子殺しの罪
香川県高松市浜ノ町の三歳男児が自宅で衰弱死した事件で、死亡した山下歩夢(あゆむ)ちゃんが、昨年末から自宅三階居間にある一メートル四方の納戸で生活していたことが二十八日、高松地検などの調べで分かった。母親は簡単な食事やおむつを納戸の前に置くだけで、遺体発見時、物置を兼ねた納戸の中は不衛生な状態だったという。
同地検は同日、二男の歩夢ちゃんの育児を放棄して死亡させたとして、保護責任者遺棄致死の罪で、母親の山下愛容疑者(25)を起訴した。
調べに対し、山下被告は「二男がうまくなつかず育児が煩わしかった」などと供述する一方、「食事は十分と思っていた。まさか死ぬとは思わなかった」などと起訴事実を否認している。
起訴状によると、山下被告は昨年十二月下旬ごろから、歩夢ちゃんに十分な食事を与えず、ほとんど着替えもさせないまま、自宅三階の納戸で生活させ、歩夢ちゃんが衰えていくのを認識しながら育児を放棄し続けて二月五日ごろ、栄養失調で死亡させた。歩夢ちゃんの体重は二月七日の発見時、約一〇キロと一歳児並みだった。
同地検によると、歩夢ちゃんは一日二回、納戸前に置かれた菓子やジュースなどを自分で取って生活。納戸に鍵はなかったが、歩夢ちゃんが階下に行くことはなかったらしい。山下被告は納戸横の居間で長男と寝起きしていたが、歩夢ちゃんの様子に気付かず、死亡推定日の五日以降も菓子などを納戸前に置いていたという。
同地検は「不作為による殺人」も視野に捜査を進めたが、不十分とはいえ食事を与えた事実があることなどから、殺人罪での立件は見送った。
1日の昼、このニュースをネットで見て泣いた。「二男よりも長男のほうがかわいかった」と二男を虐待死させた母親の続報だ。やるせない、なんてもんじゃない。ほっぺがぷにぷにしていて、目をキラキラさせて「だっこ〜」なんていうような、いちばんかわいい時期の3歳児を真っ暗な納戸に閉じ込めて殺すなんて……。どんなに怖くて、どんなにさみしくて、どんなに泣いたのかを想像するだけで、息苦しくなるほどにつらい。最後はきっと絶望のなか、泣く力もなく死んでいったのだろう。
我が子をなぐって殺す親も鬼畜だが、存在すら無視し、ジワジワと衰弱させる親だって人間じゃない。なのに「不十分とはいえ食事を与えていた事実があるから」と殺人罪での立件を見送る高松地検。ばかじゃないの? 体重がたった10キロ。死ぬとは思わなかっただなんて、ふざけている。
比べることではないけれど、大人が大人を殺すよりも、よほど重い罪だと私は思う。子どもは抵抗をするすべも、家を出て逃げるすべも、誰かに助けを呼ぶすべも知らない。ただただ、親から愛情を注がれることを待っているしか出来ないのに……。今の司法制度は親による子どもの虐待死の罪が軽すぎる。子どもは決して親の所有物じゃない。子殺しの罪はもっともっと重くすべきだ。
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コメント
おはようございます
これ、間違いなく、殺人ですよ。「死ぬとは思わなかった」が通るなら、世の中に殺人罪はなくなります。「バカ」は皆、無罪や減刑を得られます。
先日のウサギの「ゆきのすけ」クンの事件もそうですが、ひと思いに殺したなら、そのほうがよっぽどマシです。これではなぶり殺しです。3歳児でしょう、ワケ解からずに死んでいったに違いありません。この世に生まれてきて、親の愛も知らずに死んでいくなんて寂しすぎるよね。
いけねえ、もう涙止まんなくなっちゃった^_^;
投稿: poohpapa | 2006.03.02 06:24
追加です
あっくんに叱られそうですけど(汗)、まだ他にも養育すべき子供がいるとしても、こんな人間は死んでもらったほうがいい、と思います。
長男が成長して、弟がどのようにして死んだ(殺された)かを理解した時の苦悩が今から解かりますね。
それにしても、法曹界に身を置く人間には著しく一般常識が欠如していますね。
投稿: poohpapa | 2006.03.02 06:44
poronさん、ご無沙汰しておりました。
こちらの記事を拝読して事件を知り、私も泣きました。同じ虐待でも、外に子どもの声や親の声が聞えない今回のようなケースだと、ご近所さんが児童相談所に通報するとかそういったことも無しに、本当に誰からも関心をもたれずに子どもが死んでいったと思うと……
最後の行は、私も全く同意します。
>今の司法制度は親による子どもの虐待死の罪が軽すぎる。
>子どもは決して親の所有物じゃない。子殺しの罪はもっともっと重くすべきだ。
投稿: fumi_o | 2006.03.02 08:02
未必の故意ってやつにならないんでしょうかね。。。
投稿: 通りすがり | 2006.03.02 14:50
人のふりをした外道ですね。
税金を使って裁判したり、刑務所に入れたりする必要はないです。
極刑だってもったいない。
子が監禁されていた納戸に放り込んでしまえ!
