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叱り屋稼業だったころ

 イマイチ調子の悪い夏を過ごしていた娘の調子も、いまや全開バリバリ。ようやくひと安心といったところだ。オネショをして踏み洗いをした布団(ウォッシャブルタイプ)は半日の天日干し&半日の乾燥機で見事復活。だがしかし、マットレスは復活ならず(やっぱりな)粗大ゴミの回収を待つばかりとなっている。

 ここ数日は、お盆休みということもあって手が空いていたので、作品用のサイトを試作していた。最近、新規の問い合わせがいくつかあって「とりあえず作品を見たい」「メールで見積もりを」なんていうケースがあり、必要に迫られて作った次第だ。いままでは「誰かからの紹介→顔合わせなしでいきなり仕事」、もしくは「仕事発注するから、まずは電話か直接合っての打ち合わせを」というパターンだったから、メールだけで細かい部分のやりとりまでするのは、ちょっと苦手。でも、そうもいっていられない時代になってしまったのだろうな。

 サイトは「ID for WebLife*」というソフトの体験版で作ったもの。基本的にFlashオンリーのサイトは嫌いなのだが、写真コピーの心配はないし、テンプレに写真とテキストをはめこめば完成というお手軽さ。とりあえず2週間の体験版お試しで試作し、まあいいんじゃないのと製品版を発注した。でもねえ……、うちの古いiMac DV SE(2000summer)だと重たいんだよねえ。PCのスペックや回線によっちゃ、ストレスのたまるサイトかもしれません。何かお気づきの点がありましたら、教えてください。

 さてさて、今朝お友だちの理恵姐さんのBlogを読んでふと思い出したことがある。実はわたし、OL時代は社内屈指の「叱り屋稼業」だった。

 私のいた部署は専務取締役から常務取締役までが顔を揃える「営業本部」だ。社長秘書室と同室、ということもあって、社内のどの部署とも違い、それはそれは聖域チック。重たいガラス張りのドアを開けるとフカフカの絨毯、重厚なインテリア、豪華な生け花が目に飛び込んでくる。入社以来、1度も足を踏み入れたことのない社員は数知れず。「開かずの間」と恐れられていた部署である。

 そんな「営業本部」で、水商売と見紛うような姿形で仕事にいそしみ、長い間「開かずの間のお局様」の地位を確保していた私であったが、なぜか転属されてくる女の後輩は「おっとりしすぎて仕事になりそうもない新入社員」か、「他の部署から放り出された問題児」ばかりだった。門限が6時という箱入り世間知らずの娘A子、気が強くて同僚とのケンカが絶えず、困り果てた担当取締役が放出したB子、美人で男受けはいいけれどイマイチ仕事に興味のないC子……。そんな面々ばかりが、私のもとに配属されてくるのだ。

「ちょっとお、どうしてうちには即戦力が来ないのよ!」

 人事課のお局様や仲のいい常務取締役にグチをこぼすと、きまって彼らは「だって、あなたのところにしばらく預けると、その後は売り手市場なんだもの」といった。そう、売り手市場。私のもとで働いていた子は、1〜2年経つとどこかの部署へ転属になる。どの部署の担当取締役からも「うちに来てほしい」と引く手あまた。あれほど「もういらない」と手放した取締役ですら「やっぱりあの子を戻してくれ」と懇願してくるのだという。いわば、私のところは「修業先みたいなもん」だそうだ。

 私がいつも気を配っていたことは「身内主義に徹すること」だけ。開かずの間と呼ばれるほど、外からは見えない場所であったからできたことも多い。「他部署ではその子の悪口をいわない」「悪いことをしたら徹底的に叱る」「うまくできたら過剰なまでにほめちぎる」のである。

 どんなに問題児だとしても、かならずどこかにいいところはある。世間知らずでおっとりしている子なら、時間をかけて調べたり、ていねいに作る資料の仕事を与える。気が強い子には競争心をあおり、スピードと成果がすぐに見えるような仕事を担当させる。ちやほやされることが仕事みたいなものだった子には、容姿ではなく実力が問われる仕事をさせる。やる気がなかったり、手抜きをしたら、泣きだすまで叱り、きちんとがんばれば大騒ぎでほめる。それだけ。たったそれだけで、ほとんどの子は自分の得意分野と価値を知り、みるみるうちに社内でも有名な「デキル女」になっていく。

