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正しい剃毛

 うちのblogで毎月、検索フレーズのトップを飾っているのが「市原憲克」もしくは「陰毛 白髪」。これはもう何カ月もの間、揺るぐことのないワン、ツーであり、今日みたいなタイトルをつけると、期待値100%で訪れる検索エンジン経由の方々をさらにガッカリさせてしまうのは明らか。あー、すいません。ここにはイッチーも陰毛もありません。頼むから「陰毛 白髪 イメージ」で検索してくるのはやめてください。話がズレてしまったが、今回は「正しい剃毛」について考えてみたいと思う。

 ……それは、唐突で何とも不思議な質問だった。

 心室心拍で入院していた母は、CCUの病室で退屈していた。見舞いに来た私に「部屋を歩くことも、ひとりでトイレに行くのも許してくれないのよ」とグチをこぼす。

「仕方がないじゃない。頻脈の原因がわからないし、とにかく心電図がグチャグチャなんだもの。まるで地震計みたいなんだから。そんな状態で歩かせたら、いつ心臓が止まるかわからないし、仕方がないの。我慢して」

 そう諭す私の言葉に、母は「そんなに悪いの? こんなに元気なのに」としょげ返った。明日はいよいよカテーテル造影検査だ。この検査で心筋梗塞かどうか、心筋梗塞のせいで頻脈が起きているのかがわかる。治療するためには、まずは原因を特定しなければならない。ひとつひとつ検査を行ない、心室頻拍の原因と思われる項目を消去していく必要があるのだ。そうした意味で、造影検査でわかる部分はかなり大きい。

「○○さーん、明日の検査の準備をしましょうね」

 看護士さんが部屋に入ってきた。にこやかな笑顔で「どうします?」という。母は何のことかよくわからず「え? どうするって何を?」と聞きながら、私と看護士の顔を交互に見つめた。

「検査のためにね、下の毛を剃るんですよ」

 ここでようやく母と私は、剃毛のことだと気付いた。……しかし「どうします?」の意味はまだわからない。

「どうしますって何を?」

 再び母が聞くと、看護士さんは笑顔でこういった。

「私が剃りますか? それともご自分で剃りますか?」

 ……自分で? 母も私もポカーンとしたまま、返事もできず看護士さんを見つめる。

「え……、え? 自分で……?」
「ええ、○○さんならご自分で剃るっていうかと思って。よければ私が剃りますけど」
「ええっ? 自分で剃る人っているんですか?」
「いませんね」
「じゃ、どうして私が自分で剃るって思ったの?」
「何となく……(苦笑)」
「剃ったことなんか、ないわよう〜」
「じゃあ、私が剃りますね」

 剃毛の支度をするため、看護士さんは部屋を出ていった。母は何だか泣きそうな、困ったような顔をして私にこう聞いた。

「ねえ、自分で剃るときって、上から下に剃るの? それとも下から上かしら? 刃が横滑りしてシャーッって切れちゃったらどうするのかしらねえ」

 ……知るか、そんなこと。

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コメント

おはようございます

うん、紛れもなく、親子だワ(*^^)v

投稿: poohpapa | 2006.12.14 06:41

■poohpapaさん

ええ、ええ。その通り。血は争えませんね。

投稿: poron | 2006.12.24 05:26

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