいぶよくなっていたものの、前歯のほうはすでに【歯茎からぶるさがっているだけ】の状態で、「こんなんじゃ、ご飯食べられないよう」「早く抜けないかなあ」と半べそになりながら、ロマンスカーに乗ったのだ。

「もう抜いちゃおうよ」といっても「いや〜! 痛いからいや〜」と断固拒否。ロマンスカーの車内で食べるためにと買ってきた、小さな懐石弁当もロクに手をつけず、ただじっと窓の外を見ている。ああ、先が思いやられる。そんなことを考えながら、宿についたのだが、部屋に入ったとたん「お腹、すいた〜」と弁当を食べはじめた。すっかり冷えて固くなったお赤飯やおこわ、煮物を食べていると思ったら「あっ」と声を上げ、口をアングリと開けている。なに? どうした?

「ハガ、ハガ、ハガ、トレタ〜」

 あわてて夫とふたり、娘の口のなかを探す。しかし、噛み砕いたお赤飯しか見当たらない。「飲んじゃった?」「食べちゃった?」と聞くと、娘は見る見るうちに顔をクシャクシャにし、「いや〜、食べたくなぃぃ!」と泣き出した。大丈夫、そのうちウンチになって出てくるよ、といっても、娘は泣き止まない。じゃあ、もういっかい探そう。口のなかにあるもの、ここのティッシュに出してみて。

 娘は口に入っていたお赤飯をティッシュに吐き出した。よだれと、粉々になったお赤飯をかきわけ、歯を探す私。……あ、あった! まるでお赤飯の米粒みたいな、1本の前歯を発見。深々と雪が降り積もる強羅の宿で、歯欠けになった娘は「これで思う存分、ご飯が食べられる」と御満悦であった。

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ちゃんと立てて!

「ねえ、この間もちゃんと立ててっていったでしょう?」
「立っていないと嫌なの!」
「するのはいいけれど、ちゃんと立ててくれなくちゃ!」
「立ててから、真ん中に突っ込むの。そうすればずっと立っているから」
「ちゃんと立たないと、触ったときにヌルヌルになっちゃうし」

 洗濯洗剤を入れたミニバケツを前に、夫にいったセリフ。洗剤を使ったら、計量スプーンは粉のなかに立てておいてほしいのよ! じゃないと濡れた手でスプーンを触ると、洗剤までついちゃうんだもの!

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チャレンジャー

DSCN4618 先日、実用書の仕事で西ノ宮まで取材へ行ってきた。ふだん、深夜から明け方まで仕事をし、日が昇ってから眠るという生活をしている私にとって、朝7時前に家を出るのは至難の技。結局、一睡もしないで大阪へ向かった。

 取材は滞りなく終わり、さっさと東京へ帰ろう……と思ったと同時に「化粧、取りてえ」とココロの叫び。OLからライターに仕事替えをして以来、ほとんどの日をすっぴんで過ごしているから、朝から晩までファンデーションを塗ったままでいると、息苦しいというか、何というか。とにかく嫌な感じなのである。

 絶対にそうなるのがわかっていたから、取材用のカメラバッグにちゃんと洗顔セットを忍ばせてきていた。新幹線に乗ったとたん、洗面所に直行し、シャッとカーテンを閉める。クレンジングも化粧水も乳液もタオルもある。これで準備は万端だ。持参したクレンジングを塗りたくり、手のひらで化粧を落としていく。すべてを洗い流した後のさっぱり感を想像しながら、私は満足感に酔いしれていた。ああ、この感じ。そうそう、この感じよ。ファンデーションも口紅もすべて流れて消えてしまえ!

