恐るべし酒パワー
以前、出入りしていた女性誌の編集部が、次号で美容特集を計画していたときのこと。編集者から「poronさんっていっつも肌がモチモチだよねえ。化粧品とかお手入れとかどうしているの〜? 特集で使うから教えてよう」と聞かれたのだが、そのころの私は風呂上がりに安い化粧水をバシャバシャするだけ。「洗顔石けんは?」「美容液とかは?」と矢継ぎ早に質問する編集者に「別にこだわっている化粧品なんてないよ。洗顔はスーパーで買った○○だし、美容液なんて持っていない」と答え、あまりのつまらなさにガックリされた経験がある。
それほど、手入れのいらない肌だったのに、子どもを産んだころから私の肌荒れは一気に加速。さすがに化粧水だけじゃまずいと、あれこれ試したもののたいした効果もなく、時だけが過ぎていった。
先日、ただでさえ調子の悪い肌がものすごくひどい状態になっていた。頬のあちこちに吹き出物が出現し、乾燥した肌はまるで粉ふきいものよう……。美容液を塗ろうが、クリームを使おうが一向によくならず、一時は皮膚科の受診を考えたほどだ。いったい、プルプル肌だったあの頃と何が変わってしまったのだろう。年齢? 食事? それとも……。
私がさんざん考えて、考え抜いて、出した結論は「酒」であった。大好きで毎晩のように飲んでいた日本酒は出産以来、摂取量が減り続けている。最近は年のせいか飲むときは焼酎か泡盛。そうか、酒だ、日本酒なんだ。窮地に陥った人間は恐ろしい。生活習慣を見直した結果、出てきた答えが「酒が足りねえ」なんだから……。
この期に及んで酒を浴びるように飲むわけにもいかず、また母親としての醜態をさらすことなく、酒成分を摂取できるものは何か……? 私が手にとったのは「酒粕」であった。そう、酒の残り物、日本酒の搾りかす。子どものころ、田舎から送られてくる酒粕を使い、しょっちゅう甘酒を作っていた。母が鍋で煮た甘酒を冷蔵庫で冷やし、コップでごくごく飲むのが我が家流。そんなことをふと思い出し、酒粕を購入してお砂糖控えめの甘酒を作ってみたのだ。
……翌日。酒粕パワーすげえ! もう、ビックリ! あんなにカサカサだった肌は一晩でしっとりモチモチ。ファンデーションの乗りのいいことったら。ヒアルロン酸でもQ10でも実感できなかった即効性を、酒粕は難なく証明したのである。結論。私にとって日本酒は欠かせないものである。
※ちなみに酒粕にはビタミンやアミノ酸などさまざまな栄養素が豊富に含まれているので、美肌や健康(病後や夏バテなど)に効果があるが、甘酒はカロリーが高いので飲み過ぎに注意。料理などに使うのもおすすめ。
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