黒ウンコの話で更新が途絶えたままだと「やっぱり血便だったんか」「死んでる?」なんていう、メールがドコドコ届くので、やむなく生存の明かし。
いや〜、しんどかった。月刊誌(入稿〜雑誌の発行日までがたった9日!)の取材と締め切り、お手伝いをお願いしたライターさんの原稿チェックをこなしながら、某大手電子機器メーカーに渡す見積り&サンプル原稿の作成とお手伝いライターの確保、卒園文集の入稿(96P分の編集を担当)と校正、某企業のパンフ用コピーライティング、某飲食店のホームページ用コピーライティング、確定申告書類の作成……が、ここ2週間の間に重なってしまい、昨日はあえなく死亡。
寝不足→アタマがまわらない→ボキャブラリの引き出しがカラッポになる→ミスが増える→ダメじゃんコレ→少し仮眠すっか→アタマが冴えて眠れないいいい〜!→ウツラウツラ……→仕事の夢を見る→ガバッ!→まんじり……。
もうね、悪循環ってやつですよ。それにしても月刊誌の仕事は地獄のスケジュールで大変だったが、ある意味おもしろかった。今回の仕事は夫とセットで行く、飲食店取材。中高年向きの、いわゆる接待店がほとんどだ。でもって、まず最初にアポ取りをするのだが、電話をかけたら、まず最初に「金はかからん」と伝えないと話が進まない。
とりあえず、名乗る。そのまま、雑誌名と企画主旨を説明して「企画書を送らせてください。お金はいっさいかかりません」という勢いづけて話す。ここらへんまでは、息つぎ禁止。そうしないと、どこぞの広告営業と間違えられて「間に合っています。ガチャン」だもの。
昨今はどこの雑誌でもネットを運営をしていて、そこに飲食店やらショップの広告を掲載している。また、紙媒体の雑誌でも「PRページ」という、いわゆる広告やタイアップを掲載する枠もある。こうしたPRページは、じっくり読むと左下や右下のほうに「PR」とか「発売元○○○」とか「お問い合わせ先」などが書かれていて、すぐにわかる。
そうした関連の営業さんが「こんにちは〜、○○書店の○○(雑誌名)です〜。今度、こんな特集があるんですけれど、取材させていただけませんか〜」などといって、出稿を勧めに来る。お店のオーナーさんは「お〜、雑誌の取材かあ。うちも有名になったもんだ〜」などと思っていると「つきましては、このサイズでいくら、これこれだといくら」と金の話が始まるのだ。そういう広告料のおかげで我が家はご飯が食べられているわけで、広告自体を否定する気はない。ただ、広告営業でありながら「取材」というのはいかがなものか? おかげでこちとら取材がしづらくて仕方がない。
駆け出しのころは「東京ウォーカー」の取材でよく飲食店へ行っていた。とある店のアポを取り、ちょうどランチとディナーの間の休憩時間を使って撮影をしていたところ、CLOSEDの札があるにもかかわらず、スーツ姿の女性が入店。満面の笑顔で「東京ウォーカーと申します。取材のお願いに参りました」といいだしたことがあった。店主も私もカメラマンもキョトン。「うちも東京ウォーカーですけど……」。
以前はこんなこともあった(下記の過去ログ参照)。ほとんどを広告ページだけにした雑誌を作り、取材と称して、多額のお金を集める出版社もあるのだ。
●ある夜のメールから
●ある夜のメールから(2)
●ある夜のメールから(3)
●ある夜のメールから(4)
●ある夜のメールから(終)
編集ページの場合、基本的には「いっさいお金をもらうことなく」掲載する。むしろ、撮影用に出してもらった料理代を支払うことも多い。そのかわり、文章や写真の大きさは、店の意向は聞き入れられない。ときおり「うちは○○の隣に掲載してくれ」とか「おしゃれ、じゃなくて、お洒落と書いてくれ」とか「1/2ページじゃなくて1ページで載せろ」とかいう店もあるが「広告ではありませんので、ご要望にはお応えできません。編集主旨に同意していただけなければ、掲載はできません」と断りを入れる。
今回もこうした「取材なんです〜」という営業攻撃に、ウンザリしていた飲食店を説得するのに時間がかかってしまったが、行けば行ったでいろいろと楽しい話を聞いたり、モリモリお料理を頂いてきたりと、大変ながらも楽しい取材をさせてもらった。取材をしている最中も、いまだ半信半疑で「ホントにお金かからないんだよね? 後から請求書来ないよね?」と念押しするオーナーさんもいた。
「いえいえ、広告ではなく、編集ページですので、お金はいっさい頂いておりません! 雑誌に載るために、特にお金は必要ないんですよ」
……そんなことをいい続けてきた私。なのに、なのに。よりによって、知人のひとりが「実はさ〜、雑誌の取材を受けたんだよ!」と連絡してきた。え? おたくの会社、工務店だよね。何? 建築雑誌? それとも……?
「ビジネス誌なんだけどね。取引銀行から話が来たんだ」
「え? 銀行から? ビジネス誌?」
「雑誌の編集部の人がさ、うちの取引銀行に『どなたか、小さいけれど業績をあげている真面目な会社を紹介してくれ』って頼んだんだって。それで銀行から電話が来たんだよ」
「……。そ、それってもしや、芸能人が取材に来るやつ、じゃ……ないよね」
「あ、それそれ! ○○さんと○○さんと○○さんのうち、どなたにしますかって……」
「ま、まさか……」
「それにしても雑誌に載るのって高いんだな〜。50万もしたよ!」
「ギャーーーッ!」
「うちのが『一生に一度だから』って貯金を崩してくれてさ〜」
「ひいいいいいい〜っ」
「本当に高いんだねえ、雑誌に載るのって」
……いえない。本当のことなんていえないよ〜。……いいじゃん。一生に一度だし。こうでもしないと、職人仕事の彼には雑誌に載るチャンスなんてないだろうし。子どもにも自慢できるし……。よ……、よかったね。
最近のコメント