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2009年7月の記事

商談はお見合いのごとし

 フリーランス(個人事業主)の醍醐味といえば、仕事を選べること。こんなご時世なんだから、仕事を頂けるだけでありがたい……という気持ちもあるが、何でもいいわけじゃない。

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(初めて電話をしてきた依頼人A)

「あの〜、有限会社○○の○○ですけど。撮影を頼みたいんだけど」

「ありがとうございます。あいにくカメラマンの●●は撮影で外出しております。本日は携帯が繋がりにくい環境のため、連絡が取れ次第、お電話をさせていただく形になります。たぶん夕方以降になってしまうため、よろしければ撮影内容やお日にちなどを承りますが……」

「え? 仕事の話だよ、仕事の話」

「はい。わたくし、スタジオ●●の●●と申します。●●とは夫婦で一緒に仕事をしていますので、ご依頼のお話やスケジュール確認などを承っております」

「仕事の話だよ、本人と話したほうが早いでしょう?」

「●●と連絡がつくのが、夕方以降になってしまいますが、よろしいですか?」

「あ、そう。別にオタクじゃなくてもいいんだよ」

「いかがなさいますか?」

「カメラマンなんて、他にもいくらでもいるんだよ!」

「そうですか。それではどうぞ他でご依頼ください」

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(初めて電話をしてきた依頼人B)

「株式会社○○の○○と申します。突然、お電話してすみません! 急ぎの案件で申し訳ないのですが、ぜひ撮影をお願いしたいと思いまして」

「ありがとうございます。あいにくカメラマンの●●は撮影で外出しております。わたくし、スタジオ●●の●●と申します。●●とは夫婦で一緒に仕事をしていますので、よろしければご依頼のお話やスケジュール確認などを承りますが……」

「実はこういう案件なんですけど、金額やスケジュールが合うかどうか……。こんな感じだとおいくらぐらいですか?」

「難易度や使用目的、お取り引きの状況などにもよるので、一概に金額が決まっているわけではないんです。いくらいくらでやってくれないかとお声掛けいただく場合もあり、お打ち合わせしながら金額を決めさせていただいているのですが……」

「急な話で申し訳ないのですが、一両日中にぜひお会いして詳しいお話がしたいのですが」

「かしこまりました。明日でしたら日中、お伺いできます。あさっては何時〜何時でしたら都合がつくきます。カメラマンの●●とわたくしの2名でお伺いさせていただきます」

「じゃあ、明日の1時にお願いします。どうぞよろしくお願いいたします」

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依頼人Bとはすぐさま顔を合わせ、そのまま商談を進め、撮影とコピーライティングの発注を頂いた。私も夫もわりとこだわりの強いタイプで、「一緒に仕事をしたい相手かどうか」を重要視している。

実際に会って「この人とぜひ仕事がしたい」と感じれば、赤字覚悟で仕事を引き受けることもあるし、クライアント自身も同じように考えている人だと、トントン拍子に話が進む。

このご時世、仕事を頂けるのはとってもありがたい。でも、「別にオタクじゃなくてもいいんだけど」などというような相手とは、どんなに札束を積まれてもこっちから願い下げだ。

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