投稿: あっくん | 2006.03.02 19:21
現行の司法制度そのものよりもその「運用」に問題がありすぎる
ように思えることが多いですね。
「社会」で人が人らしく生きるための調整役であり、弱者を保護することを目的とする法律。
それを運用していく法曹人たちがどっぷりと勘違いしているようです。
子殺し、親殺しだけでなくほとんどの犯罪が加害者に甘いですよね。
被害者は泣き寝入りしかできない・・・・・。
何かって言うと「精神鑑定」・・・身も心も擦り切れるほど辛い人は犯罪なんか
犯しませんっていつも思います。
結局こういう子供を人形かなんかと勘違いするような「親」を作り上げた
その親、地域社会、ひいては日本と言う国がその子を殺したんだと言っても言いすぎじゃないんじゃないかと思います。
法曹界を責めるより、司法制度を責めるより、人としてのありかた、思いやり、道徳といった教育とか
もっと見つめなければならないことがたくさんあると思いました。
残虐かつ非道な犯罪については加害者本人だけでなく、その親にも刑を科すべきだと
私はいつも思います。そうすれば親はきちんと子供を教育するでしょう。。。。
・・・と長々とごめんなさい。
投稿: よっつぁん | 2006.03.02 20:55
朝、出勤前にこの記事読んで号泣。
で、コメント書くためにもう一度読み直して号泣。
子供のいない私には理解できない育児の悩みやつらさがあるのだと思うけど、なぜ虐待するの?
世の中には欲しくても子宝に恵まれない人がたくさんいるのにな。
独身の私だって、きっといつかは愛する人と自分のと、ほどよくミックスされたDNAを持つ我が子をこの胸に抱いてみたいと思うもの。
あ~あ、また涙出てきたぢゃないか・・・。
投稿: ぷるぷるぷりん | 2006.03.03 01:01
確かに鬼畜だろうね・・。
でも、やっぱり普通じゃない。
母親は病気だと思うんだけど。
自分でも分からないだろうが。
そんな病気を誰も教えてくれないし、助けてくれない。
で子どもが犠牲になってしまう。
親を責めるだけでなく、親を救えない社会、地域の仕組みやあり方をどうにかしないと、もっと親の病気の犠牲になる子どもが増える気がする。
子育てして行き詰まっていると、自分で気付かぬうちに心の病になってることって、結構思い当たる人は多いと思うよ。程度の差こそあれ、多くの割合で母親は「自分はちょっと最近普通じゃないかも」とふと思ったりすると思う。
まして、子どもと母親と家の中で閉じこもったような生活になると、危険はかなり大きくなる。
先日の幼稚園送り迎えの母親の刺殺も同じだと思う。病気という点で。
投稿: O氏 | 2006.03.04 22:45
うちも3歳児ですが・・・、確かに今が一番可愛
い気がします。良く喋りちょい生意気な感じが
。なので、子供に十分な栄養を与え無いって
のは、わかりません。しかし、100%悪いとも
思えません・・・。旦那さんが居なく、母子3人
くらいしみたいで、長男がもう聞き分けが良い
歳になってたした場合、下の子が聞き分けが
悪い事をした時に、それが発端かもしれませ
ん。発見した祖母がどう関わっていたかも
分かりませんが。子育てと、生活に苦しんで
いたかもしれません。少子化対策と良く耳に
しますが・・、手当てを少し増やすとかだけで
無く、子供を少しの時間無料で預けておける
場所とかを、気軽に作りお母さんが少し息抜
きが出来る事が必要だと・・。
投稿: みずみず | 2006.03.05 00:10
記事掲載以来、何度も読み返してしまいます。ウチにも2歳児がおります。読むたびに泣きそうになり、怒りを覚えます。残念でもあります。
この事件現場、保存、公開し、記録と記憶に留めるべきではないか、とさえ思います。それはもちろん現実的ではないのですが。
投稿: 竜馬 | 2006.03.08 00:16
日本の司法制度も陪審員制で変わりますかね?
