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2007年6月の記事

国産です(1)

 ジメジメとクソ暑い時期を迎えるにあたり、「い草」のラグを探していた。べとつかない、涼しい、独特の香りがいい……というわけで我が家の夏はここ数年、もっぱら「い草」だ。しかしながら、市場に出回っている「い草」商品は、そのほとんどが中国産。い草の質もさることながら、織り方、縫製も雑なので、せいぜいワンシーズン、よくてもツーシーズンしか使えない。しかもここのところ、鉛入り土鍋やら、発がん性抗菌剤入りのウナギやら、有毒化学物質入りの練り歯みがきやら、中国クオリティの恐ろしさが露呈。そんなわけで、今年こそは国産い草を購入しようと思い、探していたのだ。

 日本で収穫したい草を日本で織り込んだ、いわゆる「国産い草」商品は高い。中国産のラグが5,000〜10,000円程度なのに比べ、国産ラグは20,000〜40,000円。同じ国産でも花ござ(部屋に敷き詰める、縁取りの小さいタイプ)はよく見かけるものの、国産ラグを種類豊富に置いているところはない。加えて、国産い草の商品は数少ない昔ながらの職人が作るせいもあり、洋間に合うようなデザインが少ない。ラグを1枚敷くだけで、田舎のおばあちゃんちに!  ……というような、「いわゆる伝統的、古典的な織り模様」がほとんどだ。

 国産&掛川織りのラグで、リビングに敷いても違和感がなく、織り模様があまりゴチャゴチャしていなくて、ツヤがあり、縁取りの縫製がしっかりしていて、長持ちするもの。金は出すから、妥協はしません、といった具合に探していたものだから、選択肢が限られてしまっていた。

 やっぱり実際に手触りを確認しながら、購入したい。ネットショップだとツヤの良さや作りがイマイチわかりづらいし、高級品だけにオークションは論外。デパートは高いだけでデザインは×のものばかり。それでも、オール中国産品揃えだった3〜4年前と比べ、ここ1〜2年は大手スーパーやインテリアショップでも、国産い草を置くところが増えており、春先からあちこちの店をのぞながら、コレと思うものを探していたのだ。

 そんな折り、大手スーパーのチラシに「国産い草値下げ」の文字が踊った。6月初旬。梅雨入りまでの勝負、ということで、すでに処分価格を始めたのだ。チラシの写真を見ると、実際に見ないとわからない織りや縫製以外はほぼ条件通り。ただし、元値が国産にしては安いという心配はあった。「仕事の合間に、見に行って来よう」と思ったものの、あっという間に数日間がたち、気づいたときには値下げ期間が終わっていた。

「縁がなかったんだ。きっと」

もう少しすれば、別の大手スーパーやデパートで、安くなるかもしれない。……そんなことを思っているうち、再び同じ大手スーパーのチラシが入ってきた。前回と同じい草ラグの写真。値段も同じ。コレコレコレ! この間、買い損ねたやつ! まだ在庫があったんだ!

 私は喜び勇んで、大手スーパーへ飛んで行った。国産い草がこの値段なんて! あとは織りや縫製を見て、良ければ買うだけ! はやる気持ちを抑えつつも、インテリア売り場へ向かう。い草商品のコーナーには高々とPOPが掲げられていた。

「国産い草が早くもこのお値段!」

 しかし、それは私が予想もいなかった国産だったのだ。
(つづく)

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チンちぇき

〜キャッチコピー〜

これはある男と交わした通話内容の記録である。

〜プロローグ〜

 まずは下記URLのページを見てほしい。これから書く記事が、先方にとって決して「リンクされてうれしい記事」ではないため、あえて直リンはしていないのでご了承を。

http://www.tanimoto-farm.com/shop/about_nankou_size.html

〜本文〜

「なぜ、こんな話になってしまったのだろう」

 受話器を耳に当てながら、私はぼんやりと考えた。そもそも、梅の話をしていたはず。毎年、1キロ100円で青梅を販売している農家を訪ねたところ、今年は不作でほとんど採れなかったといわれた。ならば、どこかで格安品を探すしかない。ネットショップやオークションをチェックしつつ、安いところがあれば「ある男」と共同購入しようと思っていたのだ。

 オークションで手頃な青梅を見つけ、「ある男」にメールを送る。おおまかなサイズを知らせたくて、まったく関係のないサイトの、あるページをリンクした。

「今、メールしたんだけど、ちょっと見て。オークションのこれ、手頃でいいんじゃない? サイズはリンクしてあるページに説明があるから参考にして」

電話をかけると、「ある男」はすぐメールを開き、オークションページとリンク先を確認した。

男「Mサイズか、いいんじゃない? どうせシロップと梅酒だし」
私「Lサイズだと最高なんだけどね」
男「うーん」
私「毎年、買っているのってLと2Lの混合だよね」
男「……」
私「どうした? 何か気になる?」
男「……この丸い形、なんかさ、コンドームのサイズ表みたい」
私「は?」
男「コンドームの大きさぐらいでしょ?」
私「梅ですが何か?」
男「どうしてもコンドームに見える」
私「どうやって測るわけ? 勃起させてモニタに押し当てるの?」
男「わははは! 変態だな」

