取材ノウハウ
昨年、出版された整体の本が好評で、今年春に第2弾の出版が決定。引き続き、編集の一部を担当させていただくことになった。コンテづくりやDVD&スチールの撮影準備などがあって、ちょっと落ち着かないが、2回目ということで前回よりもずいぶんと仕事がやりやすい。人間って学習するもんなんだな、と思う。
仕事はなんでもそうなのだろうが、取材や編集作業はとかく経験がモノをいう。マニュアルのない世界だからこそ、経験を積めば積むほど、仕事にムダがなくなり、あらゆるテクニックを覚えていくものだ。
以前、アートトラック(いわゆるデコトラ)雑誌のフリー記者をしていたことがある。懇意にしていた女性誌の編集者が、同じ出版社のアートトラック雑誌編集部に異動。編集者に引っぱられる形で、右も左もわからないまま、全国各地へ取材旅行するようになった。
アートトラックの世界にはさまざまなグループがあり、それぞれが年に1度、イベントを主催する。イベントの日は、他のグループが応援にかけつけ、また翌週は別のグループのイベントにこれまた日本中のデコトラが大集合。1年中、全国のどこかでイベントが行なわれているような感じだ。
グループには「○○組」「○○一家」「○○船団」といった名称がつけられていて、トラックのオーナーさんたちは「スキンへッドに口ひげ」「ジャージまたはゴルフウェア」「金の喜平チェーン」のチンピラ風。サングラスは「濃度薄めの茶色もしくは紫のサングラス。レンズに角度あり」で、名刺は「金色の紙に黒の江戸文字」とか「和紙に筆字」がほとんどだ。こんなのが100人とか集まっちゃうイベントで、まだ独身でかわいかった私が取材をするのはそりゃもう大変で……。
「ねーちゃん、こっちもようけ撮れや」
「なんであっちばかり撮ってるんじゃ」
「うちのグループも撮らんかい、こら」
「あ、いえ、その……。誌面の都合で掲載できないこともありますんで」なんていおうものなら「写真を載せないとは何ごとじゃ! うちのグループのことを知っててそういっとんのか!」と怒鳴られ、挙げ句には「あっちのグループには挨拶したのに、うちには来ない」「うちらの酒が飲めないのか」など、からまれる始末。もう、最初のころは死にそうになりながら取材をしていたのだ。
しかし、取材を重ねるにつれ、私は学習した。相手がチンピラヤクザ系であれば、こちらも「それ系」で取材をするのがいい。朝、イベント現場に到着するなり、主催グループのリーダーに挨拶し、取材の段取りをつけてしまうのだ。あとは、どこの誰が何をどういおうが「○○組の○○さんに話は通しています」「撮影するのは○○さんにいわれたところだけです」「今日は○○さんとこの取材で来たので、仕事中は飲めません」でOK。いわばヤクザの総長、組長に筋を通してしまえば、舎弟や他の組員をおさえられる、というわけ。
そんな取材を続けるうち、 若い衆と酒を飲みに行ったり、トラックで送ってもらうようになるほど、図太くなった私。この雑誌の仕事から離れて7年……。トラッカー取材のノウハウを発揮する場はないけれど、あのときの経験はきっと何かに生きていると思いたい。図太さだけは確実に残っているし。
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コメント
いつも読んでますよ、コメント書かないけど。
元気そうで何よりです。
先日子どもを連れて東小金井のK皮膚科に行きました。もしかして、この皮膚科?
先生に「○○さんて知ってます?」と聞こうかと思いましたが、止めました(笑)。
投稿: O氏 | 2006.02.21 00:20
■O氏
おほほほ、当たりですわ。
「○○さん、知っています?」なんて聞いて
「あ、股ぐらばかり発症する人ね」なんていわれたら
どうしよう。夫よりも私の身体に詳しいかも。わはは。
投稿: poron | 2006.02.21 23:53