今年の4月、娘が小学校に入学する。卒園文集の製作をしたり、ランドセルを買ったりと、バタバタしているのだけれど、親として何が不安かといえば「いじめ」である。
私が子どものころだって、いじめはあった。ランドセルを背負っていた時分、すでにドロドロとした「女同士の派閥争い」があったし、通学路では上級生が待ち伏せし「てめえ、生意気なんだよ」と怒鳴られる。特に私はひとつ上の上級生から目をつけられていたから、中学に進学しても執拗な嫌がらせは続く。そいつらが卒業するまで続くのだ。
上級生にいじめられるのは特に理由があったわけじゃなく、単に私が気に入らなかっただけだ。同級生の中でも背が高く、小学校の生徒会長をつとめる活発な私を、生意気だと思っていたらしい(ま、いま思えば確かにクソ生意気な子だったと思う)。
親や先生にいえば「チクリ」といわれ、ますますいじめがエスカレートする。毎日毎日、上級生と顔をあわすたび、ビクビクして過ごしていたが、そのうち私は「抵抗しないからエスカレートするんだ」と気づいた。そうだ、弱いからいじめられるんだ。上級生の陰にビクビクし、下を向いて歩いているからいじめられるんだ。だったら、強くなればいい。気の強さ、ケンカの強さ、意志の強さ、人脈の強さで抵抗すればいいんだ。
そう考えたら、キャンキャンとほざいているような上級生が怖くなくなった。怒鳴られたら怒鳴りかえす。呼び出されたら、ニタニタ笑う。何かされたらすぐにチクル、すぐにやりかえす、すぐに手をまわす。どんなことがあっても、こっちからは仕掛けない。何かされたら、行動するのみ。そうするうちに、上級生は手を出さなくなり(出せなくなり)、私は「一見、ふつうの中学生」でありながら、裏番と呼ばれるようになった。
幸い、私自身は元来持っていた「気の強さ」でいじめを克服することができたが、果たして、うちの娘にいじめに打ち勝つだけの気の強さがあるか? たぶん、無理だろう。もしも、娘が「胸がキューッと痛むような」いじめを受けたら? もしも、娘が親にいえずに悩んでいたら? 守ってやれるのは親しかいない。
私は娘が保育園から帰ると、かならず「今日はどうだった?」と聞いている。毎日毎日、たった数分だけど、楽しかったことや友だちとケンカしたこと、いわれて傷ついたことを聞いている。そして、ときおり「誰かにいじめられたら、すぐにママにいいなさい。ママがかならずその子を叱ってやる」と話している。そして、その子に会ったときに叱るか、頃合いを見てその子の親に話す。だから、娘は何かあるとすぐに私にいう。チクリまくりのチクリ放題!
「ママ〜、きょうね〜、○○くんがお腹をけっとばした〜」
「なぬ! お腹はよくない! しかも、女の子なのに」
「やめてっていったんだよ。でも、やめないの」
「わかった。○○のかーちゃんにメールしとく」
いじめはよくない。親同士の「妙な」遠慮も必要ない。いじめをすれば、それはすぐに相手の親の耳に入り、そして自分の親の耳にも入る。親のいない場所であっても、やったことがすぐにバレて叱られる。大人すべてが「いじめは許さない」という姿勢を貫かずして、子どものいじめはなくならないのだ。
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