イカトング
なんだかイカリングとかムシキングみたいなタイトルだが、間違いではない。イカトングである。
今朝、98円の卵目当てに朝っぱらから近所のスーパーへ出かけた。無事、卵をゲットし、ほかに家計に優しい特売品はないかと売り場を見回していたところ、大盛りになったジジババの群れを発見した。
ジジババの群れに特売品アリ。
スーパーの掟ともいえる、この法則を胸に秘め、ジジババ軍団をかき分けて進むと、そこには「スルメイカ1杯68円」の文字が……。もともとスルメイカはわりと手頃な値段で売られているし、今回のは型が若干小さめ。目の色を変えて買うほどでもねーな、と思いつつも、ジジババ軍団の興奮っぷりにつられ、ついつい群れの中心に入り込んでしまった。
しゃーない、2〜3杯買ってイカ大根でもすっか……。
いざ、手を伸ばしてみるも、ジジババの群れが壁のようになっていて、スルメイカまで届かない。なんでこんなに混んでるんだよ、たかがイカじゃないか。
よくよく見るとジジババたちは、カッチカチに凍ったスルメイカをご丁寧にトングでつまみ、より大きいブツを狙って選り好みをしている。しかも、トングから凍ったイカが何度も何度も転げ落ち、いつまでたってもビニールに入れられないのだ。
うおおおおっ、邪魔だ、邪魔! トングごときがイカを捕まえられるわけがなかろう。私は売り場のビニールを引きちぎり、手を突っ込む。手袋状のビニールをまとった右手は、ジジババの群れをかき分け、ワシッとイカをつかんだ。
わはははは! 見ろ! この技を! 5秒でスルメイカが手中に入ったぞ! わははは!
私は右手を高々と上げ、獲物を天にかざした。その姿はまさに狩人。
意気揚々で売り場を離れたそのとき、何やら違和感を感じた。お、重い。重すぎる……。カゴの中に放り込まれた獲物を見ると、なんとカッチカチのイカが6杯もくっついて、ひと固まりになっていたのだ! まるで巨大イカのように!
いまさら、売り場に戻って返品するわけにもいかず、スルメイカ6杯をご購入。トングでこねくりまわしていりゃあ、こんなに買うこともなかったろうに。イカトングの罠。
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