かわいくないのがイケナイの
夕方のニュース番組でやっていた「質屋ウォッチング」を見た。夫に離婚を切り出され、仕方なく別居中という女性が「生活費の足しに」と質屋に行く。取材スタッフ「ご主人が離婚したい理由は何なのですか?」と聞くと、女性はこう答えた。
「結婚するとみんな、恋愛感情なんてなくなるっていいますよね。でも、私はいつも恋愛気分でいたいんです。だから、甘えすぎちゃったんだと思う」
寝転がってテレビを見ていた夫がこの言葉に反応。ボソリとつぶやく。
「えーっ、甘えてくれるなんて、いいな……。オレはうれしいけど」
なんだ、オマエ。甘えてほしいんか? 聞き捨てならぬ夫のつぶやきに、反応する私。
「あのね。夫が逃げ出すほど甘えるっていうのは、フツーじゃないよ」
「そうかなあ。イチャイチャして、いいじゃん」
「“ねえ、ねえ。いつ帰るの? さみしいから早く帰ってきて。いますぐ顔が見たいの〜。飲み会? そんなのダメダメ。だって、私さみしいもん。ひとりでいたくな〜い。いますぐ帰ってきて〜”……なーんていうのを毎日、やってほしいの?」
「うーん……」
「仕事で疲れていても、ベタベタしてほしい?」
「う……、うーむ」
「だから男ってさあ、ダメなんだよね。独身のかわいい女の子なんかと、ちょっと浮気して、電話で“今日、会いたいの〜。さみしい”なんていわれるとハマっちゃう。デートの帰りにさ、“ずっと一緒にいたいの”なーんていわれて、本気になっちゃう。女房は絶対にいわないセリフだもの」
「うぐ……」
「そんなに甘えてほしければ、浮気してくれば? あ、生活費は入れといて。いいぞぉ、毎日ベタベタしてくれる。でもなー、金かかるぞ〜。毎晩、こじゃれた店で外食だもんね」
「外食かあ……」
「大人のなんちゃら雑誌を買い込んでさ、デートする。あ、業界人ぶって、取材先に連れていくのはやめたほうがいいかもね。カッコワルイし」
「うーん」
「丁寧な仕事ぶりが伺える逸品、とかいうキャッチコピーが付きそうな煮物とか頼んじゃってさ。芋がコロン、花の形をしたニンジンがペロンと入った小鉢が1,200円。腹いっぱいになんねえっつーの。わはははは」
「ははは……は……」
「あ、うちは今夜、煮物だよ。大きい具沢山がんもと、小金井で採れた若竹の煮物。がんも1枚200円、若竹が山盛りで300円。白だしで炊いて、冷蔵庫で冷やしてある。あとは豆アジの南蛮漬け。豆アジは157円のパックが半額だったから、それを2パック。玉ねぎは○○さんが作った無農薬・小金井産。ま、浮気相手は、こういうの作れないでしょうけど。いいんじゃない? イチャイチャしてかわいければ」
「いや……、その……ごめん」
「いいのいいの、あやまんなくって。私がかわいくないのがイケナイの。でもねえ、ギャラの入金とか、仕事のこととか、娘のこととか、アンタの黄ばんだTシャツをどうやってきれいに洗濯するかとか、トイレくせーな。座ってしろよ、オイ。掃除しても掃除しても、ジョボジョボ飛ばしやがってとか、そんなことを毎日考えているとね、やーん、早く帰ってきてえ。なんていう気にもなれないのよね〜」
夫「ごめんなさい。もう、いいません」
私「いいのいいの、あやまんなくって。私がかわいくないのがイケナイの……(以下延々繰り返し)」
……エサだけで成り立っている結婚生活もどうかと思うが。
| 固定リンク
「家族ネタ」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
許してやってくだせぇ!
よ~く言っておきますから…
悪気があったわけじゃぁねぇんで、ついフラフラッとなっちまっただけなんで。
勘弁してやってくだせぇ。
もし、もしもですが、おかずが余ったらお知らせいただければ取りに伺いますんで。
投稿: あっくん | 2007.06.08 04:13
おはようございます
私も時には甘えて欲しいですね。あ、あくまで「時には」ですよ(*^^)v
poronさんみたいにポンポンと機関銃のように反論が飛び出してくる女房じゃなあ、可愛くねえよなあ、旦那さんにちょっぴり共感と同情を覚えるなあ(爆)
ま、それにしても、いいもん喰ってますねえ、羨ましい!
投稿: poohpapa | 2007.06.08 08:18
ぎゃはははは!
面白しれ~~!!
ああ、楽しかった!
投稿: O氏 | 2007.06.08 21:28
■あっくん
以来、夫はトイレで座って用を足すようになりました。いや、そういうプレッシャーが目的じゃなかったんですけどね。よっぽど「ジョボジョボ飛ばしやがって」のリフレインが印象的だったんでしょうな。
■poohpapa
亀レスですみません。確かに機関銃と暮らしている感じかもしれません(笑)。うちの夫は地域の方々にものすごく評判がいいんです。先日もまわりまわって「poronさんとこのパパって、ものすごいいい人なんだよ。なにしろ、男だけの飲み会をしていても、決して奥さんの悪口をいわないんだ」という声が聞こえてきました。うふふ。悪口、いえるわけがないでしょう。そんなことをしたら、すぐに私の耳に入り、半殺しですもの。
■O氏
おたくもお気をつけくださいね。なにしろ、Oさんは失言キラーですから(笑)。
投稿: poron | 2007.06.30 10:17