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2007年11月の記事

登下校で見えるもの

 入学早々、娘が痴漢の被害に合って以来、登下校の見守りを欠かさない。過保護すぎるのでは? という意見もあるだろうが、6年間続けた保育園の送り迎えから開放され、ホッとした隙をつかれたともいえる犯罪。精神的ダメージは思った以上に大きい。

 そんなわけで、朝は家から校門、夕方は学童の出口から家までを夫と交代で付き添っているのだが、当然ながら娘以外の子どもたちにも目がいく。毎日、様子を見ていると親ですら知らない、気づかないような、子どもたちの「変化」に気づくことがある。

 ボサボサの髪でひとり走って行く子。声をかけると目をそらす子。ふくれっ面をしている子。登校中の寄り道がどんどんエスカレートしている子。いつもは友だちとにぎやかに歩いているのに、なぜかひとりでうつむいている子……。

 いってらっしゃいと送り出した後、出勤のため先に家を出た後、親は子どもたちの様子を伺うことはできない。でも、子どもたちの小さな心は、ときにはシクシクと痛んでいる。たとえ、大人にとって「そんなことぐらいで……」と思うような、ささいな出来事であっても。

ある女の子は毎朝、泣きながら歩いていた。どうしたの?と声をかけると、涙をポロポロと流しながら、うつむいている。

何か嫌なことがあったの?
なんでもない……。
どこか痛いの?
(首を振る)
じゃあ、一緒に学校まで行こうか。
……。

 そっと手を差し出すと、彼女は私の手をギュッとにぎった。道すがら、それとなく話を聞いてみると、小さな声で「学校に行きたくない」とつぶやいた。ああ、そうだったの。学校に行きたくないのね。そうなんだ。

 ここまで聞いたところで、校門に到着。今日はここまで。また明日、お話しよう。さあ、いってらっしゃい!

 彼女は娘と手をつなぎ、教室へと向かった。翌日も、その翌日も、泣きながら歩いてくる彼女を曲がり角で待ち、手をつないで登校する。同時に学童からの帰り道、「おうちに帰りたくない」とダダをこねる彼女を、家まで送り届けることもあった。

 毎日、少しずつ話を聞いたものの、結局わかったのが「学校に行きたくない」「家に帰りたくない」ということだけ。推察するに、入学して慣れない環境に疲れていたらしい。ひとりで登校し、ひとりで帰宅する緊張感。大人にとっては「そのぐらい」でも、子どもにとっては想像以上に大変で疲れることなのだろう。

 登下校で見えてくる、子どもたちの様子。親の知らない顔、親が気づかないこと。小さなココロの、ささいな変化を、私たちは見守っていきたいと思う。

 ……とカッコよく締めたものの、いつもいつも穏やかな気持ちでいられるワケもなく……。毎日毎日、かくれんぼをしながら登校する4年生の坊主たち! 人様のアパート裏手まで入り込み、駐車場を駆けまわり、大声で騒ぎ、遅刻ギリギリまで遊んでいる坊主たち! 一週間、片目をつぶって我慢していたものの、さすがにひどいので「遊んでいないで早く学校へ行きなさい!」と注意。そうしたら、なんと「ちぇっ、うるせーな」といいやがった! 誰に向かってクチ聞いとるんじゃ、ワレ。

 アタマに来たので1キロ四方にまで聞こえるほどの大声で、私はどなった。

「早く行け!」

 坊主たちは素早かった……。ピューンと逃げていった。通勤途中の人々がビックリして、振り返っていた。

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転んでも……

 更新をお休みして早1カ月。いろいろとご心配のメール&コメント&電話、ありがとうございました。以外と立ち直りが早くて(……というか、ますます稼がないといけないので、落ち込んでいられなかった)、ガッツリと仕事をこなしておりました。頂いたコメントへのレスはひとつひとつできませんが、感謝しています。本当にありがとう。

 さて、40万円の撮影料(50万円のうち、10万円だけは入金済みだった)は結果的に回収不可。勘のいい方はすでにおわかりなのだろうけれど、あえて社名は出さないでおく。8月の時点で会社の現金はすっからかんで、10月初旬には社長&オーナーが行方不明に。社員たちは給料ももらえないまま、なんとか営業を続けてきたものの、社長とは連絡が取れず、やむなく事務所を閉鎖することになった。

 8〜9月の2カ月間、催促の電話をかけ続け、弁護士に相談し、状況の把握を行ない、支払約定書を交わす段取りをつけるなど、未払いの不安と疲れでヘトヘトになっていた私は、事務所の閉鎖が決定したとたん、ヘナヘナッとなっちゃったのである。もう、なんにもやる気しねえ、って感じ。

 破産や更生など法的な倒産手続きであればまだしも、「社長の夜逃げ」だと、どうにもならない。いったい何社でいくらの負債があるのか、会社の財産はどうなのか……ってことがさっぱり解らないのだ。企業であれば、どこでも倒産はありうるし、ある意味仕方のないことだが、きちんと法的な整理をすることが負債者に対する最後の責任のはず。社員を置いて夜逃げなんて、本当に最低だ。

 ……と、まぁ、いろいろと愚痴りたくなるわけだが、転んでもタダでは起きないのが私のモットー。現在、撮影した写真の使用停止&ある相手に対して写真の買い取りの交渉を行なっている。

 それにしても不思議なことがいろいろと……。仕事関係の友人やクライアントはこのブログをまったく知らないのだが、「未払いで死亡。更新お休み」という記事をアップしたとたん、出版社の編集者から、ムックの話を頂いたり、知り合いのフリー編集者が化粧品広告の仕事を紹介してくれたり、マーケティング会社から新規案件の話が来たり、ありがたい話が続々と。今は超有名旅館の撮影の商談をまとめるために奮闘中だ。

 転んでもタダじゃ、起きません。これからも、がんばりマス。

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