 それから、自分の部下になったら絶対に外では悪口をいわない。転属直後は元の上司や同僚が「うちの○○がそっちに配属されたけど、あの子はひどいもんだよ」「いやあ、大変だよねえ。こっちは助かったけど」などといってくる。たいてい相手は「そうなんですよねえ。ホント使えなくて困っちゃうんですよ」という答えを期待しているが、そんなときは必ず「すごくいい子ですよ。ハキハキしているし、計算は速いし、整理整頓も得意。うちに来てもらって本当に助かっています。手放してもったいなかったかもしれませんね」と答える。

 私が話す評価はまわりまわって、いずれ本人の耳に入る。軋轢のあった元部署の上司や同僚に対しても顔が立つし、ましてほめられればうれしいに決まっている。そうしたことを繰り返すうち、どこの部署からも欲しがられるOLに育っていくのである。
 
 ようやく即戦力になったと思ったころに、他部署に引き抜かれるのは本当にくやしいけれど、嫁に出すと思えばうれしいことこの上ない。叱り屋稼業の私は、いまは後輩ではなく、夫と娘を叱っている。いい人間に育ってくれればいいのだけれど、こいつらは一筋縄ではいかなくて……。

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コメント

おはようございます

poronさんの気配りと思い遣り、凄い!
叱り屋稼業、なんてもんじゃありませんとも。本音で接して、そのうえで愛情と思い遣りが備わっているのですから・・・、あ、だから「叱り屋」なのか・・・。愛情が無ければ、ただのクチ煩い先輩ですもんね。

それと、poronさんがお作りになった「こんなの」、ソフトの体験版で作ったとしても、かなりのセンスですね。うちの店も考えようかな(*^^)v

投稿: poohpapa | 2006.08.21 07:33

いい感じに仕上がってますね。Flash や JavaScript ってうっとうしいなあと思ってもいるのですが、確かに写真についてのそういう効用があるのですね。
猫の写真にやられました。

誉めることをせず、相手の特徴を理解しもせずひたすら延々としかり続ける上司のなんと多いことか。poron さんを講師にお呼びしたいようです。

投稿: ムムリク | 2006.08.21 10:39

「こんなの」素敵ステキ〜!です。
黄色の使い方がとても好きです。
なるほど、さすがporonさんの旦那さんでいらっしゃると思うのでした。

部下の育て方、胸に痛いです。
そうですね、他部署で悪口言っちゃいかんですよね…。

投稿: sumi | 2006.08.21 12:57

ぶふふっ。らしい~。
目に浮かぶね。叱り屋姿。
これからもその叱り屋魂、ばしばし発揮してください。また飲みましょう!

投稿: RIE姐さん | 2006.08.22 01:23

叱り屋稼業などと言いつつも、夫の写真にそっと1行のコピー。鋳物師のつぶやきがかっこよかったです。poronさんの叱り屋っぷりを見習おうと、改めて思いました。いやぁ〜〜、勉強になります。姐さん!

投稿: さり | 2006.08.29 21:39

■poohpapaさん

その後、ソフトは体験版の期限が切れ、正規版を購入しました。いろいろ使ってみてわかったのは、写真メインのサイトだといいけれど、私みたいな「書きたがり」のテキストサイトだとつらい、ということ。なんせ、サイズがサイズなので、たっぷり文章を入れるとスクロールバーで読ませることになるので、不便です。

■ムムリクさん

猫の写真で毛足の長い子猫は上でコメントしているpoohpapaさんちのノルンちゃんです。あの写真はすべて、雑誌で撮影したものからセレクトしたのですが、夫は「仕事以外でも撮りてえ」と悶えております。

■sumiさん

そうそう、悪口もいずれ本人の耳に入りますもの。でもねえ、いいたくなっちゃうことがあるのよねえ……。私もつい飲んだときはコッソリぐちったこともありましたよ。

■RIE姐さん

あら、いらっしゃい。お元気そうで何より。おかけさまで、最近もS子姐様や岡山のM様からお仕事の発注をいただいていますよ。ありがとね。

■さりさん

いえいえ、とんでもございません。さきほども「ゴルァ、うたた寝していないでさっさと布団へ行けえ!」と怒鳴りました。本日も叱り屋日和です。

投稿: poron | 2006.08.31 23:09

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