 ……とそのとき、私は【洗顔フォーム】を忘れてきたことに気づいた。あいにくクレンジングは強力に化粧を落とすオイルタイプ。洗顔フォームでダブルクレンジングしなければ、ヌメヌメテラテラと光る顔で車中を過ごすことになる。

 新幹線の薄暗い洗面所で、私は窮地に追いやられていた。マタギに追われた手負い熊のように、もう後がない。化粧を落としたかっただけなのに、油まみれになるという矛盾。このまま負けるのか、それとも起死回生の策はあるのか……? がっくりとうなだれたとき、洗面ボウルの奥の【あるもの】に気づいた。窮地に追いやられた人間は何をしでかすかわかったもんじゃない。今から考えればなぜあんなことを考え付いたんだろうか。

 私は洗面ボウルの奥にあった、それに手を伸ばした。公衆トイレによくあるアレ。どう見ても人工的な緑色をした、変なニオイのするアレ。そう、液体せっけんだ。

「これもせっけん、これもせっけん」と呪文のようにつぶやきながら、私は液体せっけんで顔を洗った。そして、何度も何度も水ですすぎ、ようやくオイルクレンジングのヌメヌメから開放されたのだ。さっぱりとした顔で席に戻り、缶ビールをプシュと開ける。これを飲んで、後は東京までゆっくり寝よう。そんなささやかな欲望は、あっという間に打ち消される。ヒリヒリヒリヒリヒリヒリ……。尋常じゃない傷みとともに、妙なほてり感。液体せっけんで顔を洗うのは、やはりチャレンジャーだったらしい。

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山梨の貞子はスキンヘッドらしい。

 親友のあっくんは年末から山梨に帰省。正月が明けてもなかなか戻ってこないので、どうしたのだろうかと思っていたら、メールが届いた。なんと痛風が発症し、実家で介護されていたらしい。あわてて電話をかけてみる。以下、私とあっくんの電話でのやりとり。

私「ちょっと〜、メール見たよ。痛風だって?」
あ「そうなんだよ。だいぶ良くなったけれど、ひどかったんだ」
私「歩けないの?」
あ「今はなんとか……。でも、ひどかったときは階段を這って登っていたよ」
私「その巨体じゃ、這うのも大変だろうよ」
あ「大変、大変。2階にたどりつくころにはハァ〜ハァ〜って息切れしちゃって」
私「海坊主がハアハアいいながら階段を這ってきたらコワイ」
あ「まるでリングの貞子みたいだったよ。スキンヘッドだから髪はないけど」
私「来る! きっと来る〜!(歌う私。正確には“来る!”じゃなくて“Oooh”である)」
あ「わははは! こえ〜」
私「それよりもサク(あっくんの愛犬シーズー)はどうしてるの? 散歩もできないじゃん」
あ「うーん、仕方がないから長いリードをつけて、庭で遊ばせるんだけど、寒いからさあ、動かないんだよ」
私「痛風でハイハイしているんなら、あっくんもリードつけて、サクと一緒に散歩したら? 今年は犬年だしさ」
あ「犬年って……関係ないじゃん(笑)」

 そんなやりとりをして数日後。あっくんはようやく小金井に帰宅。待ってましたよ! さて、飲みにでも行きますか? 痛風さん。

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笑顔の決意

nenga みなさん、あけましておめでとうございます。昨年末、いささかムカつくことが多かったので、年賀状は「笑顔」をテーマにしてみた。高知県の広大な畑で撮影した「ゆず」に顔をつけただけなんだけどさ。「あんた、笑っている?」と己に問いかける、という意味もあるわけで……。

 今年はできるだけ笑顔でいよう。ババアが銭湯の場所取りをしていても、泣きたくなるほどギャラが安くても、夫が隣で屁を放っても、ニッコリしていよう。

 そんな私の決意は本物だった。元旦の朝、いつまでたっても起きない夫に「いつまで寝ているんだよゴルァ! 雑煮作ったんだから、はよ食えやボケェェ!」と一喝。しかし、満面の笑顔。いいの、いいの。笑っていりゃあ。

 そして翌2日。いつまでも絵を書いている娘や、こたつで居眠りをする夫に「はよ風呂入れゴルァ!」と一喝。でも笑顔。ああ、疲れる。

 そして、3日。家族で遊園地とイベント会場へ行き、夜は後楽園ホールで女子プロレス観戦。全女がまだ華々しかったころ以来の観戦だ。イスや机が飛び交う、血まみれの場外乱闘を見ているうちに、大声で叫び、拳を振り上げている自分に気づく。血湧き肉躍る! 夫と娘、ドン引き。

 笑顔の決意は3日ともたなかった……。

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