それ以前にこんなわがままなやつが子どもを作る事を止めさせる方法はないかな?
投稿: しげちん | 2006.03.13 10:38
■poohpapaさん
私はふだんから「目には目を」のタイプなので、
まったく同じ方法で刑を執行してもらいたいと思っています。
■fumi_oさん
母親による子殺し、多すぎます。心中のニュースを聞いても
「子どもが不憫だから連れていきます、なんてエゴもいいところだ。お前だけ勝手に死ね」と怒っています。実は小学校1年生のときに仲良しだった友人が弟とともに母親に殺されました。近所の川に突き落とされて。母親はその後、飛び下り自殺をしましたが、幼いながらも悲しくて腹立たしく思ったことを覚えています。
■通りすがりさん
たぶん、未必の故意で殺人罪に問うことも考えていたと思いますよ。ただ、それで無罪になったらリスクが大きい。だから、確実に罪を問える方法で起訴したのだと思います。
■あっくん
私もそう思います。
■よっつあんさん
虐待者を育てた親の罪……。確かにそうですね。
おばあちゃんも一緒に住んでいながら、死んでいたことに
気づかなかったなんて、私には考えられません。
なぜ? どうして? と疑問ばかりが浮かびます。
■ぷるぷるぷりんさん
確かに子育ては大変だし、ウキーッと精神的におかしくなることもあります。私自身、娘を叩いたことあります。でも、普通は我に返ったり、罪悪感を覚えるんですよ。2カ月も虐待し続けられるなんてあり得ません。だって、かわいいもの。子どもって。
■O氏
病気とか社会のせいとは思えないんだわ、私。
確かに病気に気づいてあげられる環境、
虐待を防止できる社会というのは理想だけれど、
まわりがやれることには限界がある。
何ができる? どうすればいい?
私にはなかなか答えは見つかりません。
病気で片付けるには陰湿だし、社会や地域だって
「見て見ぬフリ」をしていたわけじゃないもの。
どう考えても、この母親は鬼畜たとしか思えません。
■みずみずさん
発端は何かあるのでしょうが、虐待をし続けたことに
「魔が刺した」のとは違う怖さを感じています。
ついカッとなって、とかじゃないから怖い。
もうそれって誰かがどうサポートしてもダメだと思う。
何かいい手立てがあればいいんでしょうけれど、
今の私には思いつきません。ホントにつらいです。
■竜馬さん
こういう虐待って、どうすればなくなるんでしょうか?
考えても考えても答えが出ないし……。せつないです。
■しげちんさん
母性とか愛情とかを、目に見える形で計れたらと
考えることもあります。自分はどうなんだろうかと
怖い気もしますが(笑)。
投稿: poron | 2006.03.14 06:24
凶悪犯罪は激減してます。
犯罪が増えているように感じるのは単に異常な事件だけを抽出し何度も何度も報道する
報道のセンセーショナル化が原因です。
サリン事件以降、マスコミにとって犯罪報道は「安価で企画もいらず数字を取れるコンテンツ」と認識されてます。
つまり犯罪が増えたのではなく犯罪報道が増えたのです。
殺人は昭和中期の半分以下、強姦は1/3以下に激減してます。
子殺しは激減している。
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-baby.htm
既婚女性が最も気にする子供殺しは昭和50年には約500件だったのが現在は約100件に減少。
しかも現代の子殺しの犯人はほとんどが親や身内で他人が犯人のケースは年間10件程度です。
投稿: はねだ | 2008.01.09 06:36