 話の流れはあっという間に変わっていった。最初は梅の話だったのに……。

私「でもさぁ、意外とみんな、自分のチンサイズを知りたいかも」
男「モニタに押し付けて測るのは、危険すぎる」
私「じゃ、どうやって測るのがいいかな」
男「指輪のサイズを測るプレートみたいなのがあるでしょ。あれがいい!」
私「リングサイズゲージならぬチンサイズゲージ!」
男「わははは! いい! いいねえ!」
私「穴に入れて測ってください。本品は使い捨てです、って書いてある」
男「わははは! 再利用不可!」

そして、話は途方もない方向へ……。

私「そんなのより、あれがいいよ。チンちぇき」
男「え? チンちぇき?」
私「顔ちぇきって流行っているじゃない。あれのチンコ版」
男「顔ちぇきって?」
私「顔写真を送ると、画像認識技術で有名人の誰に似ているか判定してくれる携帯コンテンツ」
男「へえ。それのチンコ版?」
私「そうそう。最大膨張時のチンコ写真を送ると、判定してくれる。開発したら流行るよきっと」
男「あなたのチンコはチョコボール向井60%、加藤鷹40%とか!」
私「いいねえ! 開発すっか!」
男「儲かるかも〜」

〜エピローグ〜

「こんなはずじゃなかったのに……」

 電話を切ったとたん、私は軽い疲労感に襲われた。梅の話をしたつもりが、結局は何も決まらぬまま「ちんチェキ」の話だけで終わってしまったのだ。こうして、私はいまだネットオークションをさまよいながら、安い梅を探している……。(おわり)

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かわいくないのがイケナイの

 夕方のニュース番組でやっていた「質屋ウォッチング」を見た。夫に離婚を切り出され、仕方なく別居中という女性が「生活費の足しに」と質屋に行く。取材スタッフ「ご主人が離婚したい理由は何なのですか?」と聞くと、女性はこう答えた。

「結婚するとみんな、恋愛感情なんてなくなるっていいますよね。でも、私はいつも恋愛気分でいたいんです。だから、甘えすぎちゃったんだと思う」

 寝転がってテレビを見ていた夫がこの言葉に反応。ボソリとつぶやく。

「えーっ、甘えてくれるなんて、いいな……。オレはうれしいけど」

 なんだ、オマエ。甘えてほしいんか? 聞き捨てならぬ夫のつぶやきに、反応する私。

「あのね。夫が逃げ出すほど甘えるっていうのは、フツーじゃないよ」
「そうかなあ。イチャイチャして、いいじゃん」
「“ねえ、ねえ。いつ帰るの? さみしいから早く帰ってきて。いますぐ顔が見たいの〜。飲み会? そんなのダメダメ。だって、私さみしいもん。ひとりでいたくな〜い。いますぐ帰ってきて〜”……なーんていうのを毎日、やってほしいの?」
「うーん……」
「仕事で疲れていても、ベタベタしてほしい?」
「う……、うーむ」
「だから男ってさあ、ダメなんだよね。独身のかわいい女の子なんかと、ちょっと浮気して、電話で“今日、会いたいの〜。さみしい”なんていわれるとハマっちゃう。デートの帰りにさ、“ずっと一緒にいたいの”なーんていわれて、本気になっちゃう。女房は絶対にいわないセリフだもの」
「うぐ……」
「そんなに甘えてほしければ、浮気してくれば? あ、生活費は入れといて。いいぞぉ、毎日ベタベタしてくれる。でもなー、金かかるぞ〜。毎晩、こじゃれた店で外食だもんね」
「外食かあ……」
「大人のなんちゃら雑誌を買い込んでさ、デートする。あ、業界人ぶって、取材先に連れていくのはやめたほうがいいかもね。カッコワルイし」
「うーん」
「丁寧な仕事ぶりが伺える逸品、とかいうキャッチコピーが付きそうな煮物とか頼んじゃってさ。芋がコロン、花の形をしたニンジンがペロンと入った小鉢が1,200円。腹いっぱいになんねえっつーの。わはははは」
「ははは……は……」
「あ、うちは今夜、煮物だよ。大きい具沢山がんもと、小金井で採れた若竹の煮物。がんも1枚200円、若竹が山盛りで300円。白だしで炊いて、冷蔵庫で冷やしてある。あとは豆アジの南蛮漬け。豆アジは157円のパックが半額だったから、それを2パック。玉ねぎは○○さんが作った無農薬・小金井産。ま、浮気相手は、こういうの作れないでしょうけど。いいんじゃない? イチャイチャしてかわいければ」
「いや……、その……ごめん」
「いいのいいの、あやまんなくって。私がかわいくないのがイケナイの。でもねえ、ギャラの入金とか、仕事のこととか、娘のこととか、アンタの黄ばんだTシャツをどうやってきれいに洗濯するかとか、トイレくせーな。座ってしろよ、オイ。掃除しても掃除しても、ジョボジョボ飛ばしやがってとか、そんなことを毎日考えているとね、やーん、早く帰ってきてえ。なんていう気にもなれないのよね〜」
夫「ごめんなさい。もう、いいません」
私「いいのいいの、あやまんなくって。私がかわいくないのがイケナイの……(以下延々繰り返し)」

 ……エサだけで成り立っている結婚生活もどうかと思うが。

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